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イルカ追い込み漁解禁「頼むから町の平穏を乱さないで」反捕鯨活動に不安いっぱい
和歌山県太地町で1日に解禁されたイルカと小型クジラの追い込み漁。日本動物園水族館協会が、加盟施設に追い込み漁で捕獲されたイルカの入手を禁止してから初の漁期となり、反捕鯨団体による抗議活動の活発化が懸念されている。
現地に入ったのは翌2日。朝から大粒の雨が断続的に降り、雷も鳴る悪天候だったため漁は見送られた。こうした中でも、まだ薄暗い午前5時すぎから、雨具を着込んだ外国人が続々と漁港に集まってきては、反捕鯨をアピール。子供や女性の姿もみられ、漁港内をカメラで撮影するなどしていた。
町漁協などによると、例年より人数は少なく昨年の半分くらいという。一部に日本在住の人もみられたが、多くは海外から駆けつけ、レンタカーで行動しているようだった。
しかし、意外な一面もあった。「オハヨウゴザイマス」「アリガトウ」と、しばしばあいさつされた。ただ、複数の外国人が、出港する漁船をビデオカメラで撮影し、町内の高台から双眼鏡で監視する姿は、普段は平穏な町からすると明らかに異様に感じた。
「違法なことは看過せず、厳正に対処していく」と、県警新宮署の中道芳正署長は力を込めた。「頼むから町の平穏を乱すようなことはやめてほしい」。そう話す住民も多い。
主義主張は尊重されるべきだが、違法で悪質な活動は許されない。初日からの3日間で大きなトラブルは報告されていないが、海外では反捕鯨団体の妨害活動で多数の逮捕者が出ている地域もある。
ひとくくりに「反捕鯨」といっても、どんなメンバーがやってくるか、町民が選ぶことはできない。互いの立場を尊重することはできないものか。平穏な港に戻ることをひたすら願う。(秋山紀浩)