14/27
第十四話
中国漁船団大量爆殺より一夜明けて。
いや、一夜明けたのはいいのですが、まさかの展開に発展してしまってるんですけど、どうしましょうか。
『迷宮追放!!迷宮追放!!』
今テレビの画面上には、迷宮追放!!とか迷宮主死刑!やらが書かれたプラカードをもって秋葉原でデモをしている中国人の皆様が映し出されている。
同胞の命を返せ!!と書かれているのだが、その前にどうか日本から出て行ってくれませんかってのが正直な感想だ。
え?俺ダンジョンマスターだけど、心は日本人って事でファイナルアンサーでいいよね?
ちょっと感覚的には残虐なとこもあるけど、こんな出て行け出て行けって言われる程……。
「うわぁぁ!!!ムカつく!!!」
寝起きから気分は最悪だ。
いや、前にも言ったけど、俺睡眠とか必要ないんだよ?もうわかってるかもしれないけど、俺って実体って実体を必要としない思念体みたいなものだからさ、いや、そりゃ裸でいたら恥ずかしいから何百種類を超えるアバターを所有してるので、常に実体化してるけどな。
けど、やっぱり寝たりご飯食べたりはしたいわけだ。
寝たらすっきりするしな。
それで昼過ぎまで寝てしまってて起きたらこのデモだ。もうねぇー、アホかと、バカかと。
「なぁコア、なんか昔のアニメでさ、額に内って書いたヒーロー」
『なかやまんです。』
「そうそう、それにさ、中国disってるキャラいるよね?」
『少々お待ちください。マスターのイメージと照らし合わせますと、ラーMENという名のキャラが該当するかと』
「それ、かな?なんかヒゲチョロ三つ編み的な。そいつのデザイン元にアバター造ってくんない?殺すのはあれだからちょっとしばき回して帰らせるわ」
『了解しました。額の串のタトゥーに必要性は感じないのですが、いかがなさいますか?』
「忠実に再現してくれ」
『了解しました。36分で完成します』
あいよーんと。
とりあえず、それまでの間に掲示板でもって、うわぁ、メールめっちゃ来てるわぁ。
昨日開封したのに5629件って鬼すぎる。
これも開封にしといて、後でコアに纏めといて貰おう。
昨日の警察官からメール来てないのかな?
おっ、表示された。
━━
差出人:fuck_da_police
宛先:meizuQmeizu
題名:白国正継です!!
本文:
見ましたよ見ましたよメイズさん!!
ドラゴンに乗って飛び立つ動画と、その夜に報じられた大船団爆殺のニュース!!
さすがっす!スカっとしましたよ!自分らも龍頭の連中には煮え湯飲まされまくってたんで!今辞表出しに来たんですけど、シンイーターになる為に署長殴った方がいいですか?
後、鳥居は田舎に帰って親に挨拶してから退職するらしいっす!!
━━
差出人:meizuQmeizu
宛先:fuck_da_police
題名:
本文:
殴るなよ。
推薦しておいてやるから。
それと、もう一つ。
もし、お前が潜入捜査だとしても、情報流入のプロテクトはかけられてしまうぞ。
それでもいいなら冒険者になれ
━━
こいつと喋ってる時は嘘の識別してなかったからな、コアに調べて貰ったら、嘘じゃないってのはわかったんだが、本当に憧れている反面、潜入捜査も任されているってなったら、逆に可哀想だろう。
俺は元警察ってなると、流石にその辺は容認できなくなるから、当然かなりガチガチのプロテクトをかけると思う。
招待無し、口外禁止、禁則事項フリーズなんかは基本セットだ。
いくら冒険者といえど、他の冒険者稼業に勤しんでる奴を裏切って捕らえたなんてなったら、また大勢の警察官をブチコロしちゃわないとならなくなる。
ピコン。
━━
差出人:fuck_da_police
宛先:meizuQmeizu
題名:返信あざーーっす!!
本文:
何言ってんすかメイズさん!!!
なんだったらメイズさんの舎弟って感じの設定で警察関連とか、冒険者になるにあたって懸念事項になりそうな記憶とか全部消しちゃって貰って構わないですよ!理想は警察の記憶だけ消したいっすけどね。ダンマスってそんなのもできますよね?神様だし。メイズさんなんとか言ってもらえないですか?
━━
差出人:meizuQmeizu
宛先:fuck_da_police
題名:
本文:
わかった。
警察に関する記憶を対価にするなら、プロテクトは甘くするみたいだな。
━━
差出人:fuck_da_police
宛先:meizuQmeizu
題名:返信あざーーっす!!
本文:
嬉しいっす!!まじで!!!
とりまデバイス届いたらメイズさんの逆位置目指してるんで光魔法のルーン覚えるまで篭るっす!
ってもう半分ぐらい理解できてるんですけどね!
