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<R18> 18歳未満の方は移動してください。 この作品には 〔ボーイズラブ要素〕 が含まれています。

とある少年のお仕事事情

作者:すな
 
「んっ……っ……っ…ぁあっ」

 広いベッドの上で四つん這いになった俺の後孔には、凶悪な肉棒が出たり入ったりしている。
 ふんだんに使ったはずのローションはすでに掻き出され、替わりに散々注がれた白濁が粘着質な水音をたてながら、ぷるぷると震える太腿を伝い落ちてくる。

「っ、んっ、ぁっ、あっ、んんっ」

 俺の腰をがっちりと掴む男の腰使いが、今日何度目かの逐情を知らせる速いものになって、その乱暴な抽挿に倒れ込みそうになるのを必死に堪える。
 張り出した亀頭が前立腺を擦って、最奥のいいところを的確に突く。絶え間なく与えられる強烈な甘い刺激に、俺の腰はふにゃりと砕けてしまいそうだ。先ほどから俺のムスコも、先走りとも射精とも分からない状態でダラダラと水っぽいものを吐き出していた。

「んんああっ!」

 あと少しで俺も極めそうだったのに、男は無情にも後孔から肉棒をあっさりと引き抜いた。
 そうして俺の身体を裏返しにして仰向けに寝かせると、手荒く股を割り開く。

 早く……

 続きを乞うように俺の後孔ははくはくと戦慄いた。
 表情を作る余裕もなく、俺は左手で顔を覆って、胸を上下させながら熱い呼吸を繰り返した。

「いい眺めだな」

 艶をはらんだ低い声で俺を見下ろす男が言う。
 目元を覆う自分の掌で男の顔は見えないというのに、男の視線が俺の身体を舐めるように注視している気配を感じてしまって背筋がゾワりとした。

 限られた視界に入る男の身体には、無駄のない実用的な筋肉がついている。それがこれまでの淫らな運動で張りを増して汗を滲ませ、フェロモンのようなそそられる匂いまで発しているからたちが悪い。
 その上、引き締まった腹には、撹拌された精液がべったりと付着した立派なペニスが張り付くようにそそり勃っていて、目線をそこから外すことができなかった。

「っ、焦らすなよ!」

 もう少しでイケるとこだったのに! 相手をなじる俺の声は興奮気味に掠れていた。

 男は、俺のこの強気な性格を気に入っているらしいので、俺も変に取り繕わない。
 顔を覆っていた手をどけて、男の秀麗でいて野性味あふれる顔を睨みつける。
 歳は三十代半ばといったところで、むかつくほどの男ぶりだ。普段は後ろに流している黒髪がふた筋、形のよい額にかかっているのがまた厭らしいほどに似合っている。

「たまには、可愛く強請ってみろ」

 愉悦の表情を浮かべた男は、俺のひくつく後孔からドロドロのペニスの裏筋を熱くて固い肉棒で焦らすように擦った。

「早く……挿れろ」

 俺は目を逸らして小声で言った。
 命令されれば、それに応えるのはやぶさかではない。俺が腹の中で何を思おうと、客の要望に応えて愉しませるのが俺の仕事だ。
 ここで一旦拗ねて見せるのも、男を悦ばせる伏線の一つにすぎない。

「何だって?」

 男の切れ長の目が、からかうように細められる。

「そのでっかい一物を、俺のこの淫乱なケツに突っ込んで、奥までずぶずぶかき混ぜてください!」

 キレ気味に言った俺は羞恥に顔を真っ赤に染めて、両手で後孔を広げて見せると、これまで大量に種付けされた白濁をゴポリと捻り出した。
 こういうの、好きだろ?

「言うようになったな、お前も」

 案の定、俺の痴態に満足した男は、その端整な顔を色気むんむんにニヤけさせて俺に襲いかかってきた。

「ーーーっああっ!」

 なんだかんだ言ってアナルセックスの味を覚え込まされてしまった俺の身体は、極上のペニスとテクニックに呆気なく陥落して、歓喜の嬌声を上げた。



「もっとっ……あっ、そこっ」

 俺は男の腰に足を絡めて、素直に快感を貪っていた。
 たぶん今日はこれが最後の一発になるから、これまで喘ぐのを我慢していた分、俺は意識して甘く啼いた。

「んっ」

 男も俺をとろかすように最奥を小刻みに突きながら、ねっとりとしたキスをしかけてくる。
 絡め取られた舌を絶妙な力加減で吸われてると、脳髄が焼き切れそうなほどに気持ちよかった。

