「ろくでなし子」裁判に不満も「マンニチワ~」

2015年11月3日11時18分  スポーツ報知
  • 閉廷後に都内で会見した「ろくでなし子」こと五十嵐被告

 自ら女性器の立体的データを提供したとして、わいせつ電磁的記録頒布などの罪などに問われたペンネーム「ろくでなし子」の漫画家、五十嵐恵被告(43)の第4回公判を2日、東京地裁(田辺三保子裁判長)で傍聴して来た。

 弁護側は、わいせつ物に当たるとして検察に押収された五十嵐被告の作品「デコまん」27点を証拠物として法廷で提示するよう請求。女性器をかたどった土台に様々なデコレーションを加えたものだ。検察側が証拠採用に不同意した末、地裁も「必要ない」として却下。弁護側は異議を申し立てをして食い下がったが、結局は棄却された。五十嵐被告の発言の機会は与えられず、黙々とメモを取り続けていた。

 司法でのわいせつ性の有無についての判断は、1957年のチャタレイ事件最高裁判決がリーディングケースとなっている。〈1〉いたずらに性欲を刺激または興奮させる〈2〉性的羞恥心を害する〈3〉性的道義観念に反する、という「わいせつ3要件」を満たすかどうかだ。

 検察は法廷で「五十嵐被告の作品はわいせつ物に該当する」とする刑法専門家の意見書を読み上げたが、弁護側も、被告を支援する識者の名前を挙げて応戦した。京大法科大学院教授の曽我部真裕氏、同・高山佳奈子氏、上智大国際教養学部教授の林道郎氏、埼玉大人文社会科学研究科教授の牧陽一氏、沖縄県立芸術大准教授の土屋誠一氏の5人だった。

 閉廷後、弁護団と五十嵐被告は都内の貸し会議室で公判についての説明会を行った。報道関係者以外にも、支援者やドキュメンタリー映画を作成する人など約40人が集まった。担当弁護士が「なし子さんの作品はいやらしいものではない。作品現物を見ていない裁判官に見てもらう必要があるので、提出を請求した」と説明した。

 五十嵐被告は笑顔で「マンニチワ~」と奇妙な挨拶で切り出し「証拠物が却下されて私としては不満が残る裁判でした」と話した。11月20日の次回公判には、五十嵐被告の作品のわいせつ性を否定する上智大の林氏が証人として出廷する予定。弁護側は結審は年明けになるとみている。

 会見後、五十嵐被告本人に取材に来たことを伝えて挨拶すると、笑顔でスタンプカードをプレゼントされた。裁判を傍聴したり、説明会に出席するとスタンプが押され、6個たまると「ろくでもないモノ」がもらえるのだそうだ。

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