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第六章 第五話
5連投できたぁ
僕は必死で逃げた、つもりだ。
しかし精力を搾り取られ、下半身をむき出しにしている状態ではそう遠くへはいけなかったし、格好も無様だったろう。それよりもまず思考が安定せず、僕は焦りと混乱で、ただの深い茂みに隠れてしまった。
「クスクス、どうしたのそんな所で……」
「そんなに縮こまって……」
当然に当たり前に必然に、僕は見つかってしまう。やはり無謀な挑戦だったのだろうか、またもやずるりと彼女等に引きずり出され、ブランとぶら下がる。
「クスクス、ピット器官って知ってる……?」
「蛇にはね、体温で獲物を見つける器官があるのですよ……」
曰く、赤外線何たらで暗闇でも獲物を見つける事ができるらしい。そこまで聴いて僕は余りにも卑怯じゃないかと、逃げ切れるわけが無いではないかと、心の中で思ったが、諦め、口をつぐんだ。どうせこの状態じゃ時間の問題だった。ただし、最初からそれを知ってさえいればという、後悔の念が沸きあがってきたのだ。
「それじゃあ、ばつげぇむね……」
「……でも、まぁ、これで許してあげます……」
あみらと少し口論したみあらが、僕の首筋にカプリと噛み付く。ジンワリと彼女の香りを鼻腔に感じながら、僕は意識が遠くなっていくのをぼんやりと感じていた。
「みあらは優しいんですこと……」
「いじわる言わないで、あみら……」
その娘も回収しましょうと、闇に散る残滓の様に僅かに聴きながら、僕は完全に意識を手放した。
*
「気が付いたかしら……」
「体温が上昇してますよ……無駄な事です……」
僕は覚醒した瞬間に、目をつぶったまま、五感を頼りに周囲を感じようとしていた。しかしそれは敏感な彼女等によって遮られた。
わかる事は、僕は藁の様な柔らかなモノが敷かれている所に寝転がっており、辺りは少し湿っぽい。ただし不快と言うほどでは無い。感覚で身体をまさぐってみても、何かされている様子は無い。僕はゆっくりと起き上がりながら、彼女等に問う。
「僕をどうする気ですか……?」
薄暗いながらもぼんやりと明るい、だが恐らく洞窟の中、彼女等は単にエプロンをつけながら、僕を見下ろしていた。
「久しぶりのお客様だもの……」
「もっと、私たちと遊びましょう……。でもその前に……」
どうぞと差し出されたそれは、調理された獣の肉。及び細かく刻まれた野菜に、均等に切られた果物。グラスに入った赤い飲み物に、ナプキンまで用意されている。
「一眠りもすれば、お腹が空いたでしょう?」
「丹精込めて作りましたのですよ。口に合えば宜しいのですが……」
目を白黒させたのは僕でなくても当然だろう。明らかに自然の洞である所で、立派な料理が出てきたのならば。それとは別に、肌の上にエプロンを着込んだその二人の姿は何故か非常に扇情的で、どきどきしたのだ。
「お客様にはおもてなしをしなくてはいけないでしょ?」
「ご安心を、あの娘も無事ですよ。あちらもちゃんとオモテナシさせて戴きますから……」
僕はさあさあと進められる料理を、訝しげに確かめる様に窘めるが、ぐぅと言う生理現象には逆らえなかった。なりより彼女等には敵意や企みなどは見えず、純粋に料理を食べてもらいたそうだったのだ。
僕はそばに有ったスプーンを取り、恐る恐るながら凄まじく食欲を刺激する恐らく猪の肉を調理したものを掬う。そして一口。……美味い。
とても柔らかく、恐らく煮込まれ、塩の利いた肉は空きっ腹に極大のダメージを与える。それによって食欲が刺激され、手の動きが止まらなくなる。
「きゃあ! 食べた食べた……。あ、そっちのやつも自信なの、食べてみてよ……」
「ああ、あんな美味しそうに……。あぁん! それは私の……キャア!」
手を伸ばしてがっつくと、彼女等がそれもそれもと声をかけてくる。夢中で幾つかを平らげ、落ち着いてくると、なんだかむず痒い様な、姦しい声がバックに響く。何かを摘もうと手を伸ばすたびに、何かを口に入れるたびに上がるちょっとした悲鳴に、僕は熱にやられてしまった様に顔が熱くなる。しかし何を口にしても美味しくて、手が止まらない。ついに果物まで全てを平らげてしまった僕はぷぅ、と一息つく。皿には何も残らない、完食だ。
彼女達はそこで寛いで居て下さいと告げると、食器を片付け、後始末を行うために奥へと行ってしまった。いやあ、それにしても美味しかった。今まで食べたことの無い料理であったけれども、ドレもこれも美味しくて……って僕は何をしているんだっ?!