 俺のめろめろ具合に男もまんざらでもない様子だったから、さらにサービスで男の首に両手を回して、キスに夢中な感じを演出してみた。

 一方でがっつりと繋がった結合部からは絶えず快感の大きな波が押し寄せて、俺のペニスはいつ弾けてもおかしくはない状態だった。

「だめ…もっ……っやく…いけっ」

 このままでは男より早く自分が達してしまいそうだったので、俺はなけなしのテクで腰をずらしていい所から外そうとするのに、逆にがっちりと抱き込まれてしまう。

「素直にイっとけ」

「やっ…あんたがっ」

「一緒にイきたいなんて、お前も大概…」

「ちげっ、よっ…ああっ、はあっ、んんんっ!」

「ここ好きだろ?」

 腰にクる低い声。その声は反則だ。
 男は囁きながら、ゴリゴリと抉るように腰を回してきた。
 一瞬にして、俺の思考が桃色に染まる。

 結局、百戦錬磨の色男にお仕事歴四ヶ月の俺が敵う訳もなく、俺はあっけなく白旗を上げて、二人の腹筋の合間にやや薄くなった白濁を零した。

「っぁっ、っーーーーー!」

 後ろの孔だけでイった俺の腰は盛大に痙攣して、内壁ははしたなく男の精を強請って肉棒を喰い締めた。
 長く絶頂を極める俺を悠然と見下ろす男は、締めつけに逆らって力強くペニスを往復させると、最奥に熱い迸りを放って勝ち誇ったように笑った。



 初めて後ろだけでイった時、俺は呆然自失で号泣した。堕ちるところまで堕ちて、自分が自分でなくなってしまったような気がしたんだ。
 その時の相手もこの男で、泣いて癇癪を起した俺を、男はやけに上機嫌で慰めた。はっきり言って黒歴史以外の何ものでもない。

 今はそれなりに慣れてしまって、普通では体験できない貴重な経験だと思うことにしている。割り切れば、こんなに気持ちいいセックスは他にはないだろうから。
 それに、幸いにも、問答無用でイかされるのはこの男だけで、他の客のときはある程度自分でコントロールすることができた。

「水飲むか?」

「ん……ぁあっ」

 いまだ絶頂の余韻に浸る俺に挿入ったまま、男がベッドサイドのローテーブルに置いてあった水のボトルを取って自らが先に飲む。
 萎えても質量のあるそれが、また張りつめたらどうしようと思うのに、抜く気力もない。
 そうこうしているうちに、水を口に含んだ男の唇が近づいてきて、俺は抵抗せずに口移しで水を飲んだ。
 三回ほど水を飲まされて、そのまま口付けが深くなる。俺はされるがままに、男の気まぐれで後戯のような緩慢ないちゃいちゃに付き合った。

 目を閉じていると、疲労と眠気が一気に押し寄せてくる。
 このまま寝られたらいいのにと思ったところでキスは終わり、ずるりと腹から熱い塊が引き抜かれた。

「寝てろ」

 男は短くそう言うと、ガウンを羽織って浴室の方へと歩いていく。
 ガウンに隠れる前のその背中には、鮮やかな登り龍の刺青が全面に彫られていた。



 尻穴の濡れた感覚が超絶に嫌いだ。
 致しているときは気にならないが、準備のときと終わったとき、何とも言えない不快感に襲われる。
 特に事後、それが他人の精液だと思うと、今でも屈辱感が拭えない。
 せめて一拭きしていってくれとも思うが、それは客の仕事ではなかった。

 疲れ切った重い身体を起こした俺は、ベッドサイドからティッシュを取って尻穴を拭った。
 生中出しが基本のアイツは、毎回容赦なく何発も注いでくれる。掻き出さないと腹が……

 惨めにも尻穴に手をやって、そこで俺の記憶は途切れた。



「あっ……」

 俺の身体は感度がいいらしい。
 後孔だけでイケるのもそうだし、耳や首筋、脇腹、乳首でも感じでしまう。
 容姿のおかげで、男娼なんてものになるハメになってしまった俺だが、唯一の救いは、素質があって最初から高級ランクで売り出しているため、客の質がよく量を稼がなくていいことだった。

「はぁっ……やっ」

 まだ眠いのに、誰かが寝ている俺の身体をまさぐっている。
 昨日は夜遅かったから、昼過ぎまで寝ていたいのに。

 ぴちゃ。れろ。

 指圧でしこった左の乳首が、熱い唇に食まれて舌でなぶられる。
 男娼のデビュー前に受けた研修で、俺の身体はひたすら快楽を覚え込まされた。こんな風に優しく気持ちいいことだけをされて、抱かれる悦びを享受するよう仕向けられたのだ。

