「あれ?」と思ったのは、3カ国から1人ずつ出たパネリストの顔ぶれを見た時だった。それぞれのセッションに、日本側からは、内山田会長と飯島会長、中国側は王府井百貨店と安邦保険のトップが参加した。
「ビジネスサミット」と言うからには、ビジネス界の首脳が参加するのが普通だろうが、韓国側は違った。
2つのセッションとも、なぜか、政府系研究所の所長だったのだ。
もちろん、政府系研究所のトップ2人は韓国ではそれなりに知られた存在で見識あるエコノミストだ。だが、日本と中国の参加者がビジネス界代表なのに、韓国からの参加者は政府系研究所の所長というのは相当に違和感があった。
経団連と全経連、国際貿易促進委員会の共催で、中国からも「経営者」が出ているのに、なぜか、韓国からはエコにミストなのだ。司会者も、どちらかと言えば、エコノミストに近い人物で、どうしてもダブってしまう印象も与えた。
セッション中に失笑買う場面も
エコノミストだからか、やり取りで会場の失笑を買う場面もあった。
1人の政府系研究所の所長が、日中韓の協力を語る際には北朝鮮のことを考えることも重要だと指摘した。この所長は「最近、北朝鮮は過去にないほどの変化の兆しがある。国民が『消費』の味に目覚めつつある」などと語った。
統一に向けて北朝鮮の経済を支援するためにも日韓中のビジネス界が協力すべきだという、政府系研究所の所長らしい主張だった。
特に、珍しい発言でもなく、そのまま反応もなく次の発言に進むかと思ったら、ちょっと違う展開になった。こんなやり取りになった。
安邦保険のトップ:「大変面白い話だが、具体的に何をお考えですか?」
政府系研究所長:「いや・・・具体的には・・・」
この瞬間、会場の中国人からどっと失笑が漏れた。日本人や韓国人は、黙って聞いていたのに、中国人が一斉に笑ったのだ。北朝鮮に対する見方の違いか。理屈だけで具体論がない話に対する嘲笑か。セッションで最も興味深い場面だった。