常陽銀行(8333)の寺門一義頭取は、足利ホールディングス(7167)との経営統合で基本合意を発表した後に都内で開いた記者会見で「西洋には『幸運の女神には前髪しかない』ということわざがある」と述べた。チャンスをつかむには先回りしなければならないとのことわざを引き合いに、今回の経営統合が千載一遇の機会だと強調した。2016年10月に予定する経営統合後も「開かれた金融グループ」を目指すとの考えも示した。
経営統合は足利HDの名称を変更し、常陽銀と足利銀が傘下に入ることになる。店舗が重複する地域が出てくるが、足利HDの松下正直社長は「基本的には共同化と差別化、店舗をどうこうするとは現状では考えていない」と、店舗網の統廃合に否定的な考えを示した。両行の本店所在地も現状から変えない方針だ。
統合による相乗効果については両行の海外拠点が相互補完関係にあるとして「顧客の海外支援体制が充実する」(常陽銀の寺門頭取)と強調。足利HDの松下社長は「有価証券の共同運用ができればさらにリスクを取ることも可能になる」と運用面の利点を示した。
統合会社の本社所在地については「東京も1つの選択肢」(足利HDの松下社長)との考えを示した。常陽銀の寺門頭取は「水戸市から(本社を同市に置くよう)要望書を頂戴した。地元の意見などを踏まえながら足利HDと検討していく」考えを示した。
2015年3月期末時点の両社の連結総資産を合計すると14兆9296億円。16年4月に横浜銀行(8332)と東日本銀行(8536)が経営統合して誕生する「コンコルディア・フィナンシャルグループ」と、福岡銀行などを傘下に置くふくおかフィナンシャルグループ(8354)に次ぐ地銀3位の規模になる。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
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