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《スクープ告発》「中国拘束 日本人スパイ」が「電極拷問」を受けている! 〈安倍首相はなぜ見捨てるのか〉

 投稿者:東京新報  投稿日:2015年11月 4日(水)08時23分48秒
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  《スクープ告発》「中国拘束 日本人スパイ」が
「電極拷問」を受けている! 〈安倍首相はなぜ見捨てるのか〉


“スパイに死を”とは、第二次大戦下のスターリン直属の諜報部隊「スメルシ」の名の由来となった言葉だが、「事件」は現代の中国で起こった。今年五月以降、中国で“スパイ容疑”によって一斉拘束された四人の日本人。その消息を伝える衝撃の「インサイドレポート」!

 今年五月から六月にかけて、中国で三人の日本人男性が相次いで“スパイ容疑”で拘束された事実が発覚してから一カ月が経った。
「四人の日本人が中国当局に一カ月以上も拘束されている異常事態にも関わらず、官邸はほとんど動いてない。最初に官房長官が“完全否定”した以上、官邸が動くわけにもいかず、外務省任せになっています」(官邸担当キャップ)

 簡単に事件の概要を振り返っておこう。
 朝日新聞が「中国で日本人2人拘束 『スパイ行為』容疑 5月から」と第一報を報じた九月三十日。中国外交部は同日、記者会見でこれを認め「日本側には状況をすでに通知した」と発表した。ところがこの件について記者会見で問われた菅義偉官房長官は「我が国はそうしたことは絶対していないということ、これはすべての国に対して同じことは、申し上げておきたいと思います」と“完全否定”してみせたのだ。
 これが重大な“初動ミス”であったことは、本稿で追って明らかになっていくが、事件発覚当時、小誌(十月十五日号)は、拘束された日本人の素性を、以下のように報じた。
(1)遼寧省で拘束された神奈川県在住の五十五歳男性。北朝鮮からの脱北者で、帰化後、パチンコ店に勤務。
(2)浙江省で拘束された愛知県在住の五十一歳男性。人材派遣会社を経営。
(3)北京市内で拘束された札幌市在住の六十九歳男性(中国側が発表した二人とは別の時期に拘束)。元大手航空会社勤務で、退職後は日中間のビジネスや交流事業を手掛けていた。
 小誌の取材では、彼らは公安調査庁の協力者として、中国で情報収集を行っていたことがわかった。
 以上が事件発覚当時に小誌が報じた内容だが、その後、新たに東京都内の日本語学校幹部の五十代の女性が上海で拘束されていたことが判明し、現在中国当局に拘束されている日本人は「四人」となったのである。
 日本国民にとって、もっとも気になるのは、拘束された四人が現在、中国当局によってどういう扱いを受けているか、であろう。
 状況については、十月二十六日に朝日新聞が「日中関係筋」の話として、北京と上海で拘束された男女について〈2人は「居住監視」と呼ばれる措置を受けている模様。刑事拘留や逮捕の前にとられる中国特有の措置で、ホテルなどで軟禁状態に置かれて調べを受ける〉と報じたくらいで、外務省は今に至るも、固く口を閉ざしている。
 いったい、今、彼らの身に何が起きているのか。
 小誌では特別取材班を組み、日本政府関係者ならびにアメリカ情報筋への取材を行った。
 まず、明らかになったのは、「拘束時の状況」だ。
 四名の日本人はいずれも、軍事禁区や軍施設に立ち入ったわけではない。公道を歩行中、いきなり複数の男たちに囲まれ、頭から黒い布を被され、強引に車へ押し込まれたのである。さらに手錠を填(は)められ、民家に偽装した施設に連行。
 黒い布を脱がされた彼らの目の前に立っていたのは、中国の情報機関「国家安全部」の尋問官たちだったのである。

