【コラム】ノーベル科学賞、黙々と応援して待ってくれれば=韓国(2)

【コラム】ノーベル科学賞、黙々と応援して待ってくれれば=韓国(2)

2015年11月02日13時23分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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  大村教授の履歴を見て2月に妻とともに山梨に行ったことを思い出した。日帝強占期に朝鮮の工芸に多大な関心を持っていた浅川巧という日本人の故郷でもある。浅川巧は実兄の浅川伯教とともに朝鮮白磁の美しさを再発見した人だ。心から朝鮮を愛し、山林緑化にも貢献した。惜しくも肺炎で若くして死去し、日本人で唯一忘憂里(マンウリ)に埋葬された。浅川兄弟の記念館と生家跡地を訪れ、空気のきれいな山の中の村の静かさと穏やかさを満喫した。山梨は浅川兄弟のほかにノーベル賞受賞者の大村教授という自慢の種をもう1人持つことになった。

  ノーベル賞発表がすべて終わり今年も韓国は手ぶらだ。容赦ないマスコミの叱咤が続いた。中国と日本がともに含まれ韓国だけ後れを取っている感じから批判のレベルはさらに深刻なようだ。多くの指摘があった。大きく不足する研究費、不十分な研究政策と短期成果にこだわる研究者の姿勢などが原因という分析だ。1日も早く改善しなければならない問題だ。

  医学者を含む韓国の科学者もこれまで多くの努力をしてきた。厳しかった時代でもあり主に臨床医学あるいは応用科学に集中したのが事実だ。短期間に成果を出さなければならなかったためだ。特に医学の場合、国民保健向上という社会的要求を無視できなかった。数十年前の韓国はしっかりとした基礎科学研究をする状況ではなかった。ノーベル賞が要求する独創的な研究は結果が出るまで多くの時間が必要だ。また長期間の検証過程を経なければならない。すぐにノーベル科学賞を望むのは井戸に行ってお湯を求めるようなものではないか。

  現在も全国の大学や研究所で研究に没頭し深夜でも明かりを灯す学者は多い。叱責よりも制度整備や研究費支援など積極的な声援が必要だ。韓国の科学者を信じて待とう。あまり遠くない将来、「10月のある良い日」にうれしい便りを伝えられると確信する。

  金東奎(キム・ドンギュ、ソウル大学医学部教授・神経外科学)

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