【BOX】河田、パラシュート部隊仕込みのパワーで28秒殺MVP
2015年11月4日6時0分 スポーツ報知
◆プロボクシング 第72回東日本新人王決勝戦 ▽スーパーライト級5回戦 ○河田神二郎(KO 1回28秒)土屋浄司●(3日、東京・後楽園ホール)
9階級で決勝を行い、棄権選手が出た3階級と合わせ、12階級で東日本新人王が決定した。自衛隊の“パラシュート部隊”出身のスーパーライト級の河田神二郎(25)=宮田=が、試合開始28秒で2度のダウンを奪う衝撃の1回KO勝ちでMVPに輝いた。12選手は12月20日の全日本新人王決勝戦で、西軍代表と日本一を争う。
まさに歩く兵器だ。開始直後、河田は右ストレートと左フックのコンビネーションで土屋浄司(22)=フラッシュ赤羽=の頬をとらえた。ダウンにめげずに立ち上がった相手に容赦なく連打を浴びせ、とどめは左フック。失神した相手の横で歓喜のバック宙を繰り出した。わずか28秒。「全然、勝った実感が湧かない」という瞬殺劇だった。
納得の身体能力だ。北海道・南幌高卒業後、陸上自衛隊に入隊。パラシュート部隊で知られる習志野駐屯地の第1空挺(くうてい)団に配属された。精鋭部隊の訓練は、夜中に叩き起こされた直後の1時間超の腕立て伏せや、脱落者続出のランニングなど地獄の日々。ボクシングは入隊中、友人の誘いで始めた。「自分が隠していた部分を刺激された」。闘争本能に火がつき、2年間過ごした自衛隊もやめた。
昨年は予選の初戦で敗退。今年は恐るべき強さを見せつけた。「初めはプロになりたくて始めた。目標は少しずつステップアップしてきた」。パラシュート降下でも鍛えられた体力、根性で頂点に上る。(飯塚 康博)
◆河田 神二郎(かわだ・しんじろう)1990年5月16日、北海道生まれ。25歳。5勝(5KO)1敗1分け。身長172センチの右ボクサーファイター。