 俺は父親の違法賭博の借金が原因で、その(かた)にヤクザに拉致られて、最終的にこの男専門のヘルスに売られた身だったから、どんな暴力と脅しがまっているのかと思ったら、肩透かしを食らったんだった。

「んっ…あっ…あんっ」

 今度は右の乳首が齧られる。唾液に濡れた左の乳首はすーすーとして甘い痺れが腰に来る。
 それでも、完全に覚醒するほどの強い刺激ではなくて、俺は心地よい微睡みの中、眠気と快感の両方を楽しんだ。

 両乳首をなぶった唇は、徐々に下に降りていき、臍から脇腹、腰骨へと俺の快感ポイントを辿って、朝勃ちと愛撫できざしている一物に吐息がかかる。

「んあああっ」

 いきなり俺のムスコは熱い粘膜に包まれた。
 色白の俺はそこの色もキレイな方らしく、客の一人が毎回皮がふやけるほど熱心に舐めてくれる。でもこのしゃぶり方はその人じゃない。

 喉奥まで咥え込んでじゅぶじゅぶと出し入れされたかと思ったら、分厚い舌が甘やかすように亀頭を絡め取る。俺は自然と腰を揺らした。

 俺どこで寝てんだろ? 昨日の夜はどうしてた?
 まだよく回らない頭で俺のちんこを舐めまわす相手を推し量るが、うまく考えがまとまらない。

 うっすらと目を開けてみたが、日の光が眩しくてすぐに閉じでしまった。

「やっ」

 唾液と俺の先走りをまとった指が、後孔のすぼまりをやんわりと撫でる。
 するならローションを、と思ったが、後孔は苦もなく俺よりも太くて長い指を受け入れた。

 昨日散々したから柔らかいんだ。
 それだけは何となく分かった。

「んっ、ふはっ、あっ」

 長い指が二本、俺の好きなところを捏ね繰り回して、鈴口に溜まった先走りの雫をちゅっと吸われる。俺は夢見心地で腰をくゆらせ甘い感覚に酔いしれた。
 このまま緩い刺激でゆっくりと昇りつめて達したら、数倍気持ちがよくて幸せな気分になれる気がした。

 だけども、そんな俺の希望は叶えられないようで、入り口に熱くて太い何かが押しあてられる。

「ぁっ!」

 その固い楔は少しずつ俺の中に入ってきた。昨日の名残で解れているのか、太さの割に抵抗なく入ってくる。
 エラの張った亀頭に血管の浮き出た逞しい棹。この形を俺はよく知っていて、内壁は無意識にきゅっと張り付いた。

 頭上で、柔らかく笑った気配がした。

「っ……ふっ……んっ……」

 その抽挿は、昨日と違ってひどくゆっくりで、俺はなんだか泣きそうになった。
 俺は腕を持ち上げて顔を隠した。

「起きたか?」

 朝日がこれほど似合わない男もいない。
 そう、男は思いっきりヤクザだった。広域指定暴力団の幹部で、かつ二次団体で若頭なんていう地位にある危険な男だ。親の借金を子供から回収しようとする人でなしでもある。

「最低だ。寝てるうちにするなんて」

「でも、気持ちよさそうだったぞ」

 男が固く色づいた俺の乳首を弾いた。

「くっ」

 さっきまで感じるままに出していた声を俺は押さえた。

 そこからはいつもの調子で男に翻弄されっぱなしだったけれど、一貫して律動はスローペースで、最後は対面座位でキスをしながらペニスを緩く擦られて一緒に果てた。

「ふはっ…んっ、ちゅっ」

 男の精を受け止めた腹がやたら熱くて、それが二人の隙間から零れて尻穴を不快に冷たく濡らすまで、俺たちは飽きずに互いの唇を貪った。



 気がつけば時間は七時を過ぎたところで、それから二人で朝日の差し込む風呂に入った。
 俺は疲労と寝不足でダルい身体に鞭を打って、男の髪と身体を洗ってやった。
 長身にしなやかな筋肉のついた身体は理想的だったけれど、背中全面に入った刺青だけはいただけない。勿体なく思ってしまったのは秘密だ。

 洗いあげた男を先に湯船に浸からせると、自分の髪と身体も素早く洗う。
 男が放った白濁を掻き出すときには、視線が痛いほど背中に突き刺さったが気がつかないふりを決め込んだ。昨夜中出しされた五発分の精液を誰が処理したのかも、追及しない方がいいだろう。

