悲しい出来事があった場所を訪れる事にためらいがある人もいるかもしれない。
しかしあの震災から4年半。
新たな魅力が芽生え始めている事を知っているだろうか。
今年9月被災地で1枚のマップが完成した。
地元を愛する4人の女性たちが知られざるスポットを発掘したものだ。
これまでにないマップを手に旅するのは…地元野菜を極めた1日1組限定の極上フレンチ。
震災後ある思いから生まれた絶景ブランコ!悲しいばかりではない。
楽しい事だってある!被災地を深く知り真っ正面から楽しむ「被災地極上旅」。
福島県の沿岸最南端にあるいわき市。
県内最大の人口を誇るこの町は有数の観光地だ。
映画「フラガール」で一躍有名となった「ハワイアンズ」。
「アクアマリン」は子どもたちにも大人気だ。
更には美人の湯としても知られている温泉もある!いわきにやって来ました。
幼少期にいわき市にはハワイアンズに来た事があるんですけれどもそれぶりなので町がどんなふうに変わってるのか今日は楽しみです。
秋元さんの旅に同行するのはこちらの3人。
いわきで観光の仕事に携わる…マップを作ったメンバーで今回の案内役。
女性向けライフスタイル雑誌の編集者…プロの視点から意見をもらう。
このいわき市福島県いわき市のイメージ。
今回の旅に使うマップは20代30代の女性をターゲットに被災地をポジティブに楽しめるようにと作られたものだ。
それでは出発!最初の目的地は「畑」。
ちょっと変わった体験ができるというのだが…。
何ですかね?何だろう…。
あそこにいらっしゃいますね。
ちょっと呼びかけてみます。
(愛川)こんにちは〜!
(一同)こんにちは〜!
(中尾)赤いつなぎ…。
目立ちますね。
トレードマークです。
いわきの赤い彗星こと…江戸時代から続く農家の8代目だ。
ちなみにマップでもやっぱり赤いつなぎを着ている。
じゃあ早速…。
ちょっぴりおちゃめな白石さんに指導を受けながら今回は里芋の収穫を体験させてもらった。
スパーン!って。
200年以上耕されてきた肥沃な土で化学肥料や農薬を使わず大切に育て上げられた里芋だ。
里芋についた土を落とすにはちょっとしたテクニックが…。
え!?
(白石)できれば高く上げてドーンと落っことしてもらった方が…。
(拍手)よいしょ。
あったくさんなってますね。
白石さん自慢の里芋。
取れたてを頂いた!味濃いですね。
まだこうほんとちょっとだけなんですけどすごく思います。
普通は食べない。
土を食べるって!?いただきます。
(白石)一緒に。
おいしい。
なので自分がダメなんでダメだなと。
しかもそれを口に入れるんですもんねだってできた野菜を。
そうですね。
やはりそこが…原発事故以来続く風評被害。
白石さんの畑でも放射性物質は未検出だったが一時期全く売れなかった。
そこで消費者に理解してもらおうと積極的に畑に人を呼び込むようになった。
こちらの畑では四季折々の野菜を収穫体験する事ができる。
続いて秋元さんが向かったのは白石さんに紹介されたフランス料理店。
なんと1日1組だけの完全予約制だ。
こんにちは〜。
こんにちは〜。
すてきな雰囲気。
いわき生まれのオーナーシェフ…今回白石さんの里芋を使った料理を作ってくれた。
秋の味覚サンマを焼く。
だがメインではないと言う。
あっ里芋が主役なんだ。
(萩)同じ時期のサンマを合わせてるんですけど…ソース代わりというサンマと塩を軽く振っただけの里芋。
いわきの野菜をおいしく食べる極上の一皿。
