25/27
第二十五話
本日三話投下しております。
お間違えのないよいに記しておきます。
「あーにきー!!!待って下さいよぉ!!!」
はいっ、と言うわけでですね。
私ダンジョンマスターは、メイズの姿で大国中国へと転移してきました。
何故か海を走って変なのが付いて来たんですけど、こいつは一体なんなのでしょうか。
自身を光の化身として光速移動するような光魔法は無かったと思うのですが、こいつは何かバグでも起きているんでしょうか?
とりあえずストーカーかも知れないので撃退しましょう。
「はぁ、はぁ、やっと追いつきましたよ兄貴、俺も罪喰い入りたいっす!!入れてくだゴハァッ!!!」
殴るだけの簡単なお仕事です。
「ブチ猫に言え。俺は知らん」
「ブッチーさんがメイズの兄貴に聞けって言ったのにぃぃ!!!」
とりあえずお耳汚しの雑音でございますが、無視して進行して行きたいと思います。
とりあえず転移で撒きます。
ってそれはどうでもいいんだが、この国の状況は俺が思ったより相当悪いな。
無茶苦茶に掻き回した俺が言うのもなんだが、郊外には津波のように人が群れを成して他国を目指して進んでる。
恐らくこの人の群れの端から端まで歩くだけでも、丸一日ぐらいはかかるんじゃないかってぐらいの人の群れだ。
まるでそれは一つの生命体のようにも見える。
この国の首都である北京などは、まるでカンディルに食い散らされた魚のように、何もかもが奪い去られ、繁華街は見る影もなく廃墟と化している。
ちらほらと人がいるが、それは貧民層の者達だ。
腕を斬り落とされた少年が物乞いをし、老人は路肩の石となりただ死を待つ。
絶望だ。
ただただ、絶望し、光を失った目をした少年少女達が呆然としている。
簡単にこの状況を説明出来る都合のいい言葉があるとするならば、まさに一言。
地獄である。
この国を状況にしたのは誰だ?
勿論俺だ。
邪魔な人間を排除し、殺し、脅し、どん底まで叩き落としたのは勿論俺だ。
だが、俺はこの少年の腕を斬り落としたか?
この老人の足を斬り落としたか?
この少女の目を抉り取ったであろうか?
答えは否だ、俺はそんな事をしていない。
この国は既に腐りきっているんだよ。
国が危機に陥れば他国を自国の領土だと言い張り数の理を生かして雪崩れ込み、自身の命を守る為に、平気で赤子を道端に捨てる。
そして果ては愛すべき祖国に残ろうとすらしない。
国と共に死のうとすらしない。
いざ危機が訪れると、我先にと略奪を繰り返し、奪う物が無くなれば他国の物を奪おうとする。
正直考え方の根本が俺の理想とする世界と相反する者達だ。
そんな奴らいらない、必要ないんだ。
俺と言うイレギュラーは偶々元日本人で、偶々異世界に渡り、偶々出会ったコアと契約をして、偶々老いも衰えも無いダンジョンマスターと言う名の精神体になり、偶々この世界に帰ってきたので、勝手知ったる日本を世界の頂点として冒険者が導く世界を創ろうとしているだけである。
何勝手にそんな事してんだ、そんなの求めてもいない。
そう思うだろ?俺もそう思う。
だがな、退屈なんだ。
只々ひたすらに退屈なんだ。
冒険者の多少のいざこざがあろうとも、罪喰いが全て統治できるようになり、無限の資源を約束され、理想卿と化した世界は、ただただ退屈だ。
だから俺は次元を超えて3つの異世界に永劫の平和と繁栄を齎した。
その世界で出会う者達は満たされていて、俺の退屈を埋めてくれる。
だから俺は3つの世界に渡った。
だが、その3つの世界には、元々ダンジョンが存在していた。
ダンジョンたる仕組みが世界に存在する、その非現実的な世界の構造に感覚は麻痺し、当然のように今まで同様、それらの世界を攻略した。
だから俺は気兼ね無く4番目の異世界に転移した。
正直俺はゲームのような感覚で異世界を渡り歩いていたんだ。
だが、4つ目の異世界は、俺のよく知る地球だった。
当然世界に干渉すり気も起きず、しばらくはコアの能力を使って、適当に過ごした。
毎日インターネットに溺れ、布団から出る事の無い自堕落な生活を続けた。
何も考えないで済むのはそれ程ありがたいものはないからな。
だが、暫く経つとコアが言った。
下位世界が上位世界からの訪問者に歪みを生み出した為に、崩壊する可能性があると。
俺は焦った、俺のせいで世界が壊れると。
コアに問いかけた、どうすればいいのだと。
