ることで一致したことを明らかにしました。
3人並んで姿を見せた日中韓3か国の首脳たち。
記念撮影の場では。
互いの信頼は取り戻せたのでしょうか。
こんばんは。
これでわかった!世界のいまです。
今夜のゲストは、気象予報士の井田寛子さんです。
ちょっといい雰囲気に見えましたが、この顔ぶれになってからは初めての日中韓首脳会議ということで注目も浴びていましたね。
そうなんだよ。
3年半ぶりだな。
だけどこのアジアの3か国はこれまで頻繁に1つのテーブルを囲んで首脳会議をやっていたんだ。
そもそも日中韓3か国の首脳会議はASEANなどの国際会議の場で首脳が顔をそろえたときに朝食会って名目でやったのが最初でその後も頻繁に開催された。
2008年には当時の麻生総理大臣が地元福岡県の太宰府に中韓の首脳を招いて、3か国が協力することは歴史の必然だと初めて単独で開催した。
晩さん会には福岡県の名産あまおうや柿がふるまわれ3人ともご機嫌だった。
それからは毎年、開催場所は日中韓で持ち回り。
過去にとらわれない未来志向で当時、深刻化していた金融危機などの問題に取り組んだ。
東日本大震災の2か月後には日本に3人の首脳が集まり安全対策や防災面での協力を話し合ったこともあったな。
なのに。
韓国の李明博大統領が島根県竹島へ上陸。
日本政府が沖縄県の尖閣諸島を国有化したことをきっかけに起きた中国の反日デモ。
そして歴史認識問題の影響もあって、結局、日中韓の首脳会議はぱたっと行われなくなっちゃったんだ。
ここできょうの先生の登場です。
国際部塚本デスクです。
3年以上中断していた会議です。
そうです。
3人の首脳による共同記者会見、改めてお聞きください。
今回、共同宣言が採択されたということですが中身を見ていきましょう。
まずなんといっても、3か国の首脳会議、これを今後、定例化していくということです。
それからFTA自由貿易協定の交渉の加速化、経済社会の協力、それから大気汚染ですとか環境問題、そういったグローバルな問題、さらには人的あるいは文化的な交流という環境や学術での交流です。
さらには北朝鮮の核問題、非核化を進め6か国協議、停滞したまま開かれていない6か国協議を再開させることを努力しましょうということです。
非常に多様な合意事項がありますが、なんといっても重要なのは、首脳会議が定例化されるということで一致したということです。
5項目、かなり突っ込んだ話ができたわけですが、そもそも日中も日韓も決して関係がよかったとは言えないと思います。
なぜこのタイミングだったんでしょうか。
すごく仲よくなったわけではないですよね。
なぜ今だったんですか。
変化があったんでしょうか。
まず韓国としては、東アジアの平和と安定に韓国が寄与しているという姿勢をアメリカなど国際社会にアピールしたい考えがあったと思います。
ですから韓国としては、3か国首脳会議を行うということについては前向きだったんです。
もっと早くすればよかったのにという気持ちにもなりますが。
順番からいきますと韓国は去年議長国だったんですが、開催できないままことしに入りました。
韓国は3か国首脳会議を開くことには前向きでしたがこれを開けば、日本との2国間の首脳会談、これが想定されます。
ここは韓国にとってはジレンマだったんです。
パク大統領はいわゆる従軍慰安婦の問題で日本が譲歩しなければ首脳会談は行わないという姿勢を示してきました。
しかし就任以来、1度も首脳会談を開いていないというのは異常な状態です。
しかし今回は、中国も入れた3か国という枠組みでの会談、そして議長国としての会談ですから、日本との1対1の首脳会談よりは、国民の批判を受けるリスクが低いという判断があったと思います。
パク大統領、従軍慰安婦問題について日本側の譲歩を得られなければ会わないということを言っていましたが、今回、韓国国内では理解は得られているのでしょうか。
韓国国内でも、さすがにそろそろ首脳会談に応じたほうがいいのではないかという雰囲気になっていました。
メディアの論調もちょっと変わってきていました。
世論調査にもそうした傾向が現れていました。
先ほど発表された共同宣言に、歴史を直視し未来を志向していくという精神のもと、地域の平和と安定のために努力していくことにしたという文言が盛り込まれました。
日本に対して歴史を直視しなさいとくぎを刺したことで韓国国内ではひとまずの成果と受け止められるだろうと思います。
