「どうして おなかが へるのかな?」
こんなことを問う、歌がある。作詞・阪田寛夫/作曲・大中恩の『おなかのへるうた』だ。
シンプルイズベストという言葉を体現したような、ストレートすぎる曲名もさることながら歌詞もものすごくシンプルだ。
だが、そのシンプルさ故に誰もが見落としてしまう"あること"に私は注目した。
この歌が本当に伝えたいメッセージは、「お腹が空いている」ことなどではない。ヒトという矛盾多き生物に対する投げかけなのではないか。という疑いである。
歌の冒頭で問いかけられる、「どうして生物は空腹を感じるのか」という生物学的な疑問に端を発するこの一連の流れ。
その表題を伝えたあと、歌はさらに続く
けんかをすると へるのかな
なかよししてても へるもんな
これはヒトに対するメッセージなのだ。そう、ヒトは誰もがことごとく矛盾を抱える生き物なのだから。
現在、地球のヒエラルキーの頂点にいる我々はピラミッドの先端から多くの生物を見下ろし、「ヒト」と「それ以外」を区別しようとしている。だが自らが子孫を繁栄させるための行為はひどく野性的で、ヒト以外に分けた生物となんら変わらないのである。
つまり人間はその進化の過程に、悲劇的とも言える矛盾を抱えて生きているのだ。この歌詞は、そういう愚かな人間を揶揄したものだと捉えることができる。
そして、
かあちゃん かあちゃん
"母"という「生命の根源」を想起させる者の名を連呼し、人間は愚かだからこそ美しい。そんなアンサーを緩衝材としながら
最後、「お腹と背中がくっつく」という、想像し得る中で最も猟奇的な状態を示しながら『おなかのへるうた』はその幕を閉じる。
なぜ、こんな恐ろしい状態でこの歌は終わるのだろう。
答えはひとつ、人間が今のまま何も変わらず生きていくと飢餓に苦しみ朽ち果てる。そう伝えたかったのだと解釈できる。
ヒトは多くの矛盾を抱える生き物である。
遠くの子供を助けるために大声で叫びながらすぐ近くにある子供の命に目を瞑り、マスコミを無能だと構えながら仮装をして街を踊り歩く。
そんな生物なのだ、我々は。
矛盾を抱えるなとは言わない。せめて、まっすぐに生きる。それがヒトとしてあるべき姿なのではないか。『おなかのへるうた』はそんなことを伝えたかったのだと考え、この記事を締めたいと思う。
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みたいなことをお腹が空いてたので、30分くらいで書いた。なんだこれ。
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