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 太陽電池の国内向け出荷に、ブレーキがかかっている。電力の買い取り価格の引き下げが響き、大手メーカーの9月中間決算では、太陽電池事業の売上高などについて厳しい数字が相次いだ。先行きが不透明な国内市場から海外へと、各社は向かい始めている。

 3万枚あまりの太陽光パネルが、秋の日差しにきらめいた。10月31日、滋賀県草津市の琵琶湖岸で、京セラが県内最大の太陽光発電所の完成式を開いた。

 同社は再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が2012年に始まったのをきっかけに、関係会社を通じた発電所の運営に積極的になった。今回で30カ所目で、来年3月末までに46カ所に伸ばす計画だ。小谷野俊秀・ソーラーエネルギー事業本部長は「ここ2~3年はまだ建設計画が出てくる」と言う。

 だが、足もとは揺らいでいる。9月中間決算では、太陽電池事業の売上高は前年同期より約2割減った。16年3月期では10~15%減を見込む。

 苦戦しているのは、京セラだけではない。

 発電所から住宅向けまで手がけシェアが大きいシャープは、9月中間決算では太陽電池事業の売上高が44・9%減り、26億円の営業赤字となった。住宅向けが中心のパナソニックも売上高が28%減り、「必死で挽回(ばんかい)策を打っているが今年は難しい」(津賀一宏社長)という。

 各社が目を向けるのが海外だ。再生可能エネルギーの普及に前向きな米国で、事業の拡大をめざす動きがめだつ。

 京セラは売上高に占める海外の比率を約1割から2割に引き上げる計画だ。「米国では市場が急拡大しており手応えはある」(小谷野本部長)という。