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更新日:2014年6月26日
安全で快適な千代田区の生活環境の整備に関する条例(平成14年千代田区条例第53号)
千代田区は、夜間人口(いわゆる住民)が約4万人ですが、昼間人口は、買い物客などの出入りを含めると90万人とも100万人ともいわれるほど、昼夜の人口の差が大きいまちです。
これだけ多くの人々が区内に集中するということは、地域の生活環境も悪化しやすい状況にあるといえます。こうしたことから、「ポイ捨て」や「歩きタバコ」、「置き看板」などの路上障害物といった、まちの環境を悪化させているものへの苦情や改善を求める強い要望が、以前から区役所に数多く寄せられていました。また、定期的に行っている、地域住民と区長との対話集会でも生活環境改善への要望は、常に上位を占めていました。
区では平成11年4月に、いわゆる「ポイ捨て禁止条例」をスタートさせ、きれいなまちを目指してきました(ゴミのポイ捨てや公共の場での喫煙を努力義務として禁止した)。
例えば、街角に数多くの灰皿を設置したり、駅前などでの携帯灰皿の配布(10万個以上)、徹底した清掃や各種PR活動など、区と住民が一丸となり、懸命に取り組んできました。
区は、罰則を伴わない条例のもとで人々のモラルに訴えかけてきたわけですが、残念ながら、ほとんど目立った効果はありませんでした。
一方、「歩きタバコ」については、他人の迷惑である以上に、衣服の焼け焦げ、火傷などの危険性があります。特に小さな子どもや車椅子の方にとっては、大変危険です。
しかし、タバコを吸う側がその迷惑や危険を認識してないことが少なくありません。
このように、マナーやモラルに期待しながらまちの環境を良くしていくことは非常に難しく、人々の道徳心のみに頼ることは、もはや限界であると考えました。
このため、議論を重ねた末に、やむを得ず一定のルール(罰則付きの条例)を設けて、住民の悲痛な叫びに応えていくこととしました。
条例案の作成に着手したのは、平成13年6月でした。区役所内に検討組識(主に課長級)を設置して内容を固める一方、所轄警察や東京検察庁との協議を重ねていきました。
その後、平成14年2月には条例の骨子案を発表し、区議会で審議されました。
区のホームページにも骨子案を掲載し、非常に多くの方から意見が寄せられました。
また、各地域団体、商店会などと意見交換を行い、様々な角度から検討を加えていきました。
そして、平成14年6月24日、第2回区議会定例会で条例が可決、成立しました。
この条例は、行政のみが行動するのではなく、区民・事業者など地域のあらゆる人々が一体となり、ともに汗をかきながら、安全で快適なまちを実現することを目指しています。
すなわち、地域ぐるみで考え、行動する、「自分たちのまちは、自分たちできれいにする」という「自治の原点」に立ち返り、まちをあげて取り組んでいます。
元来、地域自体に「行動」を呼び起こす強い「動機」がありました。
町会や商店会、地元企業や大学などの教育機関(大学11、専門学校31など)、学校PTAなど、地域を構成するあらゆる人々が集結し「環境美化・浄化推進団体(推進団体)」を条例の施行時に新たに立ち上げ、自主的にまちの生活環境の改善に取り組んでいます。
推進団体が自らが「地区協定」を定め、地域の特性に合わせた重点的な取組み事項などを盛り込んだ独自のルール(ローカルルール)をつくり、これに基づき活動しています。
条例がスタートしてから、ずっと継続して各地区が月2回程度、推進団体や所轄警察署、各道路管理者などの関係機関と区が合同で地域のパトロールを行い、路上障害物や放置自転車への注意・警告、清掃活動、PRなどに定期的に取り組んでいます。
歩行者の往来の激しい駅周辺や通学路がある地域など、路上での喫煙行為により、他の歩行者に対する迷惑・危険のおそれがある区域(皇居を除く面積の70パーセントでしたが、平成22年4月1日から千代田区全域となりました)
(注)路上禁煙地区でなくとも、区内全域で「公共の場での歩きタバコをしないように努めなければならない」という義務があります(条例第9条第2項)。
歩行障害となる路上放置物(自転車・看板等)や空缶・吸い殻等の散乱が著しい区域
違法駐車が多く、それが歩行者への危険や交通管理上問題が生じる恐れの多い区域(路線)
条例では、「路上禁煙地区」での喫煙や吸い殻のポイ捨てをした場合、「環境美化・浄化推進モデル地区」での置き看板などの路上障害物により明らかな通行の障害や危険がある場合、空き缶などのごみを捨て、著しく生活環境を害している場合などには、2万円以下の過料(当面は2千円)を罰則として適用しています。