答えは一つ、下位世界を上位世界に書き換えるしか方法は無い。
ならば今までと同様に世界に干渉しなければならない。
そうして今までと同様に、冒険者主体の世界に作り変えようとしている。
今ここである。
ぶっちゃけ言わして貰うと政治家同士の駆け引きなんかは政治家同士にやらしておけばいい。
俺には政治のせの字もわからんからな、俺が出来るのは、上位世界の上位存在であるプロダクターへと存在を書き換えるデバイスを渡すに相応しい人間をマッチポンプで生み出し選別するだけだ。
俺は俺のせいで世界が壊れるのなら、それは全力で阻止したいし、かと言って無責任に上位世界に書き換えて世界中に無制限にデバイスをばら撒いて冒険者同士で殺し合いさせとくのを放ったらかしにする気もさらさらない。
俺が来てしまった事によって、世界が変わってしまった事は反省している。
でも後悔の無いように少しでもマシな理想卿にしようとしているだけの話だ。
まどろっこしいのは太郎ちゃん達がやればいい。
俺には俺のやり方があるんだ。
今も片目を抉られた少女が無言で両手を器のようにして物乞いをしてくる。
この者達は、同じ国の人間であるのにこうして体の一部を欠損させられて憐れみを買い、物乞いをする。
もう誰も訪れる事の無い街で、物乞いをするしか生きていく方法を知らないまま、痩せ細り餓死するまで、誰か恵みを与えてくれる者を待ち続ける。
「俺が求めているのは、こう言った弱者だ」
他にダンジョンマスターがいるような世界では別だが、今回のような場合は起点とする国の者はぶっちゃけどんな奴でも冒険者に出来る。
危険思想を持っていようが、初期段階はプロテクトかけ放題だからな。
だが、問題は他国だ。
平和にのんびり暮らす農村のような国であれば、俺も別に日本同様のやり方でダンジョンを配置し、冒険者を生み出す。
だが、この世界の兵器の数だけ胸を張るような大国の連中に関しては、そんな優しさ見せてやるつもりも無い。
「お兄ちゃん、中国語しゃべれるの?」
薄く掠れて声にならないような小さな声で少女は俺に問いかけてくる。
「あぁ、喋れるよ」
「じゃあ…おねがい…お兄ちゃん。食べ物をください」
目は虚ろで、頬はこけ、唇は割れ、骨が浮き出た少女は必死に物乞いをしてくる。
「心配するな。今日からお前は、今まで悲しんだ分だけ幸せになれる」
こういった者達ならば、俺はデバイスを与える。
迷宮進化条件に他国の冒険者の増加が必要になる為に、俺はどの道、この国の者達も冒険者にしなければいけなくなる。
ならば、このような絶望の淵で彷徨っている者達に救いの手を差し伸べる方が、圧倒的に争いを産む確率が減るのである。
「君は幸せになる為にモンスターと戦って、仲間と苦楽を共にする冒険者になるんだよ」
「ぼう、けんしゃ?」
「そうだよ、このデバイス…えと、これに手を合わせて、起動、認証って言ってごらん」
片目を抉られた痩せ細った少女は恐る恐るにデバイスに手を乗せる。
「きどう、にん、しょう」
少女の声に合わせ、音声認証完了と表示されると、キャラメイク画面に変更される。
血でやる方法もあるんだが、音声認証が主流だ。
とりあえずキャラメイクは難しいだろうから、ダンジョンマスター権限を使用して、黒髪の美しい少女の姿を設定する。
初期スキルは、ランダムで選ばれるが、眼を抉られていたので特別に魔眼を与えよう。
「後は、デバイスオンと言ってごらん」
「でばいす、おん」
デバイスは溶けて夜空の星空のような色合いの液体になると、心臓に吸い込まれその姿を蠢かせると徐々に姿を変え黒髪の美しい少女となる。
少女はキョトンとしているが、今コアからの予備知識の流入が行われている頃だろう。
そろそろ冒険者として名を設定してくださいと脳内でアナウンスされる頃だ。
「名前は?」
「めいふぁー…うぅ、目が見える。うっ、ぐすっ。ありが、とう。めいふぁー、あたしはめいふぁー」
とりあえず頭をポンポンと撫でておく。
「ようこそメイファー、君は冒険者に選ばれたんだよ」
「ありが、とう。あり、がとう」
その様子を見て、物陰から子供達が此方の様子を伺っているのが見えたので、手招きをする。
「来い!お前ら!!お前らもこのクソッタレな世界を捨てて生まれ変わるんだ!!」
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。