こんな記事を読んだ。
本文中に指摘がある通り、ただ板書を丁寧にコピーアンドペーストしたところで、何かの役に立つとは到底思えない。
まあ、コメント欄にあるとおり、『とりあえず手を動かしておく』ことには、多少なりとも効果はあると思うが、最近の学生(私の時代も先駆的な学生が実践していたが・・・)は板書をスマホでぱしゃりとして済ませることが多いようなので、ますますもって残念な状況である。
学生時代から今までずっと、自分で自分のことを、『勉強ができる』と思ったことはほとんどないけれど、『ただ、板書をコピペしても、ダルいし意味ねーよなー』と思いつつ、自分なりにノートの取り方は工夫してきた。
いつか、何かのタイミングでまとめようと思っていたが、良い機会だと思うので、整理してみたい。
おことわり
本稿は、へっぽこITコンサル(見習)が、昔を懐かしんで『こんな風にしとってん』という思い出話をしたいだけであって、『これで抜群に頭が良くなる!』『GPAが3.8以上になる!』『彼女が出来る!』とかそういった類の話では無いので、ご了承頂きたい。
なお、こういった技術の適応範囲は、学問分野に依存する部分も多いと思うが、わたしは学生時代、経済学部と商学部に所属していた。専門は、産業構造論と会計学といった感じになるが、その辺については、この辺りに書いてみたので、お暇つぶしにでもどうぞ( ゚д゚)丿
こんな風にしてました
若干黒歴史感が漂うが、学生時代のノートを公開してみる。なお、書いている内容にいい加減なところがあったとしても、それは教授がいい加減だったわけではなく、これを書いた私がくるくるぱーだったというだけだということは念を押しておきたい。
はい、こんな感じ。特に深い意図は無いが、比較的一般的な科目であると思われる『財政学』にしてみた。一個だと寂しい感じがしたので、もうひとつ。
もう、8年近く前の内容になるので、若干時代がかっているのは仕方ないよね、ということはご容赦を。あと改めて見ると『気分のむら』が、ようわかるなあ(;´Д`)
使っていたもの
せっかくなので、学生時代使っていたものについて、簡単にご紹介してみたい。
A4白紙のルーズリーフ
ノートは、すべてA4かつ白紙のルーズリーフでとった。
A4白紙ルーズリーフを使う最大の理由は、スキャナで取り込み易いからである。これは、通常の『大学ノート』では得られない利点である。だからこそ、大学卒業から6年も経った今でも、すぐに当時のノートを取り出す事ができる(原本は引っ越しの際に処分した)。
また、白紙であるのにも理由がある。多種多様な授業に参加する以上、テーマによって、相応しい文字のサイズなどは大きく異なる。経済学の授業では、グラフやフロー図を書く必要もあるが、そこに、罫線という『邪魔』は無い方が良い。また、私自身がかなりの気分屋で、その日ごとに書きたい文字のサイズがコロコロ変わるため、文字に自分をあわせるのではなく、自分に文字をあわせるために白紙にしたという面もある。
三色ボールペン
次に、ノートを取るときに使った筆記具であるが、フリクションの3色ペンを使った。
無駄にカラフルにする必要は無いと思うが、やはり3色くらいあったほうが何かと便利である。 フリクションは、私が大学生の時に発売されたが、これは大変画期的な商品だった。
ファイルケース
書いたノートは、すべてA4の間仕切り付きのファイルケースに突っ込んだ。
これは中々の優れもので、教授の配るレジュメもまとめて科目単位で放り込んでおけば、書類はすべて一括で管理できる。いちいちファイリングする必要もなく、あとはまとめてスキャンするだけなのでから、いま思えばルーズリーフでなくて、ただのA4用紙でも良かったかも知れない。
スキャナ
最後は、スキャナ。家の複合機でPもDF化は出来たが、学内のスキャン機能対応のコピー機のほうが、より高速であるためバシバシ取り込んだ。早いは正義。なお最近は、モバイルスキャナを色々と利用させてもらっている。
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モバイルながら、中々高速にスキャンしてくれ、大変満足している。
ノートの取り方
特に『ノートの取り方』とかそういった本は読んだことが無いが、『ただ板書するだけっていうのは、疲れるだけで何も面白く無いし嫌だよね』と思い、自分なりに『こうしたらもっと楽しくなるんじゃないのか?』と思いながらノートを取っていた。その中で、何点か自分の中で決めていったことがある。
まずは聞くこと・見ることに集中する
ノートは、自分の思考を整理するサンドボックスのような場所と捉え、まずは教授の説明を聞くこと、配布された資料や板書を聞くことに集中した。紙を書くのは、その内容の中から、中心となりそうな部分や、重要そうな数値データにフォーカスするようにした。
丸写しはしない
丸写しが必要なら、写メ(死語?)を取ればいい。眼と耳に入ってきた文章や言葉を、自分の頭のなかで再構築をしながら、関係性を想像して書いていく。『つまり、あの人のいいたいことってこういうこと?』ということを、文章や言葉の中から拾っていき、自分だけの図解にしていく。
分からなければ書く
とはいえ、うまくいかない時もある。そんなときは、とにかく何でも書いた。書きながら、『ああ、こういうことか?』と思いついたことがあれば補足していく。書けば何かがわかることがあったので、わからないときほど、手を動かすことに専念した。
