Fastly社に行ってきた ー 動的コンテンツの定義を変えるCDN?

Fastlyオフィス
Fastlyオフィス

昨日はDocker社訪問の記事を公開したが、今日は隣のオフィスにあるfastlyという会社の訪問レポートにしたいと思う。

日本でfastlyを聞いたことがある人がまだ少ないだろう。簡単に言えば、今までないCDN(コンテンツ配信ネットワーク)サービスを提供する会社。CDN業界では大規模なAkamaiさんやCDNetworksさんなどが昔からいて、スタートアップが進入する領域ではないとも言われていた。そのスタートアップに向かない業界で革命的、かつ急成長するfastlyの話を聞くのは前から楽しみにしていた。

今日はクラウドパートナーシップを担当するAimee Haley氏と数名のトップエンジニアとCDN業界の動向やFastlyの特徴について会話させてもらった。


エクマンがFastly社のオフィスで社犬(?)と遊んでいる
エクマンがFastly社のオフィスで社犬(?)と遊んでいる

エクマン:CDNの営業もやったことある私には、CDNサービスを価格以外で営業するのが非常に難しいと経験しているが、そもそもその認識が合っているだろうか?
ハレイ:おっしゃる通り、従来のCDNでは機能やサービスの差別はほとんどなく、価格で勝負するしかなかった。その業界の認識を少しずつ変えているのはfastlyだと思う。
エクマン:ほとんどの案件がGB当たりの価格で決まる中で、fastlyが具体的にどうやって伸びてきただろうか?他社より安いということ?
ハレイ:もちろん安価でサービス提供しているが、fastlyの本当のバリューは価格のではなくて、サービス内容だと思う。我々は今までにないCDNをこのオフィスで作っているよ。従来のCDNでキャッシングができなかったコンテンツやオープンソースベースのオープンなプラットフォームのmがキーと言ってもいいかも。

fastly受付と社犬
fastly受付と社犬

エクマン:オープンソースプラットフォームというと?
ハレイ:Varnishご存知かしら?
エクマン:ほぉー、キタこれ。FastlyがVarnishでできているということ?
ハレイ:その通り。弊社の技術は他のCDNと根本的に違う。Varnishというオープンソースを使うことによって、リアルタイムパージやロジックのカスタマイズなどのサービス提供ができる。
ちなみに、リアルタイムパージ(直訳:即時削除)というのは、150ms内にキャッシュされたコンテンツを削除する機能。何がすごいかというと、ほぼリアルタイムで削除することによって、キャッシュではなく、ユーザの動的コンテンツも載せられることになる。

エクマン:動的コンテンツをCDNに載せるという言い方にかなり違和感があるが、具体例でいうと?
ハレイ:例えばだけど、月間3000万ユーザのWiredではCMSの設定をリアルタイムで変更させたり、Apple Watch発表のようなイベントのリアルタイムブログを更新させたりしたかったのだが、そのリアルタイム性は従来のCDNで実現ができんくて、Fastlyを採用した。[事例詳細]
月間1億ユーザのThe Guardianにも「リアルタイムジャーナリズム」というのがあって、もし何かのすごいニュースが出たとすると、リアルタイムでトップページやAPIペイロードを更新ができる絶対条件があった。Fastlyを使うことによって、どんなコンテンツでも150ms以内に更新ができるようになってきた。[事例詳細]

エクマン:コンテンツをリアルタイムで削除ができるのがわかったが、動的コンテンツのキャッシングというのがよく理解できなかった・・
ハレイ:そもそも動的対静的という定義がちょっとおかしいと思う。従来のCDNでは動的コンテンツはCDNでキャッシングができないコンテンツという定義だった。そう考えると、もちろんキャッシングができない。

静的vs動的という考え方がそもそも間違っているよ。よく考えてみると、本当の動的コンテンツ、イベント駆動コンテンツと静的コンテンツの三つの種類が存在すると言った方が正しいのではないか。

どういうことかというと、本当にアプリケーションロジックで毎回毎回変わるペイロードと、TTLを予測できないコンテンツに分けるべきのではないか。例えば、ユーザの認証情報は本物の動的コンテンツだが、ネット通販の在庫情報はあるイベントのみで変わるよね。そのイベントはいつ発生するか予測できないけれども、何時間も変わらない時もあるし、何かのセールをやった時に数秒ごとに変わる時もあるだろう。これはイベント駆動コンテンツという。[詳細]

fastlyミーティングルーム
fastlyミーティングルーム

エクマン:なるほど。リアルタイムで削除ができることによって、今まで動的と見なされたコンテンツは、実はイベント駆動のコンテンツだったということ。そう考えると、ネット通販(EC)やマスコミなどの領域に適しているということになるよね?
ハレイ:そいうこと。今までキャッシングできなかったことをキャッシングができるようになるはfastly。もちろん動画配信などの他の用途にも使われているが、CMS、ネット通販やAPI経由のデータ配信にもよく使われている。

エクマン:僕のブログはwordpressでできているが、中身が中途半端に動的だね。例えば、コメント枠や記事の編集などが妙に動的で毎回DBに取りに行っている。こう言うようなCMSやブログシステムと組めるという認識で問題ないか?
DSCF6169ハレイ:うまいフォローありがとうw。実はWordPressDrupalなどのCMSのコミュニティと組んでワンクリックインストールのプラグインも作っている。apiguyのブログで使ってみたら?
エクマン:じゃあ、日本に戻ったらちょっと導入してみるねw ちなみに、ご料金の方は?(汗
ハレイ:クラウドサービスっぽく従量課金制なので、使い方次第だが、月50ドル未満ならただで使えるよ。

エクマン:最後にオープンソースの話に戻りたい。Varnishを使うことによってリアルタイムパージができるようになり、今までキャッシングが非常に難しかったコンテンツでも対応ができるというメリットが理解ができた。しかし、それはオープンソースでなくても良かったのでは?オープンソースである必要をあまり感じが・・
ハレイ:確かに、それはそうだよ。先ほどの説明で触れなかったが、fastlyはオープンソースでできているだけではなくて、オープンであることにかなりこだわっている。
エクマン:というと?
ハレイ:中身はブラックボックスではない。従来のCDNでは中身のロジックや動きも公開されないまま、細かい調整が不可能だった。Varnishベースで作ることによって、自分の好きなロジックでカスタマイズができる。具体的に言うと、VCL(Varnish Configuration Language)でFastlyを操作ができる。必要に応じて、コンサルティングやその辺のサポートも可能。これは大きな差別要因だと思う。

Haley氏と社犬
Haley氏と社犬

今回はFastlyというCDNに行ってきたが、やっぱり今までのCDNと考え方がだいぶ違うなと実感ができた。短いランチミーティングでカバーできない話が多いけれども、リアルタイムパージやVCLカスタマイズなどの特徴がかなり嬉しいかも。今年から日本のオフィスも開設したばかりということで、これからの日本の展開も楽しみにしている。オープンソースが大好きな僕には、こう言うサービスが流行ってほしいよね・・
まずはapiguy.tokyoをFastlyでキャッシングしようかなと。

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