━━
中々優秀である。
光のルーンは俺もかなり苦戦した記憶がある。
一文字でいくつも意味があるルーンが多くて、組み合わせには吐き気すら覚えたはずだ。
まぁ、頑張ってくれポリス君。
つかルーンとかキャラメイクのアプリ作ってるシステマって冒険者なにもんなんだろ。
オフとかでもひたすらノートになんか書いてる変わった奴だったんだが、あいつの出してるルーン解読真書ってアプリがあれば、これから魔法使いが増えそうだなと期待もしている。
まぁ、それよりかなりエグいアバターが完成してしまった。
俺このラーMENにしばかれたらトラウマだわ。
「よし、じゃあ転移してくれ」
『了解しました』
目を開くと、デモ行進を正面から待ち受けるカタチで立っていた。
流石に規制していた警察も、俺の姿に苦笑いをしている。
自由すぎるだろって呟いてるな、俺もそう思う。
「なんだお前!!何かあるか!!」
「やかまこい!!」
とりあえず右一発でオバハンの顎が粉砕骨折だ。
ラーMEN強いじゃないか。
見た目最弱なのにな。
「なにするか!なにするかおまえ!!」
「ワタッ!!」
ジャブ一発でおっさんの顔面陥没だ。
本来であればここで一目散に逃げるんだろうが、やはり人間の本能として、いかな赤信号であろうとも皆で渡れば恐くないようである。
中国人デモ連合は、俺に群がり殴る蹴るの暴行を繰り広げるが、俺は腕を組んで仁王立ちである。
三つ編みを引っ張られまくるが、正直そよ風よりも生温い。
「ふんっっっ!!!!」
全力で地面を殴ると、コンクリートが陥没し、その風圧で中国人がくの字になりながら吹っ飛んでいく。
なにこれ楽しい。
背後から青龍刀を叩きつけられるが、当然こちらに傷がつくわけがない。
とりあえず胸ぐらを掴んで人混みに投げ込むと、野球ボールのライナー弾道のように一直線に吹っ飛んでいく。
「ストラァァイク!!!!」
横で逃げようかどうしようか悩んでる若者がいるので、ローキックをしてみると、骨が折れた。
「あぎゃぁぁああ!!!」
「うっさいぞ」
足が明後日の方向を向いているので、今日の方向に戻そうと蹴るとアリナミンな状態になったので放置する。
直訳すると思いっきり折れたで正解だ。
そこでやっと逃げていったので完了だ。
これからチャイナデモにはラーMEN登場を定例行事としよう。
さぁーてコア、あいつらの特定は完了したか?
《完了しています》
よし、じゃあ主犯格の奴に会いに行こう。
ここで逃してもあいつらは1人いたら1000人いる人種だからな、とりあえず先導する奴は叩いていかなければならない。
《過去の会話歴を検索し、主導者を割り出しました。三名いますが、いかがなさいますか?》
うん、とりあえずみんなに会いに行ってみよう。
ラーMENアバターの全力も見てみたいしな。
一瞬で視界が変わり、タクシーに乗っている状態になる。
となりで座って鳩が豆鉄砲くらったような顔してるムキムキのおっさんが、その主犯の1人だろ。
「よし、きんにく。このラーMENが貴様を倒してやる」
「うわぁぁあ!!!」
きんにくが突然体当たりしてくるが、とりあえず指先で制する。
「運転手さん、止めてもらっていい?」
「あいよ」
タクシーが停まりドアが開くと、きんにくは一目散に逃げようとするが、とりあえず首根っこを捕まえる。
「よっいしょおおお!!!!」
丁度上野公園の蓮池が見えたので、そこを狙って思いっきり投げてみると、飛びすぎてポルノ映画館に直撃してしまうが仕方ないだろう。
「つぎ行こう」
視界は切り替わり、どうやらインターネットカジノのようである。
俺を見て目を見開いた男は奥に逃げていったので、平然と追いかけると、体の大きいスーツを着た若者に止められる。
「お兄さんすいません。ちょっとこっからはスタッフ専用なんで」
「デコピーン」
「……いぎゃああああ!!!!!」
デコピンしたらデコの肉が抉れてしまった件。
こいつデブでよかったな。
下手したら死んでた。
って額はデブとか関係ないか。
なんか白いの見えてるし。
「早く病院行った方がいいよ」
中に入ると厨房のフライパンと包丁で震えながら威嚇している、いかにも中国のおっさんがいる。
よし、思いっきり手刀を振り抜いてみよう。
うん、当たってもないのにフライパン切れたよね。
「あば、あばば、だずげで」
「たすけない!」
「ぱきゃれ!!!」
キンタマを蹴り上げると、そのまま天井に突き刺さったのでこれでよしとしよう。
「よしコア、ラスト」
視界が切り替わると、地下鉄のホームである。
ちょうど電車が来てるので。
「よっと」
「え?」
プワァァァンと警鐘が鳴らされるが、チャイナおっさんはミンチである。
スライムだったのかあいつは。
まぁ仕方ないだろう、急に電車が来たんだから。
昔日本代表のサッカー選手も言ってただろ?
急にボールが来たからって。
「これで静かになればいいけどね」
さぁ、帰ろ帰ろ。
もうラーMENを復活させないでくれよ?
《マスター、再びデモ隊が結成されています》
「もう飽きたから炎天竜にやらせといて」
『了解しました』
またポイントが貯まってしまった。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。