韓国は分かりましたが、中国はどういう意図をもって参加したのでしょうか。
それはこちらの先生に聞きます。
先週に続いて国際部の奥谷デスクです。
中国は忙しいですね。
今回、中国はどう考えているのでしょうか。
中国にとっても日本と韓国というアジアの重要な2か国と協力すべきところ、経済問題などですね、こういった点で協力するという姿勢をアジアや世界にアピールできる、そういういった意味で意義があるんです。
しかし中国は、韓国ほど差し迫った課題ではなかったんです。
日本と韓国が首脳会議をやろうと言いだしたのは去年からですが、中国は、なかなか反応が鈍かったんです。
というのも日本の安倍総理大臣と会うこと自体が中国にとっては、政治的なリスクになるんです。
特に安倍総理大臣というのは、中国のメディアでは結構、有名になっているのですがいい意味ではなくて危険な人物、戦争をできるようにしているですとか歴史を反省しない、そのように描かれてしまっているんです。
ですのでリスクを取って会ったとしても歴史問題や、ほかの分野、何でもいいので目立った成果が得られるそういった見通しが立たなかったということなんだと思います。
韓国のパク・クネ大統領は9月軍事パレードに出席しました。
出席した際に、中国はようやくここならばということで日程を示したということなんです。
軍事パレードの出席と引き換えに、この首脳会議の出席に応じた形でまさにお土産ですね。
いわば韓国にこういう形で高く恩を売ったとみられます。
政治的リスクというのはなんですか。
やはり中国の指導者にとって日本の総理大臣と仲よくしていると見られるということは、中国国内は、権力闘争がありますので、足を引っ張られる可能性があるんです。
その材料にされる可能性があるんです。
仲よくしていると見られるといい人物ではないのにというふうに受け止められてそれをリスクと考えるわけです。
習近平さんの体制というのは、まだ政治的リスクを気にしないほど盤石にはなっていないということだと思います。
中国にとっては、今回の参加はあまりメリットはなかったということですか。
それが、そうでもありません。
首脳会議が決まったあと、最近、中国を取り巻く環境に大きな変化がありました。
なんでしょうか。
あれですね。
南沙諸島の話ですね。
そうです。
先週やりましたね。
南シナ海の問題です。
ここでアメリカがいよいよ本気になったということです。
先週も使った模型を準備している間にこちらをご覧ください。
ついにアメリカが動きました。
当然、中国政府は強く反発。
アメリカは本気なんですか。
知りたいところですね。
先週の放送でワシントンの石山記者、この取材結果を覚えていますか。
準備は整っている、この発言どおり、直後にイージス艦を派遣しました。
きょうは直接ご本人に聞きましょう。
石山さん、航行の自由作戦、実行するとよく分かりましたね。
アメリカは本気のようですが今後の作戦の見通しはどうでしょうか。
アメリカのいちばんのねらいというのは、中国にもうこれ以上はだめだぞというメッセージをはっきりと伝えることにあったんだと思います。
このままほうっておいて、もし人工島が全部軍事基地になってしまったら、そしてアメリカの船が近づけないということになってしまったら、南シナ海全体に影響を与えるような力を持ってしまうかもしれない、そんな強い危機感があったんです。
かといって、1回行動で示したからといってすぐ中国が言うことを聞くということは思っていないと思います。
ですからこのあとも当面は繰り返しやるぞと言っています。
そしてアメリカは、今度こそ本気だぞということを言い続けることによって中国の出方を見ているという状況です。
アメリカは、本気で怒っているんですね。
中国は、ピンチではないですか。
アメリカは、本気は本気なんですが事を荒だてないようにしているという節もあります。
こちらカーター国防長官の議会での発言をご覧ください。
やはりアメリカとしてもこれをきっかけに軍事的な緊張がどんどんエスカレートしてしまうことは避けたいんだと思います。
実は中国も、ことばでは強く反発しているんですが、その反面意外に冷静なところもあるんです。
例えば、中国軍は今回のアメリカ軍の行動をずっと前から監視していたんですけれどアメリカ軍の話では、人工島に近づいたときでも直接、衝突が起きるような危険はなかったというんです。