出来る限り文字は丁寧に書く
自分でも、字がうまいほうだとは思っていない。ただ、なるべく丁寧に書くように心がけた。いい加減な文字で書き始めたノートは、中身までもいい加減になっていく。社会人になった今でも思うが、ちょっとしたメモでも、心を落ち着けて丁寧に書くことを意識したものは『保存版』の内容となっていく。
自分の言葉で書く
専門用語を説明する講義で、専門用語を専門用語で解説してみても、何もわからない。自分の中で、分かりやすい日常語に置き換え、書いてみる。それが思いつかなければ、何か決定的に理解が不足しているということなので、もういちど考え、言葉を探していく。
誰かに説明するつもりで書く
ものごとは、誰かに説明することが出来て初めて『知識』と言えると思う。ただ漫然と、紙に説明を書くのではなく、その紙を使って説明をするつもりで書いていけば、何を書くべきで、何は書く必要が無いのかが見えてくる。
遊び心は忘れずに
ただひたすら文字を書いてく作業も、それを読み返す作業も苦痛が大きい。なので、ところどころ、『遊び』を入れておくことにした。ただこれはちょっと遊びすぎたなー(笑)。
細かなルールとか
内容面以外にも、細かな技術的なルールとして決めたことが何点かある。
授業名と回数・日付を右上に書く
ルーズリーフをバラバラの状態で使っていると、どれがどの授業のものか分からなくなる。それを避けるために、『授業名』および回数・日付を右上に書いた。最初は、回数を書いていたが、『あれ?これ何回目だっけ?』ということがわからなくなり、変な番号になってしまうことが起こったため、シンプルに日付とした。
一講義でノートは1ページ(以上)
ルーズリーフなんて高いものじゃないんだから、贅沢に使って行ったほうが良い。講義名と回数が右上に書く以上、複数回の講義は1枚にまとめられない。また、1/4のスペースから書き始めると、どうしても書くべき内容が小さくなっていってしまう。それを避けるために、毎回常に新しいルーズリーフを使うことにした。
どんな講義でも同じスタイルにする
語学以外は、すべてこのスタイルに統一した。教授によって、授業の進め方はまちまちである。
- 教科書をメインにしながら進めていくタイプ
- 板書やスライドの投影をメインにしながら進めていくタイプ
- 配布した資料に書き込ませながら進めていくタイプ
ちょっと大変だったのは3番の『俺の資料を埋めていけば、ノートなんか取らなくていいんだよ』としてくるタイプ。きっと、『効率的に授業が進められるよう』考えた結果だとは思うが、進め方を一番型にはめてくるタイプだ。こういったタイプの授業でも、配布された資料は資料として使いながら、重要だと思うポイントは、資料と重複してもノートに書き写して進めるようにした。
結局ノートってなんなの?
改めて振り返ると、ノートはあとで読み返すというよりも、書く作業自体に意味があったんだと思う。繰り返しになるが、ただ単純に板書の写しが欲しいだけであれば、スマホで撮影しておけばそれで良い。
また、ただ書くだけでも意味がないと思う。まずは、しっかり資料を読む、話を聞く、そこから全てが始まる。その上で、自分で考えたことを、他人に説明する。そこまでして初めて情報は知識に変わる。ノートというのは、あくまでインプットとアウトプットを繋ぐ導線でしか無いと、わたしは思う。
情報を得るだけなら、本を読めばいい。でも、大学という学生同士ワイワイガヤガヤしながら『こういうことじゃねーの?』と言い合える空間は、それを利用可能な知識にするためのスピードを随分と早くしたんだなあと、今になって思う。
説明するつもりで講義を聞く、人に説明するつもりでノートを取る、内容をみんなに説明する。このプロセスの中で『ノート』は役に立つのであって、ただ漫然と『わかりやすく』書いたところであまり意味はなかったと思う。
社会人になってから思うこと
業種にもよると思うが、話の内容を整理・分析するということは、社会人にとって決定的に重要なスキルになる。特に、SEなどの『ホワイトカラー』な職業においては、いきなりわけもわからない状況で、怒れる顧客の中に放り込まれ、ホワイトボードに状況を整理していくことが求められることも多い。
ファシリテーション・グラフィック、なんて本もあるが、ストーリーをロジカルにまとめることは、状況を優位に持っていくためにも重要なスキルである。
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中には講義があまりお得意でなさそうな教授もいらしたが、それでも『現場』の様々な思惑の絡まりあった、誰ひとり訳の分からない打ち合わせと比べれば、大学の講義はよっぽどロジカルでシンプルにまとまっている。
まずは、その内容を、自分の言葉で整理し、図示していくことは、社会に出る前のトレーニングとして、大きな価値があったと感じている。
まあ、どんなノートをとろうと、どんな風に授業を受けようと、どんな風に授業の内容を活かそうと、個人の勝手である。やり方は、ひとりひとり違っていい。ただ何事にも、『工夫』はあるべきだ。
今振り返ってみれば、たかがノートではあるが、自分なりに考えて、工夫することが出来たことこそが、一番の財産になったような気もする。
ではでは、今日はこの辺で。