くらし☆解説「高齢者の運転事故を防ぐには」 2015.11.04


生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
きょうはこちらのテーマです。
担当は寒川由美子解説委員です。
高齢者が運転していて起きた痛ましい事故、最近相次ぎましたね。
ちょうど1週間前には宮崎市で軽乗用車が歩道を暴走し女性2人が死亡、4人が重軽傷を負い73歳の運転手も大けがをしました。
運転手は事故の前、認知症で病院を受診し、事故のあと車道か歩道か分からなくなったという趣旨の話をしていたということです。
一方、愛知県知立市では4日前和菓子店にワゴン車が突っ込み客や店の人、合わせて7人が重軽傷を負いました。
逮捕された76歳の運転手はブレーキとアクセルを踏み間違えたと話しているということです。
運転していたのは、いずれも70代ということですがこうした高齢者の運転による事故は多いんでしょうか?高齢者は事故の被害者になることも多いんですが加害者側になってしまうことも多いんです。
死亡事故を起こした人を年齢別に示したグラフです。
65歳以上が最も多くなっています。
免許を保有する高齢者は10年前の2倍近くに増えていますからある意味当然とも言えるかもしれませんがただ事故を起こした原因は高齢者とそれ以外の人たちで大きく違っているんです。
例えばスマートフォンを見ながらの脇見運転などスピードの出しすぎなどは高齢者以外の人が多くなっています。
一方でブレーキとアクセルを踏み間違えるこれは愛知県の事故でもそうでした。
それからハンドルがうまく切れないといった運転操作不適停止線の見落としなどによる一時停止違反による事故は高齢者に多くなっています。
こうした違いが年齢に関係してくるわけですね。
年齢を重ねますと運転に必要なとっさの動作や複雑な動作がスムーズにできにくくなってきます。
さらに認知機能これは記憶力や集中力、位置関係を把握するといった機能です。
これが低下しますと場所が分からなくなる。
同時に2つのことができなくなる。
注意力がなくなるといったことも起きてくる可能性があります。
その原因や程度によっては認知症と診断されることもあるんです。
宮崎市の事故ではこうしたことが影響していた可能性があるわけです。
認知機能が低下して、運転するのは危険ですね。
75歳以上の人が運転免許を更新する際には認知機能検査を必ず受けることになっています。
その検査で、認知機能が低下しているおそれがある少し低下のおそれがあるおそれはないという3段階に分けられた人、それぞれが検査後半年以内に事故を起こした件数を見てみますと認知機能低下のおそれがあるという人に事故が多いことが分かりました。
認知機能低下のおそれがある人は免許更新のとき手続きも変わるんでしたよね。
以前この時間でもお伝えしましたけれども認知機能が低下しているおそれがある人についてはそのまま免許を更新するのではなくて医師の診断を義務づけるという改正道路交通法がことし6月に成立して2年以内に施行されることになりました。
医師から認知症ではないと診断されれば免許を更新できるんですが認知症と診断されますと免許が取り消されることになります。
ただ宮崎市の事故では運転手は73歳でしたのでこの制度の対象にはなっていないんです。
75歳からですものね。
では75歳未満で認知機能が低下している人はどうなるんでしょうか。
みずから警察に相談したり自主的に免許を返納するという人もいます。
また年齢に関係なく事故や交通違反など、認知機能の低下のおそれがある疑いがあるという人については医師の診断を受けてもらって結果によっては免許を取り消すという制度もあるんですけれどもそうしたケースは実際には少ないということです。
私も認知症の方々の会合などに参加させていただいているんですが、大変な苦労や努力をしながら体験談を本に出版したり各地で公演を行ったり生き生きと活躍している暮らしている方も多いんです。
ですからそのことと運転がしにくくなる、難しくなるということは分けて考えなければならないと思います。
認知機能の低下は本人に自覚がないという場合も多いので家族や周囲の人が気付いて危ないなと思ったら、運転をやめてもらうよう促すということも大切なんです。
周りはどんなところに気をつければいいですか。
例えばセンターラインをはみ出すブレーキ操作が遅くなる車間距離が短くなるこれらは認知機能の低下の兆候かもしれません。
早めに専門の医師を受診してもらい運転が危険だということであれば今まで送り迎えしてくれてありがとうと、ねぎらったうえで運転を控えてもらうといったことも大切になってきます。
周りの人が促すんですね。
言い方が大事ですね。
けんかにならないように。
ただ運転を控えてもらいたいと思っても、それができないという事情を抱えた人も多いんです。
75歳以上の家族が運転を続けていてそのことを危険だと思っている人に警察が行ったアンケートです。
運転をやめてほしいと答えた人が3分の1だったのに対して危険でも移動手段がないので運転はやむをえないという人が3分の2にのぼったんです。
ここは問題ですね。
結局移動手段がなくて買い物にも病院にも行けないという人が多いですからね。
ところが特に地方ではバスや鉄道の廃止などでマイカーに頼らざるをえないという人が多くなっているんです。
高齢者で移動手段をマイカーに頼っている人は都市部では37%なのに対して地方では58%。
その背景の1つが路線バスなどの輸送人員の減少です。
地方ではこの10年余りで25%も減ってしまったんです。
高齢化が進む地方でむしろ移動手段をマイカーに頼らざるをえないんですね。
こうした状況をなんとかしようという自治体も増えてきてはいるんです。
例えば兵庫県豊岡市などでは市の中心部は循環型のコミュニティーバス。
中心部と郊外を結ぶのは民間の路線バス。
さらに、そこから先は予約制の乗合タクシーを利用してもらい高齢者には料金の補助を行うこうした手段を組み合わせることで効率的な交通ネットワークを作りました。
また住民たちが助け合って燃料代だけでお年寄りを送り迎えしているといったところもあるんです。
高齢者による事故を防ぐためにも身近な公共交通ネットワークをどう作っていくのかこれが大事になってくると思います。
一方で、最新技術による安全なマイカーの開発も進められているんです。
自動運転車です。
例えば高速道路を自動走行する車。
周囲を走る車の速度や道路状況を感知して運転手が全く操作しなくても高速道路を走れるんです。
また車が歩行者や信号を察知してスピードを落としたりお先にどうぞ、と表示したりする技術も開発されています。
自動車メーカーではこうした技術を近い将来実用化したいとしています。
こういう技術は高齢者向けに開発されているんでしょうか。
各メーカーとも特に高齢者向けというわけではないんです。
しかしこうした高い技術があれば例えば人や建物に衝突する前に自動で止まるとか車間距離を一定に保つアクセルを踏み込みすぎないようにするといった高齢者が安心して乗れる車の開発も難しくはないと思うんです。
むしろそうした高齢者仕様ともいえる車の実用化こそ真っ先に進めてほしいと思います。
高齢者が安全に運転できるような車の技術開発を進めてほしいですね。
車の運転は事故を起こせば自分の身も危険ですし相手を傷つけることもあります。
家族や周囲の人を悲しませることにもなります。
高齢者による事故を防ぐためにできることは何かいざとなったら自分自身も運転をやめることも含めて身近な問題として考えていきたいですね。
寒川由美子解説委員でした。
次回のテーマは、こちらです。
11月5日は東日本大震災を受けて4年前に始まった津波防災の日。
担当は二宮徹解説委員です。
ぜひ、ご覧ください。
2015/11/04(水) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「高齢者の運転事故を防ぐには」[字]

NHK解説委員…寒川由美子,【司会】岩渕梢

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【出演】NHK解説委員…寒川由美子,【司会】岩渕梢

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ニュース/報道 – 解説
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