がばっっと起き上がると僕は周囲を見渡す。僕はこんなことをしている場合じゃないのだ。マリサ姉さんを助け出さなければ。彼女等はあちらもオモテナシをするとか何とか言っていたはずだから、きっとこの洞窟内に居るはずだ。
僕は彼女等が消えた先から別方向に伸びる道をこっそりと進む。しばらく進むと少し開けた場所へと出る。そして僕はそこに寝転がるマリサ姉さんを見つけた。
「マリサ姉さん!」
思わず声に出して、喜色を表し、近づく。仰向けに寝かされたその胸は僅かに上下しており、また、顔色も悪くない。どうやらずっと寝ていたようだ。
「よかった……」
「よかったわねぇ……」
「安心ですわねぇ……」
ホッと一息ついたのも束の間、いつの間にか僕は後ろからラミア達に腕を回されていた。
「クスクス、食後の運動はいかがでしたかしら……?」
「元気なのは良い事です……」
ふんわりと押し付けられる感触に、マリサ姉さんの無事を確認して安堵仕切っていた僕は、意表を突かれた。驚きよりも脳裏に過ぎるのは過去に与えられた陵辱にも似た遊び。
「安心した所で、次は何して遊ぼっか……」
「それとも、彼女も混ぜて遊びましょうか……?」
ニタニタと笑う彼女等の遊びはまだまだ終わりそうに無かった。
*
カプリと噛まれ起こされたのは、目の前の沼神を見た瞬間に理解した。彼女等はまるで子供の様に、純粋な悪意に似た何かで、遊びを提案する。
ジクジクと首筋に感じる噛み跡は、痛みを感じず、別な何かを伝えてくる。
「それじゃあ折角だし、彼女も混ぜて、遊びましょうか……?」
「だるまさんがころんだ、なんてどうですか……?」
起き抜けのぼんやりとした意識の中、沼神がヤクモに向かって話しかける。その姿はまるで子供をあやすかの様であり、同時にオモチャで遊ぶ子供の様だった。なのにそれは妖艶で、色を帯びたもので、そのギクシャクさに戦慄を覚える。告げられたその時、ヤクモが見たことも無いような表情をしたのが気になって仕方が無い。そして衣類を纏っていない事も、その、あそこ、を大きくさせていることも。
ニヤニヤとした沼神に、こくんと肯定の意をしめすヤクモは、笑っているのか、脅えているのか、度し難い表情のまま、沼神の手で弄くられている。純粋なあの子を、一体どんな酷い事をしたのか。そしてこの高ぶる鼓動を抑えきれず、ヤクモのそれから目が離せない私に一体何をしたのか。
そのまま彼女等はヤクモと私を混ぜ、遊びを始める。それによりヤクモの異変の意味を知ったのだ。
だるまさんがころんだ、の掛け声と共に、後ろを向いた鬼が、振り向く。
振り向いている際、こちらは動いてはいけないが、文言を唱えている間に、鬼に近づき、その身体に触れれば勝ち。という一般的なルールだ。
また、振り返る際に、動いてしまったら、その物は鬼に捕らえられる。
「だーるまさんが、」
「ころん………………だ」
クルリと振り向く沼神は、言ってしまえば楽しそうだ。
洞窟の壁から壁の間。およそ二十にも満たない距離の中、ヤクモと私はゆっくりと鬼に近づく。
「マリサ姉さん……ごめん……」
その謝罪の意味はたくさんの意味を持つ事だろう。その小さな身体にいったい幾つの思いを持つのか。それの中に私に対する気持ちがある事が、気付いていながら何も出来ない自分がもどかしい。
「今はその時ではないわ、ヤクモ」
