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第六章 第二話
――追走――
「私達から逃げ切れたら……」
「御褒美を上げましょう……」
彼女達からの『提案』はそういうものだった。
幾つかの時を猶予として、この沼の周辺において結界の範囲内で逃げ惑え。
端的に言えばそうだ。結界とは世界と隔絶されたここだけの空間という意味があるらしく、其処から先には出る事ができないと言う。それは体験すれば分かるという話を今は信じるしかない。つまり、森の中での追いかけっこだ。
「一つ確認させてください。勝負に勝てたなら、姉さんは絶対に無事に解放してください」
震えながらも気を強く持ち、マリサ姉さんの現状の無事を確認した後、絶対に譲れない成功報酬の言質を取りに行く。彼女等曰く、マリサ姉さんに別状は無く、今はただ寝ているだけ、らしい。それも実際の所詳しいことは分からない。ただ近くによって見てみても、寝ているだけに見える。ここは彼女等を信じるほかに手段は無いのだ。
「当然約束は……」
「守りますわ……」
クスクスと妖艶に微笑む彼女達は狡猾とした獣を連想させるように、ピリピリとした気を放つ。空気が震える感触を心なしか感じながら、僕は彼女等を見据えながらゆっくりと後ずさりを始める。
「さあ、それでは十を数えて始めるわねぇ……」
「じゅーう……、きゅーう……あらあら、早く逃げた方が良いのではないですか?」
その言葉を機に、僕は駆け出す。慢性的に人不足な村の中では若い男というのは稼ぎ頭となる。僕は普段森から木材を切り出し、運ぶと言う、おおよそ村の中では相当な力仕事になることを手伝っていた。更に小さな子供達の面倒や、飲み水、食料の探索など、森に入る機会は多い。
その中で鍛えられた僕の森での機動力は、それなりにあると自負している。
高々10秒ほどの猶予だが、出来る限り彼女等から距離をとり、遠めに動きを把握しながら逃げるのであれば、僕にも勝ち目があるのではないか。ハッハと滾る鼓動を抑え、出来る限り迅速に離れる。心の中で9を数えた時、振り返り彼女等を目に留める。
「――いーっち、ぜろぉ、さぁーて……」
「あは、遠くへ行きましたね……」
何を言っているかは分からないが、動き出しを見る事は大切だ。先ほどの様な目にも見えない動きをされたのは、恐らく近距離だったから。そう推測した僕は遠くから見れば、それは捕らえられると確信していた。有り得ないのだ。あのような動きは。目にも留まらぬ程の速さに見えたそれは、恐らく恐怖心や、心の虚を突いたものに違いないと、先程まで思っていた。
「みあら、見える?」
「あみら、見えますね?」
ゾクリを背筋を何かが這う。明らかに彼女等は十秒を駆け抜けて、森の雑多の中へと消えた僕を捕らえている。目が合った、という不思議な感覚を体を駆け抜け、鳥肌がとまらない。心臓が警鐘を鳴らす音が頭に響く。
大丈夫、逃げ切れる、落ち着いて、早く遠くへ、怖い、離れなければ、逃げ……。
ドキドキとないりやまない心の雑踏を見透かしたかのか、彼女等は動き出した。蛇さながらの下半身をくねらせ、凄まじい速度でこちらへ動き出した。
その速度は凄まじすぎた。
目で確かに刺していたその存在は確かにあった。だがザザザザと森を掛け分ける音は、人など比べようにも無く早く、短く。
森の獣ですら赤子を捻るかのようにごぼう抜き出来るであろう僕の渾身の十秒を数秒足らずで、まさに逃げ始めた僕をあざ笑うかのようにあっと言う間に、彼女等は僕の目の前に居た。
「はいっ、つかまーえた……」
「ふふ、駄目な子にはお仕置きですね……」
僕は驚愕に目を見開いて、ただ呆然と呼気を荒げ、視線を彷徨わせていた。
敵わない。
僕は恐怖していた。
目の前の存在が常軌を逸した存在、沼神であると、心身に植えつけられた。人の身には抗えない存在であると、僕は諦めてしまっていたのだ。
「あらあら、そんなに脅えないで……」
「お仕置きとはいっても、貴方には良い事かもしれませんよ……?」
そっと抱きしめられたのは『みあら』と呼ばれる方のラミア。どういうことだろうか、あみらのお仕置きと良い事がかみ合わない。
だがソレよりも大変な事は、その『みあら』は、とても、あれが、大きいのだ。
女性の象徴として代表されるそれは、非常に柔らかくそして弾力があり、どんな高価なベッドに勝るとも劣らない心地よさで、ムギュウと僕の頭を優しく締め付ける。
突然の事に混乱し、ただその押し付けられた豊満な谷間からなんとか一筋空気を吸おうともがきながら何とか呼吸をすると、途端クラリと視界が揺れた、気がした。
