歴史教科書国定化の必要性強調 韓国首相が国民談話

【ソウル聯合ニュース】韓国の黄教安(ファン・ギョアン)首相は3日、政府ソウル庁舎で「検定制度では正しい歴史教科書をつくることが不可能。制度を改善し、正しい歴史教科書をつくるべきだ」との国民向け談話を発表した。韓国政府は中学・高校の歴史教科書の検定制をやめ、国定化に一本化する方針を示している。

 黄首相は談話で、政府が事実歪曲(わいきょく)と偏向性のある教科書の内容を正しく修正するよう求めても、歴史教科書の執筆者たちはこれを拒否し、逆に政府を相手に訴訟を乱発していると指摘。事実歪曲事例としては、朝鮮戦争と関連し休戦ラインでの南北衝突が戦争勃発の原因であるかのように記述していることや、2010年3月に発生した北朝鮮による韓国海軍哨戒艦「天安」撃沈事件について米国の仕業と記述したり、座礁による事故と主張したりしていることなどを挙げた。

 黄首相は「これ以上歪曲された歴史教科書でわれわれの大切な子どもたちを学ばせることはできない」とした上で、「これらの問題を検定制度を通じて解決するのは難しい」と、国定化の必要性を強調した。

 韓国では朴正煕(パク・チョンヒ)政権時代の1974年から国定歴史教科書が使われてきたが、金大中(キム・デジュン)政権の2002年に検・認定制度が一部導入されたことを受けて複数の出版社が教科書を作成するようになった。11年には完全に検定制に移行した。

 朴槿恵(パク・クネ)政権は、現行の歴史教科書に北朝鮮問題などで歪曲された内容が多く含まれているとし、政府がつくる国定教科書に変更する方針を発表した。

 ただ、歴史学界や教育現場で国定教科書の執筆を拒否する動きが相次いでいるほか、複数の世論調査でも国定化に反対する声が多い。黄首相の会見はこれらの状況について、反転攻勢を図る狙いがあるとみられる。

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