 そそくさと湯船に入って一息つけば、男に後ろから抱き締められるようなポジショニングをとらされる。

「今日の夜は予定入ってるのか?」

「予約が入ってる」

「誰だ?」

 右耳の耳たぶを甘噛みされつつ訊ねられる。
 男娼にも守秘義務があるが、このクラブは男の所属する組織の系列だった。当然、俺の顧客情報もすべて把握されている。

「若社長だよ。店外デートでディナーの後、らぶエッチ……」

 俺の初めての男でもある不動産関係の会社を経営する男は、恋人設定が希望だ。本物の恋人には時間や手間を取られてしまうので、男娼相手に性欲の発散と甘い気分のいいとこ取りをしたいらしい。

 プレイは一貫してノーマルで、無理な要求もなく、本当の恋人みたいに気を遣ってくれる。
 清潔感のあるイケメンだから最初の仕事相手として最適な人物だったし、彼の方も俺の初めてを奪ったことで愛着があるようだ。金払いもよく頻繁に予約を入れてくれる上、俺はもっぱら甘えていればいいだけだから良い客だった。

「そうか」

 男の機嫌が一気に下がり、俺は内心でほくそ笑んだ。

「週末は?」

「院長先生としっぽり温泉旅行」

 某組御用達の病院の院長先生も俺の太い客の一人。ナースコスや淫らなお医者さんごっこに加えて親子設定が好きな変態だけども、基本紳士だし、見た目は渋いロマンスグレーで嫌悪感は特にない。
 最後までしないときもあるし、やって一回、身体的には非常に楽な客になる。
 ちなみに温泉では赤襦袢で花魁プレイの予定だ。

「楽しそうだな」

 なじるように両乳首を摘ままれた。

「沢山稼ぎたいからな」

 俺はツンとして言ってやった。好きでやっている訳ではない。

 男はそれから黙ってしまったけれど、背後からずっとセクハラし続けてきた。

 そのうち男の股間が本格的に元気になってきて、俺は堪らず口ですることにした。
 これ以上尻を使わせたら緩々になってしまう。若社長と致すときは事前準備は不要で、固い蕾を手ずから柔らかく解すのも恋人シチュの一環だった。

 ちうっ。

 浴槽の縁に座った男の脈打つそれを握ってしごきながら、鈴口に吸いつく。とてもではないが全部を口内に収めることができない大きさだ。顎全開でかろうじて上の部分を含んでも、射精するまで前後運動していたら確実に顎が外れてしまう。

 思考錯誤の末、この男のモノをフェラするときは、毎回手で棹を擦ってエラや鈴口に舌を這わせ、男の様子を窺っては、亀頭を口に含んで吸い上げる。
 そうして最後は男に頭を押さえつけられて、口内に勢いよく発射されるのだ。

 何とも言えない味と匂いに俺は泣きそうになったけれど、意地で全部を飲みくだした。
 ぶっちゃけ、後孔で受けた方がよっぽど気持ちがいいし楽だったが、この感想は決して言うまい。

 意外にも男はすぐに口をすすぐように言ってくれたのでお言葉に甘える。
 口をゆすいだらゆすいだで、長いキスが待っていた。朝食を前にして諸々でお腹いっぱいである。

 風呂からあがれば、俺はまたまた疲労困憊のまま、男の髪をドライヤーで乾かした。続いて自分の髪を乾かしている間に、男はスーツに着替えていた。

 俺はバスローブ姿で、男と二人で厨房から届けられた朝食を食べた。
 驚いたことに、このクラブには高級フロアの客のために一流の料理人が常駐していた。

「来月の第三週は全部空けておけ」

 ふわふわのスクランブルエッグを頬張る俺に男が言った。

「分かった」

 俺は生返事で応える。どうせ俺の予定は支配人が勝手に組むのだ。男はこの後支配人に直接指示を出すだろう。

 風呂場でのフェラで顎の疲れた俺がもそもそとバケットを食べているうちに、男は新聞を片手に食後のコーヒーを飲んでいた。

「じゃあ、俺は行く」

 早朝からの情事のせいで、本格的に眠気がぶり返してきた俺に、スーツの上着を羽織りながら男が言った。

「行ってらっしゃい」

 条件反射的に言ってしまったが、俺は間違えた。
 またのご利用をお待ちしてます。それが正解だった。

 男は俺のボケにふっと笑うと、頭をひと撫でして額にキスして帰っていった。

 胸の中がもやもやする。

 俺が初めて後ろだけでイって、その後二回くらい寝たとき、男はいきなり俺を身受けしたいと言い出した。
 自分でこの世界に沈めておいてよく言えたものだと俺は密かに呆れて、もちろん即座に断った。

