ガイアの夜明け【“新たな農業”始めました!】 2015.11.03


「GAIA」…それは息づく大きな生命体。
混沌の時代にも希望を見いだし再生を果たして未来へ向かう。
そこにきっと夜明けがやってくる。
東京の多摩地域にある瑞穂町。
都心から北西におよそ40キロ離れています。
この町に暮らす東さん一家。
夕方5時半奥さんの操さんは夕食の準備中です。
この日の献立はちょっと特別。
大量に採れたて野菜が届いたからです。
(スタッフ)これはどういったものですか?これは…。
ニンジンやシシトウインゲンなどすべて地元東京産の野菜です。
ニンジンはついていた泥を落としてそのままサラダに。
シシトウやインゲンは天ぷらにします。
今夜の食卓は野菜尽くしです。
(一同)いただきます。
さてニンジンの味は?一方こちらのスーパー。
店の野菜売り場の一角に客が集まっていました。
並べられている野菜がどんどん売れていきます。
早い者勝ち。
実はこれ福生近郊で採れた野菜専用の売り場です。
お店のほうとしても…。
そのコーナーに野菜を持ってきていたこの人。
今年9月に農業を始めたばかりだといいます。
また別の人がやってきました。
この人も今年農業を始めたばかりだそうです。
このあとも同じような人たちが次々と。
実は今東京で新たに農業を始める人が増えているのです。
いったいなぜなのでしょう?今日はですね東京瑞穂町に来ています。
ここ東京で新たに農業を始めた方がいらっしゃるということでやってきました。
東京とは思えない景色ですけども。
あっあちらの方ですかね。
どうもこんにちは。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
井垣さんですか。
どうも江口ですよろしくお願いします。
こちらで農業を始めたという。
そうですね。
どのくらい前から?今から7年前になります。
昔からちょっと農業に憧れは…。
そうですね。
その頃から…。
でこちらが。
よかったら中のほうに。
今ちょうどシシトウを収穫してたんです。
ホントだ。
シシトウがあって。
このへんがこれからそれで育つわけですか?あとは…。
いやぁ全然知らないからあれだけど。
普通雑草なんか生えてたら栄養がこっちに持っていかれるんじゃないかっていうふうに考えちゃうけどそうじゃないんですね。
逆に…。
しぜんなバランスがとれるんですか。
東京でこういう農業をやるというよさみたいなものってありますか?東京という場所柄。
そうですねやっぱり人口が多いっていうので…。
新しい生活スタイルを見せてもらった感じがしますね。
ありがとうございます。
東京で新たに農業を始める人たち。
そこにどんなやりがいと可能性を見いだしているのだろうか
31歳女性が農業に挑戦。
涙のわけとは?農業のイメージを変えたい。
初心者でも儲かる仕事に。
そのための仕組みとは?最新鋭の巨大ハウス。
そこから日本初の商品が生まれた。
都内の農地をトラクターで耕すこの女性東京で農家として独り立ちすることを目指しています。
桐谷さんはおととしの12月からこちらの農園で研修生として働いています。
桐谷さんは神奈川県生まれ。
自営業の家庭に育ちました。
なぜ農業を目指そうと思ったのでしょうか。
もうちょっと引っ張って大丈夫ですか?桐谷さんのように農家になりたい人たちの窓口です。
松澤龍人さんはそうした相談を一手に引き受けてきました。
これまで窓口に来た人たちのファイル。
2324…。
東京で農業を始めるには原則1年以上の研修が必要となります。
その後農地をあっせんしてもらい農業を仕事としてやっていけるのかどうか審査が待っています。
松澤さんは研修先の紹介や農地のあっせんなどの支援をおこなってきました。
今では東京で新たに農業を始めた人が30人以上誕生しています。
東京ネオファーマーズという共通ブランドを立ち上げスーパーなどに野菜を卸しています。
この日松澤さんは桐谷さんをある場所へと連れて行きました。
桐谷さんが希望する地域に農地を持つ地主をようやく探しあてたのです。
その地主は幼稚園も経営していました。
自宅から離れていてなかなか手が回らないという農地1反300坪を貸してくれるかもしれないのです。
松澤と言います。
すみません。
よろしくお願いします。
すみません。
交渉は松澤さんがします。
1回借りると果たして…。
あっすごいじゃん。
ありがとうございます。
すばらしいですね。
よろしく。
