■高収益の高級車市場
専門家は世界5位(販売台数ベース)の現代自が飛躍を目指すには、「高級車」という関門の突破が欠かせないと指摘する。技術力、ブランド力の象徴である高級車ブランドは世界の大手自動車メーカートップ10の大半が保有している。
カトリック大の金基燦(キム・ギチャン)教授は「年間800万台以上を販売するメーカーは製品群が狭いと、自社製品同士の共食い現象が起き、成虫おが停滞する」と指摘した。トヨタも1980年に燃費性能が良い小型車で米国市場の攻略を宣言し、その余勢を駆って「レクサス」を発足させた。当時レクサスは最初のモデル「LS400」を開発するため、10億ドルを投じ、テスト車450台を製作するなど品質確保に総力を挙げた。
現代自の高級車ブランド進出は、欧米勢と中国・インド勢の狭間で「サンドイッチ」状態にある同社にとって脱出口という面もある。ハイ投資証券のコ・テボン研究員は「現代自はこれまで安くて高品質の中小型、準中型車で成功したが、これからは高級車ブランドとして成熟すべきだ」と指摘した。高級車ブランドの高い収益性と成長率も魅力だ。2010年から昨年まで世界の高級車の年平均販売増加率は10.5%で、同じ期間の大衆車の伸び(6.0%)を圧倒している。
■課題は広告宣伝費と販売網
大衆車でスタートしたメーカーが高級ブランドを立ち上げ、世界市場に挑戦した例は、トヨタ(レクサス)、日産(インフィニティ)、ホンダ(アキュラ)、プジョーシトロエン(DS)など少数だ。それだけ容易ではないチャレンジと言える。その上、最近高級車市場の競争は激化している。年間830万台規模の世界の高級車市場でドイツ系3社が550万台を占める。レクサス、ボルボ、ポルシェを除く残る100万台余りの市場をインフィニティ、アキュラ、キャデラック、ジャガーランドローバーなどが争っている。昨年高級車市場での世界シェアが0.9%だったジェネシス(エクウス含む)は、そんな狭間で成長していかなければならない。
産業研究院のイ・ハング博士は「ジェネシスの成功に向け、現代自とは別の販売網とショールームを設けなければならず、巨額の広告宣伝費負担にも耐えなければならない」と指摘した。