『俺は自分の身体一つで、陽のあたる場所に戻る』

 なんてキリッとして言ったせいか、男は俺の意思を尊重してくれて強引に囲うことはしなかった。

 その判断に後悔はないかと問われれば少し答えに迷う。
 正直、男と俺の身体の相性はすごくいい。まだ少ない経験人数でもそれだけは覚ってしまった。
 それは良いことでもあるが悪くもあって、あの男一人とずっとしてたら、俺はいつか快楽漬けの依存症になってダメ人間になってしまうだろう。

 自分の力だけで三千四百万の借金を返済するっていうのも、確かに俺の本望だ。

 アイツはせいぜい他の男と俺を共有すればいい。
 口内のバケットを無理やり飲み込むと、俺はふふと声を出して笑った。



 自慰を見たがる客はいるけれど、この人に見せることになるとは思わなかった。

 俺は膝立ちでムスコをしごきながら、少し前かがみになってローション濡れの指を後孔に突き入れた。

「やっ…はずかしっ……そんなに見ないで」

 赤面して恥じらいを含んだ声音でそう言っておいて、俺は若社長によく見えるように足を開くと、二本の指を咥え込んで粘着質な音を立てる蕾を眼前に晒した。

 当初の予定通り、俺たちは有名な高級フレンチ店でディナーを食べて、湾岸をドライブしたのち、やる気満々でクラブの一室に入った。
 そうしていざエッチにもつれこんだところで、社長は後ろの緩さを指摘してきた。

 もちろん、俺にも仕事があることを重々承知している社長は、無粋なことは言わない。
 しれっと浮気を疑う嫉妬深い恋人を演じつつ、寂しくて一人でしたんだよなってことにされて、じゃあ見せてごらんっていう展開に持ち込んで今に至っている。

「んっ、んっ、ぁっ、ゃあっ」

「何をオカズにしてるのかな?」

 三十過ぎの優男である社長は、冷静に俺の乱れ具合を観察しつつ、落ち着いたいい声で聞いてきた。

「そんな…言えないよっ」

「まさか、女の裸とか?」

「ちがっ」

 俺は顔を隠すようにベッドの上に上半身を倒した。強調されたように持ち上がった尻には、まだ指が出入りしている。そろそろ熱くて固いナニが欲しくなってきた。

「…………初めて後孔(ここ)で……えっちしたときのことだよ」

 耳まで赤くなった顔を寝具に擦りつけながら、辛うじて聞きとれるほどの小声で言う。

「君はホントに可愛いな」

「ぁあっ」

 社長の温かくて大きな掌が、俺の反った背中を撫でた。

「も、して」

 俺は社長のジムできちんと管理され均整のとれた身体に縋りついた。

「これ欲し……」

 すでに臨戦態勢で天を向く肉棒に遠慮がちに触れる。

「じゃあ、自分で着けて挿入れてごらん」

 欲望に濡れた瞳で、でもにっこりと優しく笑う社長から俺はゴムのパッケージを受け取った。



「気持ちいい?」

「うんっ、すごっ……ああっ…そこっ…好き……はあっ…ああんっ」

 俺の特に技巧を凝らさない騎乗位でも満足してくれた社長は、体位を変えて正常位で俺に圧し掛かってきた。

 社長とのセックスは基本されるがまま。本人もそれを望んでいるみたいだから、要求されない限りは変にリードしたり付け焼刃のテクを披露したりすることはない。
 彼氏とえっちしてるって状況だけを頭に入れておけばいい。
 前後不覚になるほどに責められたり、精液まみれになるほど一晩中挑まれることもなくて、普通に気持ちいいから結構好きだ……

 あれ、俺、案外この仕事にハマっちゃってる?

 今日は社長がいつも以上に甘やかしてくれるから、このあと風呂でもう一回生でしてもいいかもなんて思ってしまってる。

「ああっ、だめっ、触ったら、すぐ出ちゃっ」

「僕も、もう達くから、一緒に、ね」

 俺のペニスをしごきながら、恋人仕様の甘い囁きで社長が言って、唇に軽く触れるだけのキスをくれる。

「はうっ、きてっ…あんっ、あっ、ああっ!」

 我慢することなく素直に白濁をまき散らすと、社長が色っぽい声で呻いて身体を震わせた。薄いゴム越しにどくどくと熱い飛沫が吐き出されるのを感じる。


 男のペニスを喰い締めながら、でもいつか、まっとうな人間に戻ってやるって、俺はそれだけは忘れないようにと思うのだった。


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