いただきます。
秋元さんお味は?うん!どうぞ。
震災以来萩さんは毎朝畑に通って野菜を仕入れるようになった。
新鮮な極上野菜をよりおいしく味わうためその日その日でメニューを考えている。
このため1日1組が限界だと言う。
アスパラガスの甘みを引き立てる鮎の苦み。
そら豆とルッコラにははまぐりを合わせ異なる食感を楽しむ。
野菜の良さを最大限に引き出す料理の数々。
原発事故で苦しむ地元農家を支え愛するふるさとの野菜の良さを伝える。
そのために萩さんは料理を作り続けている。
当たり前…。
そうですね。
なかなか予約が取れない萩さんのお店。
マップでは手軽に味わえる楽しみ方を紹介している。
それは萩シェフ手作りの加工品。
いわきのものにこだわったジャムやドレッシングなどだ。
最近開発したのは…生のトマトのような食感を感じられるよう試行錯誤し素材の良さを閉じ込めた逸品だ。
うん!うんおいしい。
酸味と…。
ジュワッときますね。
(萩)うまみがきますよね。
そのあとのうまみと。
震災を真っ正面から見つめたマップ「いわきうふふ便」。
その名前にはある願いが込められている。
震災後観光客が激減したいわき市。
そこで立ち上がったのがマップ作りの中心人物愛川さんだ。
・「胸の真ん中」休日も市内の新たなスポットを探す彼女。
なんと年間1万キロも車を走らせるほど仕事熱心!そんな愛川さんの呼びかけに集まった仲間がいる。
いただきます。
食べる事が大好き!地元の知らない店は手当たりしだい入る…何事も全力投球の熱血女子…根本麻美さんは3人の中で唯一のお母さんだ。
今までのマップでは伝えきれなかったディープな情報や震災後に生まれた新たな魅力に触れてもらえれば観光客も笑顔になるはず。
4人は地図作りに取り組んだ。
(愛川)頑張りましょう!
(一同)オー!いわきと観光客をつなぐ手紙のようなマップそれが「いわきうふふ便」だ。
続いてご案内するのは地元の女性からも大注目の「気持ちのいい」場所。
それをず〜っと上がっていって上にこの景色が。
あっそうなんですね。
入場無料のいわき回廊美術館。
全長166メートルの開放的な回廊はボランティアの手によって作られたものだ。
(中尾)あ〜ほんとそうですね。
あっでも木の香りが気持ちいい。
空間全てが作品のような場所。
今も手が加えられ訪れる度に違った風景を味わえる。
そうです。
震災後にボランティアたちが開墾して作ったとっておきの場所。
さまざまな仕掛けがある。
うわ〜すごい!あるのが…。
(愛川)空中ブランコがあります。
え〜でもすごい!絶景だ。
すご〜い!すごい風を感じて。
あと辺り一面田んぼ。
あ〜気持ちいい!実はここいわきに桜の名所を作ろうと震災後に始まった市民プロジェクトの拠点でもある。
一般から参加者を募り苗木を植え将来世界一の桜が咲き誇る里山を目指す。
その数なんと…中国で長く続く時を表す数字「九十九」にちなんでいる。
こんにちは!こんにちは。
すごく笑顔がすてき。
プロジェクトの中心メンバー志賀忠重さん65歳。
震災直後からこのプロジェクトを始めた志賀さん。
放射能の影響などで人が離れていったり訪れなくなったりしたふるさとに心を痛め思い立ったという。
完成まで100年以上の壮大なプロジェクト。
活動の輪はどんどん広がっている。
現在桜の木は3,000本。
実は植えるにあたって1人につき1本という決まりがある。
(志賀)いやみんなここに植えてあるのは例えばそこにあるのはね青山さんていう人。
