石倉徹也
2015年11月3日15時29分
世界で最も細い直径0・6ミリの人工血管をラットの体内で作ることに成功したと、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)が2日発表した。市販のヒト用の人工血管は最小で直径3ミリ。より細い血管をヒトの体内で作れれば、脳の動脈やリンパ管をつなぐ手術への応用が期待できる。
市販の人工血管はフッ素樹脂製などで直径6ミリ以下だと内壁に血栓ができやすくなるのが問題だった。脳の動脈などより細い血管の手術では、患者自身の血管を使っているのが現状だ。
同センターの医工学材料研究室の中山泰秀室長(再生医療)らは、異物を体内に入れるとコラーゲンが異物を覆う特性を活用。シリコーンで覆われた太さ0・6ミリの棒をラットに入れ、2カ月後に取り出すことでコラーゲンでできた人工血管を作った。動脈に移植すると、半年たっても血栓は見られず、正常に機能していた。
中山さんは「自分の組織から作った血管なので拒絶反応もない。様々な太さの血管手術に応用できる可能性がある」と話す。(石倉徹也)
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朝日新聞社会部
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