Grey Wagtail
一般公開で共有しました -台湾における「青(藍色)」と「緑」の政治的な意味合いについて
#ingress #陣営
間もなく台湾でのアノマリーですが、意外と知らない人がいるようなので念のためメモしておきます。
台湾の二大政党は「中国国民党」と「民主進歩党」ですが、国民党のシンボルカラーは青(「藍色」と表記する)、民進党のシンボルカラーは緑です。つまり、台湾で青陣営・緑陣営というと政治的な意味合いが出てしまうのです。
中国国民党は「台湾は中国の一つの省にすぎない。そして、中国国民党こそが中国全土を代表する政府である」という「一つの中国」派です。もともと清朝を滅ぼした中華民国政府だったわけですが、いろいろあって日本との戦争中は中国共産党と手を組んで「抗日戦争」を戦い、戦後は「国共内戦」で共産党に敗れて北京から台湾へ逃げてきた、というのが国民党の由来です。
一方、台湾にはもともと原住民が住んでいました(中国語圏では、先住民という言葉は「すでに滅亡した民族」みたいなニュアンスが出て来るので、原住民という言葉を使います)。東海岸の海岸地方・山岳地方と、西側の平野部の原住民で少しずつ文化も違っていました。ちなみに歌手の張惠妹はプユマ族出身です。
台湾はそれまでどこの国の領土でもありませんでしたが、大航海時代にオランダがやってきて「フォルモサ(美しい島)」という名の統治領とされます。その時代から次の清朝支配期にやって来たのが中国東南部(福建省や広東省)からの移民で、平野部の原住民と少しずつ混淆しつつ、定住していきます。台湾で「台湾語」というと、厳密にはこの福建省系や客家系の言語を指します。そして、ここまでに台湾に住んでいた人たちを本省人といいます。
日清戦争で清国が日本に敗れると、台湾は日本領となります。その後、日本が第二次世界大戦で敗れたあと、先述の国民党政府が亡命してきます。この人たちを外省人といいます。ところがこの前後に外省人と本省人との衝突が起こります。蒋介石率いる国民党軍が2万人前後の本省人を殺害する「二・二八事件」はその最大のもので、国民党=外省人と本省人の間のわだかまりは大きくなっていきます。
この後、国民党による一党独裁の時代が続きます。北京から逃れてきた国民党支配下で、台湾の「国語」は北京官話と呼ばれる北京語ベースの言葉とされました。おかげで、大陸の中国語=普通話が話せる人は台湾でも大体通じるわけですが……。
しかし、独裁というのは長続きしません。1986年には民進党結成が認められます。民進党は国民党に批判的な勢力として結成されましたが、「外来政党」である国民党に対して結成されたことから「(台湾の)本土政党」と位置づけられていました。つまり、台湾の多数を占める本省人を代弁する政党となったわけです。
当初の民進党は台湾独立をうたっていました。台湾は中国の一つの省ではなく、独立した国家であるという考え方を持っています。もっとも、最近は中間層に配慮して「中華民国」という国名だけは追認することにしています。
中国大陸との関係においては、国民党は大陸の中国共産党と戦ってきた間柄なわけですが、「一つの中国」という点では見解が一致しています。その一つの中国の代表が共産党か国民党かで争ってはいるものの、中国共産党としては台湾の政権を握るのは国民党であってほしいと考えています。
さて、この台湾独立派=民進党が「緑色陣営」と呼ばれ、国民党支持派が「藍色陣営」と呼ばれています。ただし、台湾の本省人系であっても藍色陣営の人もいますし、外省人系であっても民進党の人もいますので、血筋だけで決めつけることはできません。親が外省人だろうと本省人だろうと、台湾生まれ台湾育ちの世代がどちらを選ぶかは本人次第です。
そんなわけで、台湾の街頭で下手に「緑色解放台湾」とか「在台灣主導藍色」とか旗を振りかざして叫ぼうものなら、ゲームを知らない人に勘違いされる可能性があるということは念頭に置いておく必要があると思います。もし政治的な集会が開かれているなら、その近くではファッションを超える陣営色アピールは隠した方がいいでしょう。
大事なことですが、台湾のレジスタンスAGが国民党支持だとかエンライテンドAGが民進党支持だとか決めつけることはできません。もちろん政治的背景から色を選んだ人もいるとは思いますが、政治的に中間層だったり、ゲームと政治は別と考えて選んだ人の方が多いはずです。ですから、エージェント以外の一般の台湾の人たちに誤解を招かないように気をつけるに越したことはないと思います。
さらに言えば、「民進党=台湾は親日的だが、国民党=中華民国は反日的」といった単純化された議論もまれに見られますが、「親日・反日」という軸で国際情勢を判断すること自体、正確な判断を狂わせます。中には大陸の中共への批判から、「親日的な民進党」を必要以上に持ち上げる人たちもいて、ちょっと疑問に感じます。そもそも、親日/反日という軸で世界を二つに分けて考えようというのが単純すぎる話ですし、レッテル先行でものごとを見るのはいかがなものかと思います。
ちなみに、国民党支持だがモー娘。ヲタで日本遠征も何度も繰り返し、挙げ句に日本留学まで果たした台湾人の友人もいます。国民党が反日とかどこの寝言だって感じですね。
いずれにせよ、台湾の人たちは藍色・緑色問わず日本人観光客には親しみを持って接してくれますが、私たちが台湾の人たちのよき隣人であり続けられるよう、先入観を持たずに接することができればと思います。