そしてそのあとも、すぐに海軍のトップどうしがテレビ電話で話し合いまして不測の事態を避けようとする努力もしています。
要するにここまではアメリカも、そして中国もお互いの手の内をある程度予想しながら対応してきたように見えるんです。
アメリカ側も中国側も形だけということでしょうか、お互いに。
そういうわけではないと思います。
アメリカという国の威信もかかっていますので、最後までやり抜くとは思います。
今後は中国が、次にどのような手を打ってくるのか、そこがポイントになってきます。
そしてアメリカとしては周辺国をはじめ、日本やオーストラリアなどのアジア太平洋の各国の支持を取り付けながら、南シナ海を中国に支配させることはしないと圧力を強めていく。
2つの大国が、ぎりぎりの間合いを詰めながら、けん制し合うという状況が当面は続くんだと思います。
ワシントンの石山さん、朝からありがとうございました。
中国は焦るかもしれませんね。
先ほど中国の報道官が、こわもてで発言をしていましたが、実は焦っていると思います。
今回、共同宣言に北朝鮮問題が取り上げられたということも注目します。
アメリカの怒りが本物であったとしたら、中国はアジア地域で孤立するかもしれないという危機感を感じますよね。
それを避けるためにアジアの安全保障は、日本とともに中国も中国を抜きには語れないんだぞという印象を強めて影響力を維持したいという思惑があるんだと思います。
南沙諸島の問題を巡っては、実は韓国もアメリカに不満を持たれているんです。
パク大統領は2週間ほど前にワシントンを訪れた際にオバマ大統領から強いプレッシャーをかけられていました。
ところが、南沙諸島でのアメリカの作戦行動について日本は即座に行動を支持する。
オーストラリアやEUヨーロッパ連合も支持をする、同盟国ならば支持をするのが相場だと思うのですが韓国は、明確な支持を表明していません。
アメリカからすると不安定な北朝鮮情勢が続く中、日米韓の3か国の連携が本当はいちばん重要ではないかというのはアメリカの立場です。
韓国は、中国に気を遣うあまり、いちばん重要な日米韓の連携を忘れてはいませんかという不満なんです。
アメリカは日米韓の連携を重視する立場で、日韓の関係改善を強く促しています。
アメリカ政府高官は、日韓の協力はアメリカにとって戦略的な優先事項だとまで言っています。
韓国は日本ともっと仲よくしたほうが、いいんではないですか。
アメリカの視線を感じるのであればそうですが、実際にそうなるかどうかはあすの日韓首脳会談にかかっています。
韓国側は、慰安婦問題で日本からなんとか譲歩を引き出したい考えですが、日本は韓国が日本の東北地方の水産物の輸入をいまだに禁止していることや、あるいは長崎県対馬から韓国に盗まれた仏像が返還されていないこと、それから、パク大統領の名誉を傷つけたとして産経新聞の前ソウル支局長が裁判にかけられていることなど、ほかにも問題があるのではないかというのが日本の立場です。
歩み寄りは大変ではないですか。
もちろんパク大統領も経済や安全保障の面では日本と協力していくという立場ですからあすの首脳会談では、今後も緊密に協力していくことで一致はすると思います。
思いますけれども、かといって関係が大幅に好転するかどうかというと不透明だと言わざるをえません。
韓国は分かりました。
中国はどうでしょうか。
南シナ海の問題で孤立の危機感を感じています。
そして以前、番組でも言いましたが、TPP、アジア太平洋地域の経済を日米で主導していくこれが動きだしたことで、焦りを感じています。
ですので今後はなるべく中国は柔らかいイメージいわば、ほほえみ外交をしてくるんだと思います。
ですが、この3か国の枠組みについて言えば柔らかくしたくても、なかなか柔らかくしきれないそういう中国の立場が、先ほどの首脳会議のあとの記者会見で現れていました。
李首相は盛んに歴史問題のことを取り上げて、そこ以外でも何か所か障害を取り除くべきですとか盛んに言っていました。
3か国首脳会議を来年やるということは、李克強首相が日本を訪問するということを約束したことになってしまうわけです。
そうするとやはり政治的リスクがあります。
尖閣諸島の問題や歴史問題、いろんな問題があっていつ日本を批判したり対立せざるをえない状況になってくる可能性もあります。
リスクはあるのですが、なんとか来年の首脳会議開催には応じたということです。
記者会見で何度も言っていました。
