10兆円の損失!?
国民が積み立てた年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、巨額の運用損を出したと報じられている。
夕刊紙やネットメディアなどが大手証券会社のアナリストの試算などを元に、半ばセンセーショナルに取り上げているもので、第2四半期である7~9月の3カ月間で8兆~10兆円の損を出したとしている。
GPIFの第2四半期の運用状況については11月末までに公表される予定だが、いったいどんな事態に直面しているのか。
中国・上海株の急落などをきっかけに、この間、日本株や世界の株式は大きく下落した。6月末に2万235円だった日経平均株価は9月末には1万7388円となり、14.1%も下落した。
GPIFの運用総額は6月末で141兆1209億円で、そのうち33兆円を日本株に投じている。この33兆円に、単純に14.1%を掛けただけでも4兆7000億円になる。
31兆円あまりを保有する外国株式でも同様に損失が生じたのは明らかだ。これを取り上げて、7~9月期に10兆円近い損を出したとメディアは書いたわけである。
実際、今月末に第2四半期に運用状況が公開されれば、6月末時点では数兆円規模の損失が生じていたことが明らかになるだろう。そうなれば、GPIFの運用のあり方について議論が噴出するに違いない。
「国民の大事な年金を株式のようなリスクの高い資産で運用していいのか」「丁半博打ではないか」といった声が出て来ることになるだろう。
もちろん、そうした批判は当然の声と言える。安倍晋三内閣は昨年10月30日、GPIFの運用ポートフォリオ(資産構成割合)の見直しを行った。日本銀行による追加緩和とタイミングを合わせており、「株高」を意図したのは明らかだった。
それまで60%を日本国債などの「国内債」で運用するとしていたものを35%に引き下げる一方で、国内株式を12%から25%に、外国株式を12%から25%に、外国債券を11%から15%にそれぞれ引き上げた。
債券中心、国内中心から運用方針を劇的に転換して、株式と債券を半々とし、海外投資へと大きくシフトしたのである。
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