「みあらの胸は気持ちよいかしら? ヤクモ……」
「勿論です。殿方でしたら嫌なはず有りません。ねぇ……ヤクモ?」
谷間から見上げる『みあら』は、まるで子供を愛でる様な慈愛に満ちた表情と瞳で、僕を見下ろす。
ゾクリ。
それは恐怖ではない別の何か。気が付けば僕は痛ましいほどに股間を膨らませていた。
僕は彼女等の問い掛けにただ体で返事をしていたに過ぎない。
「ふふ、こんなにして……ませた子……」
「正しい反応ですよ。恥じる事はありません。でも、追いかけっこのばつげぇむは必要ですね……」
『みあら』にさっとズボンの上から軽く撫でられた時、僕はまるで魂が体を駆け上り、雲へと突き抜けたかの様な感覚が走った。
さらに『あみら』はお仕置きという名目で、僕を更に強くその胸に挟み込む。
当然僕は顔をすべて埋もれさせ、窒息の恐怖と、同時に未知の感覚に翻弄される。
「あみら。優しくね……」
「みあらは優しいんだから、まったく。まぁ、任せなさい……」
僕はたまに緩まるその谷間から、時々荒げて呼吸を行い、みあらの淫靡な香りに鼻腔を擽られ、苦しさの中にいつの間にか恐怖は消え去っていた。
ただ包まれているだけでこんなにも心地よい。それが沼神だと分かっていても、母親の如く慈しまれ、愛されるように感じている。
同時に劣情が収まる事は無く、それはあみらの焦らす、弄ぶと言った方が齟齬がない股間を撫でる仕草によって更に激しく掻きたてられる。
それでもズボンの上からコリコリと、モミモミと解される僕の逸物は、過去最高の固さと熱さを持っているようだ。
ゆっくりと竿を撫で付けたかというと、ギュウと痛気持ち良い位に玉と竿の根元を揉み解す。
そしてつつ、と這うように掌で上ってくると、頭の部分を皮の上から混ぜ込む様に執拗に押し掻き回す。
そして耐え切れなくなる寸前になると、手を離すのだ。それでいて高ぶりが落ち着くと直様、撫で回し始める。
「ふぐぅ……むぐぅ……っっ! ぷはっ! ふにゃぁぁあああ!」
「いいわぁ、貴方。情けない声、とってもそ・そ・る……♥」
「あみら、ゆっくりとね。勿体無いんだから……」
あみらはそうねと一言面白そうに呟くと、僕の様子を窺いながら延々と先程の遊びを続ける。
僕は既に情けない声を上げてしまうほどに怒張し、カウパーでズボンのシミを大きくするのに精一杯であるのに、みあらに抱きしめられ、胸に埋まっているとそれすらも含めて天にも昇る気持ちを味わう。
「ふぅっ、ふくっ! ふぅ、ふぅ、ふぎゅうう!! ぶぅぅぅ……、んぐぅぅぅぅ!!!!」
最早限界。
怒張し続けた逸物は、融けてなくなってしまうかと感じられるほどに敏感で、熱く。
撫でられ続ける掌にまでシミをつける程、垂れ流し続けるカウパーと。
濃縮され、今か今かと放出されるのを待っている。精嚢の中そして尿道の間にかけて、精子達が内部で暴れまわる。もう少し強い刺激さえあれば、何時でも発射できる態勢は既に何十分も出来ている。
「みあら……私も……」
「うふふ、そうね……時間は無限ではありませんもの……」
あみらがモジモジし始めているのは、僕には分からない。ただし、この時間がもうそろそろ終わると言う事は、本能が告げる。
「下ごしらえは……」
「十分ですね……」
キラリと彼女等の瞳が光ったかと思うと、あみらはスルリと身体を引き下げると僕のズボンを切り裂き、逸物をさらけ出す。
そしてみあらは一度胸を離し、僕の前後ひっくり返すと、後ろから抱きかかえる様に腕を回してきた。
そして、プスリと首筋に熱い何かが走った。
牙だ。みあらが僕の首筋に噛み付いたのだ。
極限まで焦らされ、蕩けていた僕は、その快感とは違うはずの、噛み付きによって、限界を迎える。
そして極限まで精巣で熟成され濃縮された精液は、逸物の前に顔を持っていき、大きく口を開いているあみらの口内に、途轍もない快感と共に吐き出された。
「ああああ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
ビュクビュクビュク!!!! ドプゥゥウウウ!! ドクドクドク!!!
せき止められていた精液は留まる事を知らず、開放された扉を我先にと駆け上っていく。
ビタンビタンと跳ね回る逸物と、撒き散る精液と、口をあけたあみらと。
その殆どはあみらの口内に飲み込まれたが、幾らかはあみらの顔を汚していた。
余りの快楽に放心していた僕はその白く穢れながら、妖艶に舌なめずりをするあみらの姿を見て、心に劣情に似た気持ちを更に沸き立てるのだった。
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