金成隆一、染田屋竜太
2015年11月4日02時45分
■国連と日本〈上〉
あふれる難民にどう向き合うか。国際社会が問われていた。
「今度の人、日本人だってさ」。中満(なかみつ)泉(52)が同僚のカナダ人女性から声をかけられた。「名前も聞いたことのない学者出身の人。またトップがそれじゃこの組織はダメかもね」
米大学院を修了後、難民保護を担う国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に入り、トルコに赴任していた。公金の私的流用疑惑などでトップが相次いで辞職し組織は大揺れだった。
1991年1月の話だ。
中満は「そう?」と返した。日本は国連経費の負担額では目立っていたが、国際機関でリーダーシップを発揮している人は思い当たらなかった。同僚が続けた。「その人、サダコ・オガタって言うんだって」
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