よろしくお願いします。
ありがとうございます。
桐谷さん借りられる農地のめどがたちました。
一歩前進です。
ただもともと農地が少ないことに加え東京で農業を始めたい人が増えているためちょっとした農地の争奪戦が起こっているといいます。
これは植木を抜くんだ…。
幼稚園の経営者から借りられることになった農地がここです。
ちゃんと手入れされていました。
この場所が桐谷さんの夢の舞台になるのか?いいよね。
しかし桐谷さんにはもうひとつクリアしなければならない大きな課題が残っていました。
東京で農家になるため神奈川の厚木市から東京の瑞穂町へと移住してきた桐谷さん。
ただいま遅くなっちゃった。
婚約者の田口さんです。
来年2月に結婚を予定しています。
2人は中学校の同級生。
2年前勤めていた会社を辞め農業を始める夢を再び追い始めたのです。
夜の9時半。
桐谷さんが練っているのは経営計画書と呼ばれるもの。
これが審査に通らないと農業を始めることができません。
どの時期に何を作りどこに売るのか経費などを差し引いた5年後の所得が300万円を超える計画に練り上げなければならないのです。
桐谷さん海外研修の経験を活かし西洋野菜のひとつ心配なことがありました。
ありがとう。
その分なんかお返しするから。
おいしいもん作ってくれれば…。
桐谷さんは松澤さんに呼ばれていました。
1か月後に迫った経営計画の審査に向け模擬面接を受けます。
事前に計画の内容をチェックしてもらいます。
桐谷さんルッコラの5年目の売り上げを年間260万円と強気の計画を立てていました。
しかし…。
これがきついな。
ルッコラの売り上げに頼りすぎているという指摘です。
大幅に経営計画を見直すように言われてしまいました。
ここは福生市の居酒屋。
賑やかな集まりの輪のなかに松澤さんの姿がありました。
更に江口洋介さんを畑に案内してくれたあの井垣さんも。
これは月に一度東京で農業を始めた人や研修生が集まって交流を深めています。
(拍手)桐谷さんも参加していました。
よろしくお願いします。
(拍手)すでに農業を仕事にした人たちから直接話を聞き改めて桐谷さん農業への思いを強くしました。
何かヒントもつかんだようです。
東京瑞穂町にあるホームセンター。
桐谷さん作り直す経営計画にぜひ採用したいものがあるというのです。
真っ先に向かったのは種を売っているコーナーです。
注目したのはこれ。
西洋野菜の種です。
そしていよいよ経営計画の審査を受ける日がやってきました。
しかし…。
すみません。
涙のわけとは?東京で農業を始めたいと2年間研修を積んだ農業を始めるために必要な経営計画の審査を受ける日がやってきました。
会場にはずっと指導してくれた松澤さんと今回一緒に審査を受ける5人が集まりました。
この審査は年に3回行われます。
都や農業団体などの関係者13人が計画に問題ないか審査を行います。
女性になりますけども桐谷明香さんということでどちらかというと家族経営みたいな感じに当初からなるということでございます。
さてプレゼンです。
よろしくお願いいたします。
桐谷さんルッコラ一本やりをやめ品目を27に増やし色鮮やかなスイスチャードなどの西洋野菜を新たに加えていました。
およそ1時間にわたってプレゼンや質疑応答が続けられたのです。
審査を終えた桐谷さん。
ほっとした顔をしています。
終わりました。
松澤さんが結果を知らせてくれます。
みんないろいろきついこと言われたけれども本当にご苦労さまでした。
今回は5人全員が合格でした。
卒業みたいな感じで少し寂しいですが…。
すみません…。
すみません。
桐谷さん夢をかなえました。
ただいま。
あぁおかえりなさい。
ああ。
いやちょっと相談があるんだけどさ。
えっどうしたの?今の会社辞めてさ仕事を変えようと思うんだ。
転職?どんな仕事を考えてるの?それがさ農業。
農業!?うん。
あなたみたいな素人がいきなり始めてうまくいくわけないでしょ?まあそう言うと思ったよ。
でも俺もまったくの素人ってわけでもないだろ?もう何年も家庭菜園やってるじゃないか。
家庭菜園と農業を仕事にするのとは全然違うわよ。
いや俺もそう思ってたんだけどさ農業をする会社ってのがあってさそこの求人票見つけたんだ。
農業の会社の求人?うん。
お給料とか大丈夫なの?いや給料は固定給なんだけど年間2回のボーナスもあるし。
へぇ〜普通の会社みたいね。
うん。
あっでも休みどうなの?それが週休2日制。