でそこにあるのは蔡國強の娘さんのやつ。
(志賀)そうだね。
植えるとみんなそう思うよね。
自分の植えた木と共に関わりを育てていく。
9万9千の人々が被災地いわきに通ってくれるように…。
その願いは芽吹き始めている。
(笑い声)体感します。
いただきます。
うふふふふふ…おいしい。
(2人)わ〜すご〜い。
仲良し。
ユキちゃん!こっち見て。
ママの方見て。
ハーイ。
(シャッター音)マップを通して伝えたかったのは震災を乗り越えるいわきの姿。
しかし全てが順調に進んだわけではなかった。
取材交渉をしていたメンバーの一人…必ずしも歓迎されるばかりではなかった。
はいありがとうございます。
はい失礼します。
あれから4年半がたち「震災との関わりを抜きにして評価されたい」という人もいた。
取材の過程で度々集まったメンバーたち。
震災とどう向き合えばいいのか…話し合いが繰り返されてきた。
確かに。
「取材を」って言った時みたいな。
うんそうそうそう。
そこは…。
いわきの今を伝えるためにみんなで見つけたキーワードがあった。
震災を乗り越える姿だけでなく日常を取り戻し普通に過ごしている人々の事も伝えていく。
マップには彼女たちのさまざまな思いが込められていた。
今回愛川さんが取材を続ける中で発見したイチオシがある。
是非自分の目で見て感じてほしいという福島を知るイベント。
それは…月に一度のため残念ながら秋元さんは参加できなかった。
乗船時間5時間のクルージング。
このイベントの主催者小松理虔さん35歳。
いわき市でフリーのライターをしている。
どんどん北上を続ける船。
という事はこの先に…。
うわ〜ほんとだ〜。
福島第一原子力発電所が見えてきた。
船は更に近づき立ち入り可能な原発から1.5キロの地点に。
陸に比べて格段に線量が低いためここまで近づける。
人々に大きな不安を抱かせ生活を一変させたあの原発が目の前にある。
あの事故に思いをはせていると始まったのが「釣り」!そう!原発の沖で釣りをするというイベントなのだ。
わ〜やった〜!わ〜すごい!海釣り初体験の愛川さんも…。
入れ食い状態!釣り上げたのは巨大なメバル。
原発20キロ圏内は今も漁を自粛している。
その影響で魚は大きくなりその数も増えているという。
釣った魚は食べるのではなく放射線量を測る。
実はこの「うみラボ」「調査」なのだ。
後日市内の水族館で行われる計測もイベントになっている。
お客なら誰でも参加可能。
いわきの海の現状を楽しく知る事ができる。
どこでとれた?刻んだヒラメの身を専用の機械に入れて計測する。
そして結果を待っている間のお楽しみが…こちら。
安全が確認された福島の魚介類を使った料理がなんと無料で振る舞われる。
料理を目当てに来る人も多いのだとか。
検査結果が出たようだ。
原発2キロ沖のヒラメからヨウ素やセシウムは検出されなかった。
原発沖の他の魚も最高で8.3ベクレル。
国の基準100ベクレルを大幅に下回った。
原発事故から4年がたち海の中も平常に戻りつつある。
主催者の小松さんはイベントで被災地の状況を知ってもらうとともにそこで暮らす人々の生活にも目を向けてほしいと考えている。
「被災地極上旅」最後の目的地は港町小名浜。
県内最大の漁港がある町だ。
(一同)こんばんは〜。
根本さんが最後にこの店を選んだのはいわきの日常を是非秋元さんたちに知ってもらいたいとの思いからだ。
この干物風?干物風?これは干物風って読むんですか?
