米国のアシュトン・カーター国防長官は2日、米中間の軍事的緊張が高まっている南シナ海問題と関連して「(韓国だけでなく)地域のほかの国々ともパートナーシップを結んで海上安全保障問題を解決しようとしている」と語った。
カーター長官は2日、第47回韓米安全保障協議会(SCM)の後、ソウルの韓国国防部(省に相当)で韓民求(ハン・ミング)国防部長官と共同記者会見を行い、上記のように語った。カーター長官は「(米国の)主要な原則は、(中国が南沙諸島〈スプラトリー諸島〉で行っている)さらなる埋め立てであるとか、南シナ海の一部の軍事化はしてはならないということ」「昨年、そうした活動を最もひんぱんに行った国が中国」と語った。カーター長官の発言をめぐっては、しばらく南シナ海問題について中立的な表現を使ってきた韓国に対し、韓米の国防長官会談を通して米国が「どちらの側に立つのか」を問い掛けるもの、という解釈がなされている。
またカーター長官は、日本の自衛隊が北朝鮮地域内で集団的自衛権を行使する問題について「韓日は重要な同盟国で、この同盟は国際法を基盤とするもの。国際法の中には、各国の主権を尊重するという点も含まれている」とあいまいに答えた。
カーター長官の発言が「国際法」に力点を置いたものである場合、支配の実効性がある休戦ライン以南のみが韓国の領土に該当するという日本の主張を聞き入れるもの、と解釈できる。一方「主権尊重」に意味を付する場合、憲法上の領土条項を強調する韓国政府の主張に力を与えるもの、と解することもできる。
カーター長官は「韓日間に歴史的問題があるということは理解している」と述べつつも「国防関係を見れば、韓国と日本はかなり建設的な関係を有しており、韓米日3カ国協議でも同様」と語った。両長官は2日の会談で、両国の防衛産業の技術戦略および協力に関する協力を強化するため「防衛産業技術戦略協力体(次官級)」を新設することに合意した。しかしカーター長官は「米国はKFX(韓国型戦闘機)開発を積極的に支持する」と述べつつも「米国法により、韓国側に特定の技術を移転するのには制限がある」と、これまでの姿勢を再確認した。また両長官は、米国の「終末段階・高高度防空システム(THAAD)」を韓半島(朝鮮半島)に配備する問題について「今回の会談では議論されなかった」と語った。ただしカーター長官は「(今後、必要な場合)米国は、同盟の立場からTHAAD配備の決定をすることになるだろう」と語った。韓国軍の関係者は「韓国ではなく『同盟の立場』という表現は、韓国政府を圧迫するものと解釈できる」と語った。このほか両長官は、北朝鮮の核・ミサイルの脅威を探知(detect)・かく乱(disrupt)・破壊(destroy)・防御(defend)するための「4D作戦概念」の履行指針を承認した。