3カ国間での最も大きな問題は中国による南シナ海の人工島問題と周辺海域の実効支配の拡大であるといえる。中国が人工島と基地を建設し、その周囲の排他的経済水域と主張している海域は、世界の石油や天然ガスの3分の1が通過する場所であり、日本への資源はこの水域を通過して輸入される。
万が一、中国がここを閉鎖し、周辺海域の封鎖をした場合、180日程度の石油備蓄があるとはいえ、日本経済の影響は甚大なものになる。そして、それは米国ひいては世界にも大きく波及すると考えられる。だからこそ、米国は“航行の自由作戦”を開始し、日本や周辺国、そして、欧州連合(EU)など西側先進国もこれを支持する声明を出したのだ。
本来、今回の会談の一番の目的はこの問題の解決を模索することだったと思われる。中国としては、最大の経済大国であり、軍事大国でもある米国の怒りをこれ以上買うのを避けたい。日本も暴発を防ぐパイプだけは確保しておきたかったと思われる。韓国としても下手に中国に同調し、米国や国際社会を敵にしたくない。今回の「北東アジアの平和と協力のための共同宣言」の名前の由来は、そこにあるのだろう。