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常陽・足利銀、合理化の徹底カギ 16年10月の統合発表

2015/11/3 0:00
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経営統合を発表し、握手を交わす常陽銀行の寺門頭取(左)と足利HDの松下社長(2日午後、東京・八重洲)
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経営統合を発表し、握手を交わす常陽銀行の寺門頭取(左)と足利HDの松下社長(2日午後、東京・八重洲)

 総資産で地域銀行7位の常陽銀行と同19位の足利銀行を抱える足利ホールディングス(HD)は2日、2016年10月に経営統合すると正式発表した。持ち株会社の下に2行がぶら下がる形で、全国3位の広域地銀が生まれる。両行のトップは同日の記者会見で他行にも合流を呼びかけ、規模拡大路線を鮮明にした。収益力向上へ店舗統廃合など厳しい課題にメスを入れられるかも統合の成否を左右しそうだ。

 2日の記者会見で常陽銀の寺門一義頭取は他行とのさらなる統合について「地域に対する深い思いがベースの地域金融機関から声がかかれば、検討する」と発言。足利HDの松下正直社長も「開かれた金融グループを目指す」と話した。

 市場では今回の大型地銀統合が他行の出方にどう波及するかに関心が高い。たとえば他の県も含め、常陽・足利と営業エリアの近接する2番手の銀行などの動きが焦点だ。松下社長は統合の理由を地元の「人口減少、経済縮小、あるいは低金利だ」と説明。同じく険しい環境に追い込まれる他行に秋波を送り、さらなる広域連合の受け皿に名のりをあげた。

 2日発表した株式の交換比率は足利HDの1に対し、常陽の1.17だ。常陽の普通株式1株に対し、新持ち株会社の株式を1.17割り当てる。新社名や本社は来年4月の最終合意時に発表する。

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 茨城、栃木両県のトップ銀行である両行の統合は救済型ではなく、事業基盤拡充に布石をうつ「攻め」の性格が強い。寺門頭取は「331店の広域ネットワークが実現し、顧客に利便性を提供できる」とサービス向上に自信をみせた。首都圏や海外への事業拡大に加え、「証券業やリースなどへの多様化」にも意欲を示した。

 統合で資本の厚みが増せば、域内企業への貸し出しに回す余力は高まる。とくに比較的自己資本比率の低い足利HDにとっては財務からみた利点が大きい。茨城県の自動車部品メーカーの関プレス(日立市)は「栃木県には自動車関連の企業も多く、販路の開拓につながる」とみる。リテール、法人向け双方で広域連携が深まれば一定の相乗効果をあげそうだ。

 課題も大きい。持ち株会社のもとで両行を基本的にそのまま存続する。地元の抵抗が強い店舗統廃合や取引先の査定基準統一、人員見直しなどの難題にメスが入らなければ市場の評価を得られず、「次なる再編」を主導するのは難しい。

 「有価証券の共同運用やシステム統合を考えないといけない」。松下社長は会見で合理化に取り組むと語る一方で、店舗統廃合には「競い合ってやっていく部分もある」とやや慎重だった。アナリストの間では「営業面などでの具体的なシナジーを想定するのは難しい」(SMBC日興証券)とさめた見方もある。

 広域地銀に特有の問題は早くも浮上した。2日発表した資料では新しい持ち株会社の本社所在地は「未定」。高橋靖水戸市長が「地域経済を揺るがす深刻な案件」として、常陽銀に本社を水戸市に置くよう求めたからだ。東京都に本社を置くことで合意していたが、地元とのあつれきが生まれつつある。

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