政府ではセミナーなどを通じて「無理のない対策を講じてほしい」と企業側に呼びかけているが、現状では「間違いなく利益を圧迫している」(同)。
便乗ビジネスではなく、「マイナンバー普及拡大につながるような新たなビジネスを生み出してほしい」(福田峰之内閣府補佐官)との思いが実を結ぶまでには、時間がかかりそうだ。(川上朝栄)
マイナンバー制度 赤ちゃんからお年寄りまで国内に住民票がある国民一人一人に12桁の番号を割り当て、国や自治体が社会保障や納税関連の情報を効率的に管理できるようにする制度。番号は原則として生涯変わらない。法律で定めた事務以外の目的で取得、利用することは禁止されている。10月から個人番号を伝える通知カードを郵送。来年1月から一部の行政手続きで運用が始まる。
平成25年5月に、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、いわゆるマイナンバー法が成立。その後、27年9月3日にマイナンバーの利用範囲を預金口座や特定健康診査(メタボ健診)にも拡大する改正マイナンバー法案が衆院本会議で、賛成多数で可決、成立した。
政府は、マイナンバー制度を導入することで、脱税や生活保護の不正受給がない「公正・公平な社会」の構築を目指している。税と社会保障、災害関連の個人情報を12桁の番号に結びつけることで、自治体や税務署は番号一つで情報を照会できるようになる。
番号制度は欧米では早くから採用され、日本も1960年代から検討を始めた。だが、「国民総背番号制」と呼ばれるなど、国が個人への監視を強めることに批判が起き、導入が進まなかった。平成19年に発覚した「消えた年金」問題が、記録を管理しやすい番号制度の導入を後押しする機運をつくり、導入の運びとなった経緯がある。
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