米大統領選:クリントン氏TPP一転支持せず…政権に反旗
毎日新聞 2015年10月08日 11時31分(最終更新 10月08日 12時48分)
【ワシントン及川正也】米大統領選の民主党候補者指名争いに出馬しているヒラリー・クリントン前国務長官(67)は7日、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の大筋合意について「支持できない」と表明した。国務長官時代に推進してきた経緯があり、オバマ政権に反旗を翻した形だ。クリントン氏の反対表明はオバマ政権に打撃となるが、批判の矛先は態度を一変させたクリントン氏に向かうおそれもある。
クリントン氏は7日放映された米公共テレビ(PBS)の番組で、TPPの大筋合意について「私が設定した高い水準を満たしているとは思わない」と指摘。中国を念頭に置いた通貨操作条項が具体化されなかったことや、医薬品の開発データの保護期間短縮で妥協したことなどを挙げた。同氏は国務長官時代、「すべての参加国に大きな経済機会を提供する」とTPPを強く推進してきた。
労働組合を支持基盤とする民主党は雇用が失われるなどとして反発しており、クリントン氏を追い上げるリベラル派のサンダース上院議員(74)らはTPPに明確に反対してきた。民主党は13日に初の候補者討論会を控えており、米メディアは「集中砲火を浴びるのを事前に回避する狙いがある」などと分析している。
サンダース氏は「だれが信頼できるか米国民に判断してもらう」と述べ、別の候補のオマリー前メリーランド州知事(52)も「私は討論会直前で持論を変えることはしない」とクリントン氏の対応を批判した。