【台北=山下和成】台湾の馬英九総統(国民党)と中国の習近平国家主席は7日、シンガポールで会談する。台湾総統府が発表した。中台首脳の直接会談は1949年の中台分断後で初めて。中台融和について話し合うことが目的だ。馬氏とすれば、2016年1月の台湾総統選をにらみ、国民党政権による中台融和の流れを確認することで、野党・民進党をけん制する狙いとみられる。
総統選に向けては、台湾独立志向を持つ民進党の候補が優勢とされている。中国としても、近隣の南シナ海で米国との緊張が高まるなか、民進党の伸長は望ましくないとみられる。習氏には、馬氏との近さをアピールすることで、「中台関係を安定させるには対中融和派の国民党政権が望ましい」とのメッセージを台湾住民に送り、国民党の候補をテコ入れする狙いもあるようだ。
総統選に向けては世論調査の支持率で民進党候補の蔡英文主席が大きくリード。国民党候補の朱立倫主席は劣勢だ。
08年に総統に就任した馬氏は経済を中心とする対中融和政策を推進。中台首脳会談の開催にも意欲を示していた。任期は16年5月まで。中台首脳会談の開催を自身の政権の「レガシー(遺産)」にする狙いもある。
シンガポールでは1993年に中台の交流窓口機関の初のトップ会談が開かれた。
馬英九、習近平、シンガポール、蔡英文