視覚障害者へ朗読録音30年 京都の「こおろぎ」が交流会
ニュースや街の話題、小説などの朗読を録音した「テープ雑誌」を視覚障害者に配布している京都市のグループ「こおろぎ」が発足から、30年を経過した。メンバーは「続けてこられたのは毎回楽しみにしてくれる『リスナー』のおかげ。心に響くテープをこれからも届けたい」と話している。
こおろぎは上京区を拠点にしていた同名グループを前身に1984年に発足。現在は50~70代の14人が所属し、京都YMCA(中京区)で週に1度、録音に取り組む。年に3、4本を配布している。
「リスナー」の視覚障害者は府内に約120人いる。テープの内容は、テレビやラジオでは放送されないような新聞や雑誌の細かなニュースから小説やエッセーまでと多彩だ。メンバーが街や商店街を取材して作る「京都散策」といった人気コーナーも生まれた。池上恭子代表(71)は「朗読は毎回、試行錯誤の連続」と苦笑するが「30年間聞き続けてくれる人もいて、喜んでもらえるのが一番うれしい」と話す。
リスナーと実際にふれ合う交流会も85年から毎年開催。30回目の今年は3日にあり、京都市動物園の訪問のほか、市内のホテルでのハンドベルの演奏などで節目を祝う。岡本都副代表(76)は「福祉で大切なのは障害者との心のふれあい。テープを通してこれからもリスナーの心に寄り添いたい」。リスナーやメンバーを募っている。京都YMCATEL075(231)4388。
【 2015年11月03日 10時27分 】