有給休暇もあるんだよ。
それに年に1回の社員旅行があってさいやいまどきなかなかこんな条件のいい会社ないよ。
そうね。
でここから通えるの?ちょっと引っ越しがまぁそれは必要かな。
やっぱり。
またいろいろとお金がかかるじゃない。
うん…。
おっ!家族用の住宅があるよ。
見て。
家賃はたったの3万円。
これ決まりだな。
3万円…。
うん。
う〜ん。
株式会社が農業に参入しやすくなる法律の改正もあってここ数年農業の経営に乗り出す株式会社が増えています。
その数はこの5年でなんと5倍近くになっています。
そんななか金融業界から農業に移り画期的な取り組みで業績を伸ばしている集団がありました。
南アルプスの名水を生み出す山あいに一軒の個性的なレストランがあります。
その名は大自然の中で野菜がもつ本来のおいしさを味わってもらおうというのがコンセプトです。
一番人気のメニューは季節の野菜がまるごと満喫できるこのプレート。
北杜市から南に45キロのところにあるここにサラダボウルの本社があります。
地元の農家から100ヵ所20ヘクタールの農地を借り受け米から野菜まで30種類の農作物を作っています。
契約したスーパーなどを中心に出荷。
サラダボウルの野菜として認知され人気になっています。
11年前会社を立ち上げたのがまず見てほしいと連れていかれたのが農機具などが置かれている道具置き場でした。
この他にもさまざまな工夫がされていました。
こちらのほうの…。
すぐに移動できるということはそれだけ効率的に仕事ができるということ。
カゴを積む高さまで決めていました。
ここまで徹底するには田中さんの意外な経歴が関わっています。
田中さんはもともと金融マン。
銀行や生命保険会社に勤めやり手の営業マンとしてならしていました。
おはようございます。
社員たちが次々と出勤してきます。
総勢15人。
平均年齢29歳の若い社員たちが真っ先に始めるのは掃除。
すべてに整理整頓を行き渡らせます。
姿見にはこんなシールが。
社宅で一人暮らしの社員たちはここで朝食。
もちろん自分たちで作った米です。
サラダボウルに来る若者の多くは農業の経験がまったくありません。
そんな初心者でもすぐに戦力になれる仕組みがここにはありました。
その秘密を田中さんが見せてくれました。
これは項目ごとに分かれています。
収穫作業の項目を見てみると…。
ナスの実には触らないようにしてヘタの長さは1cmに切ると細かく書かれています。
更に収穫するときの姿勢まで写真つきで書いてありました。
これが最も効率のよい姿勢だそうです。
合理的で儲かる農業を追求してきた田中さんが新しく手がけたのが日本最大級の温室。
ここもまたとんでもなく効率的にできていました。
作るのは日本初登場の商品です。
山梨から400キロほど離れたこの町に…。
見えてきたのは兵庫ネクストファームと名付けられた巨大なハウス。
東京ドームにも匹敵する日本最大級のものです。
オランダから導入した最新鋭のタイプです。
実はこの大型ハウスをサラダボウルが中心となって運営していくことになっていました。
農業の新しい形を目指す田中さんが国や兵庫県とともに進める今回のプロジェクト。
資料には新たな農業ビジネスのモデルや最新技術を使うことが書かれています。
ハウスに設置されているのが気象状況を計測する装置。
コンピューターと直結していて温度や湿度だけでなく日射量にいたるまで植物を育てるのに最適な環境にコントロールすることができます。
田中さんは7人の社員を新たに採用。
更にパート従業員80人を地元から雇用しました。
そしてこの最新鋭のハウスで栽培する作物も厳選したのです。
2年前ヨーロッパへ視察に行った際に出会い感動すら覚えた食べ物。
パーンって弾ける。
そんな衝撃を受けたのはこちらのトマト。
田中さんは日本にはないこのトマトをスプラッシュと名付け栽培し販売することにしたのです。
ハウスに大型トラックが到着しました。
スプラッシュの苗を満載しています。
早速この苗のセッティングをパート従業員が手際よく行います。
設置しているチューブはトマトに水と必要な栄養分を送り込むためのもの。
この栽培方法は細かい管理ができ安全でおいしいトマトを作ることができるといいます。
この環境ならわずか2か月ほどでスプラッシュは収穫できるといいます。
苗の手入れや収穫のとき活躍するのが3mの高さまで上げることができ女性でも安全に作業ができます。
