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シリア領空爆:露、巡航ミサイル発射 カスピ海から26発

毎日新聞 2015年10月07日 23時34分(最終更新 10月08日 01時40分)

 【モスクワ杉尾直哉】ロシア軍は7日、シリアで実施している軍事作戦の一環として、カスピ海に展開する艦船4隻から巡航ミサイル26発を発射した。ショイグ国防相がプーチン大統領への報告で明らかにした。過激派組織「イスラム国」(IS)の拠点など11カ所の標的を破壊し、民間人に犠牲者はなかったとしている。

 先月30日に始まったロシアのシリア空爆は7日で8日目に入ったが、海上からの巡航ミサイルによる攻撃が伝えられたのは初めて。ショイグ国防相は「1500キロ先の標的を破壊し、高い性能を示した」と述べた。ロシアメディアは、ロシアが実戦で巡航ミサイルを使用したのは初めてと報じた。

 また、ショイグ国防相は「(米国主導の有志国連合と)ともに支援し合わなければ、(IS掃討の)目的を達成することはできない」と語った。これに対し、プーチン大統領は、「私は米国のシリア空爆を『非合法』と述べたが、彼らがシリアの状況について我々より知っているのなら、標的(に関する情報)を我々に与えてもいいはずだ」と述べた。

 アントノフ露国防次官は6日、「残念ながら米側は(米露両軍の偶発的衝突防止のための)技術的問題にしか取り組んでいない」と述べ、ロシアが米国とより広い範囲で協力することに意欲的な姿勢を見せた。ロシアは、米国防総省から衝突防止のための提案を受け、検討しているという。

 米国は、ロシアのシリア空爆やロシア空軍機によるトルコでの領空侵犯に懸念を表明しており、ISの所在地などに関するロシアへの情報提供など本格的な協力は想定していないとみられる。

 一方、ロシアが「IS以外のシリア反体制派や一般市民を空爆している」との批判について、アントノフ国防次官は6日、「シリア(のアサド政権)側から得た情報のみでなく、衛星や空からの偵察で検証し、100%確信を持てたときしか空爆していない」と反論した。露外務省のザハロワ情報局長も同日、「根拠のない対露批判は国際メディアによる情報戦争だ」と批判した。

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