耳元で罵声、身体には電極が

 何も分からぬまま拘束され、恐怖におののく日本人たちに、国家安全部の尋問官たちの物腰は意外にも穏やかだった。だが、執拗なまでに、「違法なスパイ行為を働いた」とする供述を強く要求したのである。
 結局、長時間の取り調べによって、日本人たちは、尋問官の筋書き通りに、スパイ行為を認めるだけでなく、日本のどの機関によって、どのように運営されていたかも供述。そのすべてはビデオカメラに撮影された。また膨大な数の書類へのサインを強要され、その中には、今後、国家安全部のために働くことを約束する宣誓書も含まれていた。
 アメリカ情報筋によれば、ここ十年ほど、中国に滞在する複数の欧米人が、国家安全部に拘束され尋問された際の内容を、帰国後に極秘聴取したところ、以下のような特徴があったという。
・口調は穏やかで、暴力的な取り調べはない。
・脅迫により強要された供述は、ビデオ撮影される。
・宣誓書を含む膨大な数の書類にサインさせられる。
 これらはいずれも拘束された日本人が受けた尋問の内容と一致している。
 口調は穏やかとはいっても、日本人たちは「供述やサインをしなければ、一生日本に帰れない」と激しく脅されてもいる。
 しかし、こうした扱いを受けた日本人は「三名」だけだった。今回、明らかになっている拘束された日本人の数は「四名」。残りの「一名」はどうなっているのか――。
 前述の日本政府関係者とアメリカ情報筋からの情報で明らかになった事実はさらに衝撃的なものだった。
 もう「一名」は〈男性〉で、小誌の取材では、「日本の情報機関の元職員」(警視庁担当記者)という情報もあったことを付言しておく。
 拘束時の状況は、他の三人と同様だ。路上を歩行中に、複数の男に囲まれ、黒い布で被われて後ろ手に手錠をされて、車に放り込まれ、国家安全部が保有する施設へ強制的に運ばれた。
 そこから先に、他の三人とはまったく異なる凄惨な現実が待ち受けていた。
〈男性〉は黒い布を取り外されないまま椅子に拘束され、何人もの男たちから激しい罵声を耳元で長時間、浴びせかけられた。
 それだけではない。
 EU諸国の情報機関が極秘に運営している中国政府内の協力者から寄せられた情報によると、〈男性〉は、高電圧が流れる電極を身体に押しつけられて、国家安全部が描いたストーリー通りの供述を強いられる。
 これを「拷問」と呼ばずして何と言うべきか。
 もっとも中国の政府機関が、まるで秦の始皇帝の時代のような残虐な行為を、いまだに行っていること自体に違和感はない。
 中国の著名な元人権派弁護士・高智晟氏は、二〇〇七年に中国国家機関に拘束された際、電流が流れる特殊警棒で激しく殴打するなどの拷問を受け続け、〈筆舌に尽くしがたい絶望のどん底に突き落とされた〉と手記に記している。
 この〈男性〉について、中国側は日本政府に対して、詳しい説明さえ拒絶しているが、このこと自体が恐ろしい現実を示唆していると、外務省国際情報官室の関係者は語る。
「他の三名は、時間はかかるかもしれないが、いずれ解放されて帰国できるはずだ、と判断している。だからこそ、暴力的な取り調べをしていないのだろう」
 しかし、もう一人の〈男性〉は違う。

