【コラム】慰安婦交渉、金泳三・李明博政権の失敗に学ばない朴槿恵政権

李明博政権、「骨の髄まで親日」批判でツートラック外交と同時に終了
「早期妥結」の約束は奇跡を期待するようなこと、交渉決裂後に何をすべきか

 李明博政権は「実用外交」をスローガンに掲げ、安全保障と歴史問題を分けて取り組もうとした。最近よく使われる言葉で表現すれば「ツートラック外交」だ。李元大統領は慰安婦問題では日本に攻勢をかけたが、その一方で安全保障では米国の顔色をうかがいながら日本をパートナーとして尊重すると明言していた。このツートラック外交は慰安婦問題での交渉決裂からわずか4カ月後に破綻した。きっかけは韓日両国による軍事情報保護協定問題だった。この問題で李明博政権は「骨の髄まで親日」などと反対派から攻撃を受けた。この言葉は慰安婦問題に取り組む市民団体が最初に使った。日本の首相の前で慰安婦問題について演説を行った李前大統領も、そこまで激しく批判されるとは予想もしていなかったはずだ。

 韓国の権力者たちは過去から学ぼうとしないようだ。慰安婦問題は金泳三(キム・ヨンサム)大統領の在任中、韓日両国の間で今よりももっと大きな懸案だった。金泳三元大統領は自らの道徳性に酔っていたが、日本に対してもそのような感情を持っていた。慰安婦問題について「日本に金銭的な補償は要求しない。韓国政府が被害者を支援する」と堂々と宣言し、その一方で日本には徹底した真相解明を要求した。その結果として出てきたのが、慰安婦の強制動員を認めてこれを謝罪したいわゆる「河野談話」だった。

 当時、金泳三大統領とこの問題を担当した元政府関係者は「金大統領はこの問題で日本に配慮すれば、日本はおのずからこちらの意向をくむと信じていた」と語る。平凡だが、まさに権力万能の考え方だ。しかし日本はこの時も法的な責任は認めなかった。慰安婦被害者たちも譲らなかった。賠償を受け取るかどうかはどこまでも被害者本人たちが決めることだった。市民団体を中心に賠償問題が再び表面化するのは、それからわずか数年後のことだ。金泳三大統領は河野談話を引き出したが、一方で今に至るまで韓国にとっては大きな重荷だ。「大統領は金銭を要求しなかった」という指摘が今も韓国にとって弱みとなっているのだ。文民政府と呼ばれた金泳三政権は「日本の悪い癖を直してやる」という日本に対する大統領の無意味な大言壮語で終わった。

鮮于鉦(ソンウ・ジョン)論説委員
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