このため、休日や夜間を含む毎日巡回パトロールを行っています。
「罰金(刑事罰)」では実効性の確保が困難と考え、行政罰である「過料」を導入しました。また、「環境美化・浄化推進モデル地区」内で、改善命令を受けても従わないなど悪質な場合には、区長が氏名公表または告発し、5万円以下の罰金に処することとしています。
罰則は、あくまで人々のマナー・モラルの向上を呼び起こす「手段」であり、それにより、安全で快適なまちを築いていくことが本来の「目的」です。
平成14年9月29日に秋葉原駅周辺で実施し、条例にちなんだ標語・ポスター入選者表彰、タバコの着きぐるみを着た「タバコ隊」のパレードなどにより、条例を広くPRしました。
来街者等へのチラシやティッシュ配布などにより、周知や理解と協力を呼びかけています。
生活環境条例の徹底と普及・啓発を目的として企業や業界団体との間に協力協定を締結しています。現在、帝国ホテル、トラック協会千代田支部、宝くじ協会会員中根商事(宝くじ販売店)と協力関係にありますが、今後も協力の輪を広げていきます。
区への建築確認や飲食業営業許可など各種許認可申請等の提出時、あるいは工事・委託請負契約手続き等の際に、相手方から「生活環境条例遵守確認書」の提出を求め、条例遵守や関係者への周知徹底をお願いしています。
各推進団体から推薦を受けた地域住民等が、路上喫煙者に対して日常的に声をかけ、条例を普及啓発していくマナー啓発員制度を平成19年1月からスタートしました(約160名が活動)。
平成14年11月1日から路上喫煙の過料適用を開始し、路上喫煙禁止地区での喫煙者に過料処分を行っています。
詳細は、路上喫煙過料処分件数のページをご覧ください。
区では定期的に、同じ場所や時間でポイ捨て吸い殻の本数を定点観測を行っています。秋葉原地区の場合、条例施行直前の平成14年9月29日に合計995本でしたが、翌10月に入ると激減し、現在は20本以下の状況が続いています。詳細は、秋葉原地区のポイ捨て吸い殻定点観測状況のページをご覧ください。
ポイ捨ての減少により、区内のタバコの投げ捨てが原因の火災も半減しました(条例施行前の20件前後から、条例施行後の平成15年は9件に減少)。
このことから、平成16年11月1日に東京消防庁消防総監から区に対して感謝状が贈呈されました。
路上でのタバコやポイ捨ては、迷惑であったり、火傷などにつながるだけでなく、火災の原因にもなりうる危険性を持っています。千代田区内のみならず、多くの方にこのことを知っていただき、歩きタバコや吸殻のポイ捨てを減らすように取り組みましょう。
平成14年9月に6名の担当チームを設置
平成15年度に生活環境課を新設(条例担当職員は27名、16年度は33名)
(注)平成19年度から安全生活課となり、45名体制(非常勤16名、再任用・再雇用職員5名含む)。平成25年度現在は51名体制(非常勤18名、再任用職員7名含む)。
路上喫煙のパトロール(過料の適用、注意・指導)。
(注)原則2名1組で、安全生活課非常勤職員が中心の班編成。
平日は係長級、土曜日・日曜日、祝日は管理職(係長級、管理職とも全職場の職員が対象)が、非常勤職員と混合で班を編成し、パトロールしています(総勢約350名によるローテーション)。
路上障害物への注意・警告、撤去、罰則の適用など
放置自転車への警告札の貼付、撤去・返還など
貼り紙や立て看板(いわゆる捨て看板)など除去が簡単な違法広告物の撤去について区が行うだけでなく、推進団体等に委嘱して実施し、強化しています(平成16年度から実施)。
貼り紙や立て看板(いわゆる捨て看板)など、除去が簡単な違法広告物の撤去について区が行うだけでなく、推進団体等に委嘱して実施し、強化しています(平成16年度から実施)。
現在約81パーセントの収納率ですが、過料未納者には督促状等を送付し、なお納めない場合には、自宅や勤務先に直接訪問や電話連絡するなど、厳しく支払いを求めていきます。
これまでの取り組みにより、条例は一定の成果をあげてきましたが、まだまだ本来の目的である「マナー・モラルの向上」が充分に図られているとは言えない状況にあります。
「マナーからルールへ。」とマナーの問題にあえて罰則というルールを設けましたが、これを罰則などいらない「マナーへ」の回帰を目指して、息長く取り組んでいきます。
お問い合わせ
地域振興部安全生活課安全生活係
〒102-8688 東京都千代田区九段南1-2-1
電話番号:03-5211-4252
ファクス:03-3264-8956
メールアドレス:anzenseikatsu@city.chiyoda.lg.jp
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