このままでは「死刑」の可能性

「暴力的な調べをすれば、当然、身体に痕跡が残る。それを日本側に隠すためには、帰国させられないと判断している可能性がある」
 あるいは、初めから帰国させるつもりがないからこそ、「拷問」が行われている可能性さえある。続けて外務省関係者はこう呟く。
「いずれにしろ、こうした状況からは“悲劇的な結末”を考えざるを得ない」
 昨年十一月に制定され、日本人拘束の根拠となった中国の「反スパイ法」において、スパイ行為の最高刑は死刑である。“悲劇的な結末”が、死刑判決を指すことは想像に難くない。裁判でさえ、国家機密に関わるという理由で、当局の裁量ひとつで非公開扱いとなる可能性もある。
 つまり、このままでは〈男性〉の命は、日本政府からの庇護の手も全く及ばず、家族とも遠く離れた異国の地で、拷問の末に刑場の露と消える公算が大きいと言わざるを得ないのだ。
 中国に限らず、主権国家の領内において、他国の人間が諜報活動(インテリジェンス)を行うこと自体、その主権国家にとっては違法行為(イリーガル)以外の何物でもない。“スパイに死を”という言葉がある通り、インテリジェンスの世界に残酷な現実があるのも確かだ。
 しかし、〈男性〉は、中国国民を傷つけたり、彼らの財産を奪ったわけではなく、中国の主権を脅かすスパイ行為を行っていた可能性も限りなく低い。
 にもかかわらず、なぜ日本政府は〈男性〉を助けることができないのか。
 すべては、冒頭で触れた首相官邸の“初動ミス”の問題に集約されてくる。
 インテリジェンスの世界には、「相互主義」という一面があるとともに、常に裏と表がある。さるアメリカ情報筋は、その実態を次のように説明する。
「スパイ容疑で自国民が捕まった政府は、表では無関係を装いながらも、メディアの目の届かぬ水面下では解放交渉を必死に行う――それが欧米諸国のスタンダードだ」
 中国にしても、日本にしても、お互いの国内で、イリーガルなインテリジェンスが行われていることはもちろん重々承知しており、互いに「相互主義」に基づき、これを黙認しているのが現実なのだという。
「だから、スパイ事件では、常に水面下の交渉が存在する。ただ、日本にその能力があるかどうか以前の問題として、今回のケースでは、日本の官邸が最初の対応を誤った時点でほぼ絶望的だった」(同前)
 同情報筋は菅官房長官が、早々に「スパイ行為」を完全否定したことで、水面下での交渉を行うチャンスを潰してしまったことは、“完全な初動ミス”と指摘する。
「欧米では同様の質問には、『インテリジェンスに関する全てについて我が国はコメントしません』と応じる。この言葉で、水面下の交渉の余地を残すことになるからだ」(同前)
 こうしたミスが起きた背景には、不幸な偶然も重なったという。官邸関係者がこう証言する。
「実は、官房長官に報告を上げるべき立場にある日本の情報機関のトップが、ちょうど海外出張中だったのです。結果的に官邸としての対応策を固める前に会見に臨んでしまった」
 一方で、今回の事件には、欧米の複数の情報機関も重大関心を寄せている。
 彼らは、四人の日本人が日本の情報機関の協力者として、横の接点を持たずに別々に運営されていたことを把握したうえで、次の点に注目しているのだ。
――なぜ、ほぼ一カ月の間に、四人もの日本人が一斉に拘束されたのか。
 通常、こうしたスパイ事件では、まず最初に一人が拘束され、そこから芋づる式に手が伸びていく。だが今回は、接点がない四人が一斉に拘束されている。
「特に四人目の女性は、協力者としてのレベルは高くない。前々からの監視対象ではなかったはずだ。その彼女が捕まったのはなぜか」(前出・情報筋)
 欧米の情報機関は、次のような可能性を指摘する。
「サイバー攻撃によって、日本政府内のデータベースに重大な穴(ホール)が開けられ、そこから情報を抜き取られている恐れがある」(同前)
 小誌(八月六日号)では、今年六月に発覚した年金情報流出事件が、中国人民解放軍のサイバー攻撃部隊の犯行によるものだと報じたが、その狙いは、“機密情報に接することのできる日本人の情報”にあった。
 今回の事件の背景に深刻な情報漏洩があった可能性は捨てきれない。
 十一月一日には、日中韓首脳会談が控えるが、前出の外務省関係者は語る。
「安倍政権で冷え切った中国・韓国との関係が改善に向かう“雪解け”が期待できると外務省や官邸は正直、浮かれています」
 改めて外務省にこの事件への対応について問うと、
「本件については、邦人保護の観点から在外公館を通じて適切に支援を行っています。(首脳会談で本件を取り上げるかについては)何ら決まっておりません」(外務省報道課)
 だが、国際社会では、自国の国民が他国に人権を蹂躙されている状況は“戦争”状態と呼ぶのである。
 まず首相官邸は、日本の複数の情報機関に対して、力強い「情報関心」を示すべきだ。さらに、四人を救うためのオペレーション案も視野に入れて、急ぎ「情報要求」を行うことが絶対に不可欠だ。
 インテリジェンスの世界では協力者のことを「財産(アセット)」と呼ぶ。四名の日本人は、国家の財産(アセット)に他ならない。国家の財産たる国民を見捨てる国家に、未来はない。安倍首相には毅然たる対応が求められる。

「週刊文春」2015年11月5日号
 
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