#ingress #陣営
間もなく台湾でのアノマリーですが、意外と知らない人がいるようなので念のためメモしておきます。
台湾の二大政党は「中国国民党」と「民主進歩党」ですが、国民党のシンボルカラーは青(「藍色」と表記する)、民進党のシンボルカラーは緑です。つまり、台湾で青陣営・緑陣営というと政治的な意味合いが出てしまうのです。
中国国民党は「台湾は中国の一つの省にすぎない。そして、中国国民党こそが中国全土を代表する政府である」という「一つの中国」派です。もともと清朝を滅ぼした中華民国政府だったわけですが、いろいろあって日本との戦争中は中国共産党と手を組んで「抗日戦争」を戦い、戦後は「国共内戦」で共産党に敗れて北京から台湾へ逃げてきた、というのが国民党の由来です。
一方、台湾にはもともと原住民が住んでいました(中国語圏では、先住民という言葉は「すでに滅亡した民族」みたいなニュアンスが出て来るので、原住民という言葉を使います)。東海岸の海岸地方・山岳地方と、西側の平野部の原住民で少しずつ文化も違っていました。ちなみに歌手の張惠妹はプユマ族出身です。
台湾はそれまでどこの国の領土でもありませんでしたが、大航海時代にオランダがやってきて「フォルモサ(美しい島)」という名の統治領とされます。その時代から次の清朝支配期にやって来たのが中国東南部(福建省や広東省)からの移民で、平野部の原住民と少しずつ混淆しつつ、定住していきます。台湾で「台湾語」というと、厳密にはこの福建省系や客家系の言語を指します。そして、ここまでに台湾に住んでいた人たちを本省人といいます。
日清戦争で清国が日本に敗れると、台湾は日本領となります。その後、日本が第二次世界大戦で敗れたあと、先述の国民党政府が亡命してきます。この人たちを外省人といいます。ところがこの前後に外省人と本省人との衝突が起こります。蒋介石率いる国民党軍が2万人前後の本省人を殺害する「二・二八事件」はその最大のもので、国民党=外省人と本省人の間のわだかまりは大きくなっていきます。
この後、国民党による一党独裁の時代が続きます。北京から逃れてきた国民党支配下で、台湾の「国語」は北京官話と呼ばれる北京語ベースの言葉とされました。おかげで、大陸の中国語=普通話が話せる人は台湾でも大体通じるわけですが……。
しかし、独裁というのは長続きしません。1986年には民進党結成が認められます。民進党は国民党に批判的な勢力として結成されましたが、「外来政党」である国民党に対して結成されたことから「(台湾の)本土政党」と位置づけられていました。つまり、台湾の多数を占める本省人を代弁する政党となったわけです。
当初の民進党は台湾独立をうたっていました。台湾は中国の一つの省ではなく、独立した国家であるという考え方を持っています。もっとも、最近は中間層に配慮して「中華民国」という国名だけは追認することにしています。
中国大陸との関係においては、国民党は大陸の中国共産党と戦ってきた間柄なわけですが、「一つの中国」という点では見解が一致しています。その一つの中国の代表が共産党か国民党かで争ってはいるものの、中国共産党としては台湾の政権を握るのは国民党であってほしいと考えています。
さて、この台湾独立派=民進党が「緑色陣営」と呼ばれ、国民党支持派が「藍色陣営」と呼ばれています。ただし、台湾の本省人系であっても藍色陣営の人もいますし、外省人系であっても民進党の人もいますので、血筋だけで決めつけることはできません。親が外省人だろうと本省人だろうと、台湾生まれ台湾育ちの世代がどちらを選ぶかは本人次第です。
そんなわけで、台湾の街頭で下手に「緑色解放台湾」とか「在台灣主導藍色」とか旗を振りかざして叫ぼうものなら、ゲームを知らない人に勘違いされる可能性があるということは念頭に置いておく必要があると思います。もし政治的な集会が開かれているなら、その近くではファッションを超える陣営色アピールは隠した方がいいでしょう。
大事なことですが、台湾のレジスタンスAGが国民党支持だとかエンライテンドAGが民進党支持だとか決めつけることはできません。もちろん政治的背景から色を選んだ人もいるとは思いますが、政治的に中間層だったり、ゲームと政治は別と考えて選んだ人の方が多いはずです。ですから、エージェント以外の一般の台湾の人たちに誤解を招かないように気をつけるに越したことはないと思います。
さらに言えば、「民進党=台湾は親日的だが、国民党=中華民国は反日的」といった単純化された議論もまれに見られますが、「親日・反日」という軸で国際情勢を判断すること自体、正確な判断を狂わせます。中には大陸の中共への批判から、「親日的な民進党」を必要以上に持ち上げる人たちもいて、ちょっと疑問に感じます。そもそも、親日/反日という軸で世界を二つに分けて考えようというのが単純すぎる話ですし、レッテル先行でものごとを見るのはいかがなものかと思います。
ちなみに、国民党支持だがモー娘。ヲタで日本遠征も何度も繰り返し、挙げ句に日本留学まで果たした台湾人の友人もいます。国民党が反日とかどこの寝言だって感じですね。
いずれにせよ、台湾の人たちは藍色・緑色問わず日本人観光客には親しみを持って接してくれますが、私たちが台湾の人たちのよき隣人であり続けられるよう、先入観を持たずに接することができればと思います。
133
47