強い口調で日本をけん制しているようにも見えますが同時になんとか問題を大きくしないでくれというお願いのようにも感じました。
中国としては日本を警戒しながらある程度、距離を取りながらということになると思います。
今回、3か国首脳会議が開かれたことで定期的に会議が開かれる可能性が出てきました。
いろいろな問題がありますが、日中韓の首脳が、協力していくという立場を示すのは重要だと思います。
きょうは日中韓首脳会議について、塚本デスク、奥谷デスクに解説していただきました。
あすは日韓首脳会談ということです。
注目ですね。
仲よくなってもらいたいですね。
こんなに近い国どうしですからね。
続いて2時間目です。
貴重な文化財が、過激派組織ISイスラミックステートによって破壊されている様子です。
これとは別に、パルミラ遺跡です。
ISが、このパルミラ遺跡の柱を先週、爆破したとみられることも国際的な人権団体が明らかにしました。
紛争は人だけでなくこうした文化財も巻き込みます。
破壊、略奪、流出も後を絶ちません。
流出した文化財を返還しようという動きはあるんですが、なかなか、そこにはさまざまな事情があって返還を妨げています。
東京芸術大学に保管されている壁画の一部。
シルクロードの歴史を彩る貴重な美術品です。
ちょっと注目していただきたいのは、この青色なんですけれども。
壁画はアフガニスタンのこの洞窟の天井から剥ぎ取られたものでした。
この青はラピスラズリ。
当時、この地域でしか使われなかった青です。
アフガニスタンは、古くから文明の十字路と呼ばれてきたシルクロードの要衝です。
首都カブールにある博物館には、1万点もの文化財が所蔵されていました。
1971年には、当時皇太子だった天皇陛下も訪れました。
しかし、長年続いた紛争の中、博物館は破壊されました。
所蔵品の7割が略奪され、次々に海外の古美術市場に流出したのです。
東京芸術大学などは、こうした動きから文化財を守ろうと有志を募り、以前から保護に取り組んでいます。
画家で、東京芸術大学の学長を務めていた故平山郁夫さんがみずから文化財集めに乗り出しました。
集まった壁画は28組に上ります。
修復はおよそ3年で終わり、担当者たちは一刻も早い返還を希望しました。
ところが、アフガニスタンからのたび重なる要請にもかかわらず、返還は実現しませんでした。
理由は、偶像崇拝を禁止するタリバンによる文化財の破壊です。
せっかく修復した文化財がまた破壊され、流出する懸念を拭うことができなかったのです。
文化財の返還を困難にするのは宗教の問題だけではありません。
第2次世界大戦中、ナチス・ドイツが略奪した文化財の返還をテーマにした映画が今月、封切られます。
奪われた絵画はオーストリアの画家、クリムトが描いた女性の肖像画。
この女性のめいのユダヤ人女性が返還を求め裁判を起こした実話を映画化したということです。
主演のヘレン・ミレンさんは文化財の持つ意味を考え続けました。
10年にも及ぶ裁判を経て、絵は女性の元に返ることになります。
10年以上、見送られ続けたアフガニスタンの壁画の返還もようやく実現することになりました。
ことし5月、アフガニスタン政府から、博物館の再建が進み責任を持って保管できるという手紙が届いたのです。
文化財の返還が予定されているカブールの博物館です。
中には、ひどく壊れたまま展示されているものもあります。
そこには理由がありました。
博物館の入り口に紛争の歴史を背負った国ならではのことばが刻まれていました。
2015/11/01(日) 18:10〜18:42
NHK総合1・神戸
これでわかった!世界のいま▽ソウル開催3年半ぶりに首脳会議日中韓の溝埋まった?[字]
3年半ぶりとなる日中韓3か国の首脳会議が、1日午後、ソウルで開かれる。立場に隔たりがある懸案が残る中、中韓両国との関係改善に、どの程度道筋をつけられるのか。
詳細情報
番組内容
【ゲスト】井田寛子,【キャスター】坂下千里子,井上裕貴
出演者
【ゲスト】井田寛子,【キャスター】坂下千里子,井上裕貴
ジャンル :
ニュース/報道 – 定時・総合
ニュース/報道 – 海外・国際
ニュース/報道 – 解説
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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