(松田)うん。
干物風。
これってどういう意味なんですかね?秋口になってくると北西の風大体吹いてくるんだけどそれが結構湿気がなくてその風はね。
干物風。
アハハハハ。
冷たく乾燥した風が一気に干し上げてくれる事で風味が増し味わい深くなるといういわきの名産メヒカリの干物。
ここに暮らす人々のソウルフードになっている。
メヒカリは…。
(松田)メヒカリはこれですね。
あっおいしそう。
この店の最大の特徴は開きにしている事。
内臓を取ってあるので苦みがなく身のうまみのみが楽しめる。
きれいに内臓とかもう…。
メヒカリの干物特別に頂く事ができた。
干している途中から買い手がつくほど人気の商品だ。
いただきま〜す。
頭からガブッといっちゃいます。
ん!すごい…思った以上に脂がのってますね。
骨も全然食べられます。
え〜こんなにおいしいものを。
なんかだってもうお皿に滴るぐらいの脂が!うん。
おいしい!ここで登場したのが江戸時代から続く農家の白石さんが作った新米。
おいしい。
甘みがあって。
すごいみずみずしいな。
干物と御飯。
(一同)うん。
よかったです。
それが何よりです。
幸せでした。
被災地いわきの極上を詰め込んだ新たな観光マップ「いわきうふふ便」。
震災後に生まれた新たな魅力そして震災前から変わらない魅力が詰まっている。
4人の女性がひたむきに作ったマップがあなたの旅を待っている。
今回秋元さんが巡ったこちらのマップ。
観光案内所に置いたところ半日で1,000部がなくなりまして1万部増刷されるほどの評判となっているそうなんです。
現在いわき市観光情報サイトのホームページにもこのマップが掲載されています。
ご覧になってみてはいかがでしょうか?さて被災した地域で頑張る人を紹介して応援するキャンペーン「花は咲くあなたに咲く」。
今年1月からスタートしましてさまざまな人たちを紹介しています。
今回は福島で元気に活躍する女子高校生の様子をお伝えします。
ちょっぴり日焼けした女子高生が通うのは福島市の仮設校舎。
学校は原発事故の影響で富岡町から離れざるをえなくなった。
実は彼女たち福島県で最強の女子サッカー部。
練習グラウンドは借り物。
部員も減少。
でも目指すは全国大会だ!彼女たちの活躍に町の人たちも勇気と希望をもらっている。
しっかりやっていきましょう!
(一同)はい!いくぞ!
(一同)おしっ!「花は咲くあなたに咲く」。
この女子サッカー部の活躍の様子は次回の「明日へ−支えあおう−」で紹介します。
さあ他にもNHKでは復興を応援するさまざまな番組を放送しています。
復興に向かう地域の知恵や教訓を外国人リポーターの視点で世界に発信している番組…岩手県宮古市の小学校に運び込まれていく大きな模型。
製作したのは地元の高校生たちです。
宮古市沿岸部の立体模型を製作して子供たちに津波を実感してもらおうと活動しています。
かつて東北で英語の先生をしていましたダニエル・カールさんが訪ねました。
震災で発生した津波の再現です。
海水に色をつけて波の動きが見えやすいようにしています。
川を遡上する津波。
カーブを曲がりきれずに堤防を越えてあふれ出しました。
津波模型班の中には震災の2年前にこの防災授業を受けた生徒もいます。
次の世代へつなげる高校生たちの防災活動の取り組みを追いました。
この他にもさまざまな番組で東北の魅力をお伝えします。
詳しくは「花は咲くあなたに咲く」のホームページをご覧下さい。
では被災した地域で暮らす方々の今の思いです。
七ヶ浜町花渕で暮らしています。
私の家では目印として日の丸を揚げています。
私は震災後に七ヶ浜町に来て災害救援活動とともに今は町のにぎわい作りの場をさせて頂いております。
復興は進んでいますがまだ七ヶ浜町の活性化には時間がかかると言われています。
住民の皆さんが望む…私たちは七ヶ浜の農家です。
震災でほとんどの田んぼが甚大な被害がありました。
今は8割まで生産が戻っています。
頑張ろう!
(一同)オー!2015/11/01(日) 10:05〜10:53
NHK総合1・神戸
明日へ−支えあおう−「被災地 極上旅〜福島 いわき市〜」[字]
今も観光客減に悩む福島。いわき市の女性たちが作った「裏マップ」がいま話題となっている。被災地発の体験や味覚が満載。女優・秋元才加がこの地図を手に旅をする。
詳細情報
番組内容
原発事故の影響で、いまだ観光客離れに悩む福島県いわき市。起死回生を目指していわき市の女性たちが町の魅力を掘り起こした「裏マップ」がいま話題となっている。震災があったからこそ生まれた名所、味覚、そして人との出会いが満載。女優・秋元才加が、この地図を片手に旅をする。そこから見えてきたものとは…。被災地を深く知り、真正面から楽しむ“極上旅”へいざなう。
出演者
【出演】秋元才加,【キャスター】畠山智之
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ニュース/報道 – 定時・総合
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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