そう言いつつも私の体は熱を持ち、ちらりと見やるヤクモの逸物に気を取られて仕方が無い。ヤクモもきっとその視線に気付いている事だろう。なんてはしたないのだろう私は。
それもこれもきっとこの噛み傷の所為だと、言い聞かせ、ともかく今は沼神の気を紛らわせる事が大事だ。
「だるまさんが……ねぇ、みあら。なんで転ぶのかしら?」
「まああみら、そうですね、たしか達磨とは丸いもので手足などはなかったはずですが……ころんだ」
なんとも意表をついただるまさんがころんだだ。私は様子を見ることで、会話の途中から歩みを止めた。
しかしヤクモは少しでも早く勝負を決しようと、その隙に走りこんでいた。その為に、負けたのだ。
鬼である沼神に引きずられ行く、ヤクモは、ビクンビクンと不思議な物を逸物からポタポタと垂らしながら、負けたことを歓喜している様にも見えた。
「クスクス、ヤクモ捕まっちゃったわね……」
「まだ勝負はあの娘が居ますからね、まだ続けますよ……」
沼神はヤクモを確りと抱きしめると、まだまだ此方を見つめたまま、その身体をまさぐる。何をしているのかと駆け出していこうとした私は、沼神に窘められる。
「まだ終わってないのよ動いちゃだ・め……」
「そこで見ていて下さいな……」
ギロリと光る瞳に恐怖と、背筋を上る何かに体が硬直し、沼神に弄られるヤクモをただ見つめる。体が熱い。
ふぁぁと、まるで蕩けるような声を、甘えるような声を吐き出すヤクモの表情はまさに惚けている。沼神の双つの腕が、四つの腕が、二十の指が、ヤクモの身体を這い回る。
抱きしめたまま、その唇を優しく飴を舐めさせる様に唾液を絡ませ、首筋から鎖骨、そして胸にかけて艶かしく這わせ、寒さと快感でいきり立つピンク色のまだ幼い乳首を捏ね繰り回す。その度にヤクモの艶かしい聞いたことの無い嬌声が木霊する。
更に脇の下、わき腹と掌は下がっていき、ついにその天を突く逸物へと、私ですら一度も触ったことの無いいたいけな其処へとしなやかな指が這う。
途端にヤクモの声に熱が篭る。あれは、快楽をしったモノの、声。あぁと嘆息を心の中で漏らし、ヤクモは懐柔されてしまったことを、私は理解する。そこに湧き上がるのは、嫉妬。
それに気付いた私は、同時に湿りを帯びた股間へと手を伸ばす。クチュリとした粘液を含むその音に、自分が発情している事を気づかされた。
ヤクモの逸物を這う指が、ニタニタと此方を見つめる沼神の視線が、背徳の極みへと自分を追い遣る。
目の前の、大事な大事なヤクモが、異形の魔物に、快楽で貶められ、その未熟な逸物も尻穴さえも見るも妖しい手業にて蹂躙され、どんどんと蕩かされて行く。
ブルンブルンと震える逸物は、立派にその機能を果たそうとする。
私は遊びであるという事を忘れ、駆け出す。一目散にヤクモに向かって。最早沼神など目には入らない。ただ其処に愛しいモノの精が、それを放とうと脈打っている。
「あ、あ、そんなっ! 姉さ……あっっ!! とまらにゃ……あ゛あ゛あ゛!」
どぽりと吐き出されたその白濁液を口の端からこぼしながら、その甘美な味に、ヤクモから放たれた精というものに、私は恍惚感を、そして絶頂を感じていた。
「クスクス、随分と淫らな娘ねぇ……」
「これもまあ、酔狂かもしれませんね……」
洞窟にはラミア達の嘲笑が残された。
何とか連投できました。
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