スプラッシュは背丈が2mほど伸び早いものは実の色がオレンジに近づいていました。
成長を見守ってきた社員も収穫のタイミングが気になり始めました。
どれくらいの甘さがあるのかチェックしてみることに。
これでいこう。
スプラッシュをカットし甘さをはかってみます。
糖度計の数字は…。
こちらは…。
スプラッシュはオレンジ色で十分に甘みのある品種。
そこに田中さんがある箱を持ってきました。
中から取り出したのはオレンジ色をしたトマト。
バイヤーが早速口に入れます。
反応が気になります。
色はこんな感じで…。
長年トマトを扱ってきたバイヤーには気になることがあるようです。
難しそうですか?はい。
味と食感に絶対の自信を持っていた田中さん。
色という予想外の壁にぶつかってしまいました。
どうするのか?儲かる農業新しい農業に挑戦してきた…。
兵庫の最新施設で作った新種のトマトを売り込んだところ色が消費者には受けないのではと馴染みのバイヤーに指摘されてしまいました。
自信を持って作り上げた新しいトマト。
オレンジ色でも十分に糖度があるこのスプラッシュをどこまで赤く熟させるのか。
スプラッシュがいよいよ初出荷の日を迎えました。
田中さんどんな方法を考えたのでしょうか。
8時半パート従業員たちが出社してきました。
収穫に入ってもらうんですけども…。
1個取ってください。
食感とおいしさを損なわないギリギリの赤さ。
野菜のことは知らないパートでも失敗しないように実物をサンプルとして持たせそれと比較しながら収穫してもらうようにしました。
これなら誰でも見極められそうです。
収穫は順調に進みます。
袋詰めも初めての作業。
それでも決められたとおりにやれば経験のない人でも商品が完成しました。
そしていよいよスプラッシュが売り出されます。
客は日本で初お目見えのトマトにどう反応するのでしょうか。
サラダボウルの田中さんが初出荷のスプラッシュを持参したのは地元のスーパー。
まずここでスプラッシュを売り出します。
田中さん自ら店頭に立ち試食販売をします。
日本で初めて商品化されたトマト。
客の反応は…。
ありがとうございます。
早速売れました。
試食した客の多くが買っていきます。
わずか2時間で60袋のスプラッシュが完売しました。
農業と縁のなかった人たちが日本の農業に新たな可能性を見いだして生き生きと働いている姿が全国で見られるようになってきました。
そこで行われていたのは常識にとらわれない作業の仕方や一見不向きと思われていた場所に注目するというこれまでとは違う新しい農業の形といえそうです。
今後も農業で新しいチャレンジが出てくることを期待したいと思います。
2015/11/03(火) 22:00〜22:54
テレビ大阪1
ガイアの夜明け【“新たな農業”始めました!】[字]

東京で農業をはじめる若者たちが急増。なぜいま農業なのか?▽必ず儲かる農業!?これまでの農業を変える若きビジネスマンの取り組みを取材。

詳細情報
番組内容
「儲からなくてキツイ仕事」というイメージで見られる農業。いまや農家の後継者不足と高齢化は深刻で、作付けが行われていない遊休農地は全国でおよそ40万ヘクタールに及ぶ。そんな中、あえて東京で新規就農を目指す若者たちが増えている。なぜいま農業なのか?一方、異業種で培ったノウハウを武器に遊休農地を儲かる農園に変える若きビジネスマンが登場した。果たして、改革者の取り組みはニッポンの農業を救う光となるか?
出演者
【案内人】江口洋介
【ナレーター】杉本哲太
音楽
【音楽】
新井誠志
【テーマ曲】
◆オープニング曲
 「鼓動〜ガイアの夜明け」(作曲/岸利至)
◆エンディング曲
 「夜空の花」(作曲/新井誠志)
「ガイア」とは
ギリシャ神話に登場する「大地の女神」を意味し、後にノーベル賞作家のウイリアム・ゴールディングが「地球」を指して“ガイア”と呼んだことから「ガイア=地球」という解釈が定着している。「ガイアの夜明け」という番組タイトルには、地球規模で経済事象を捉えることで21世紀の新たな日本像を模索すること、そして低迷する経済状況からの再生=「夜明け」を目指す現在の日本を描くという意味合いが込められている。
関連情報
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◆公式Twitter
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