垣花昌弘
2015年11月3日15時38分
11月に東京で開かれる少年の主張全国大会に、福岡県飯塚市立飯塚第一中学校3年の馬場﨑文音(あやね)さん(15)が出場する。幼くして母を亡くしたが、本当の母親のように育ててくれた幼稚園の2人の先生がいた。「私には、血のつながりのない、2人の母がいます」。大きな愛情で見守ってくれた2人に、感謝の言葉をつづっている。
歌が好きで明るかったという母の記憶はない。自身が2歳の頃、白血病で亡くなった。父と2人だけの家族になった。市内の幼稚園に預けられ、小学校入学後も同級生と遊ばず園に「帰り」、勉強したり掃除やお使いなどを手伝ったりした。字はきれいに書く、食事は残さない、掃除は最後まで丁寧に、といった大切なことをたくさん教わった。園に通う日々が小学6年まで9年間続いた。
それでも、先生から「文音のお母さんは、私たちよ」と言われるのが恥ずかしくて一番嫌だった。だが中学生になり、その言葉の裏にある深い愛情に気付く。「どうして文ちゃんにはお母さんがいないの?」と無邪気に聞いてくる園児に、何も答えられないでいる自分を守ってくれる言葉だったと。先生たちが、守り、育て、慈しんでくれたことにも。
家族や自分を支えてくれる人たちの言葉に、いらついたり反抗したくなったりしても、「その言葉をしっかりと受け止めてください。きっとその言葉には、その人からのあなたに対する愛で溢(あふ)れているはずです」。そして「『人は愛の中で生きている』。そう思わせてくれて、お父さん、お母さん、そして2人のお母さん、本当にありがとう」と文章を結んでいる。
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朝日新聞社会部
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