内山修、久保智、上栗崇
2015年11月3日10時43分
常陽銀行(水戸市)と、足利銀行を傘下に持つ足利ホールディングス(HD、宇都宮市)は2日、来年10月をめどに経営統合することで基本合意したと発表した。人口減少に伴う地域経済の縮小傾向などが背景にあり、地方銀行再編の動きは北関東にとどまりそうにない。金融庁も規制緩和で後押ししている。
「地域に貢献し続けるには、単独より両行が共通の理念の下、(力を)発揮するのが有益だ」
2日、足利HDの松下正直社長とともに東京都内で記者会見した常陽銀の寺門一義頭取は統合の利点を強調した。営業基盤である地域経済の縮小傾向や銀行同士の激しい競争のなか、今春から議論を始め、半年で基本合意にこぎ着けたという。
計画では、足利HDと常陽銀が株式交換を実施。足利HDが名称を改めたうえで足利銀と常陽銀を傘下に置く。両行の名称は変えない方針だ。
新持ち株会社の名称や本社所在地は未定。来年4月までに決める本社所在地は「東京も選択肢のひとつ」(松下社長)という。新持ち株会社の社長は常陽銀から、副社長は足利HD側からそれぞれ就く。
統合後の総資産は約15兆円にのぼり、茨城、栃木両県を中心に約330店舗を持つ全国3位の地銀グループとなる。まずは、両行のシステムの共通化や重複店舗の統廃合など合理化に取り組むが、将来的には他行の合流も視野に入れる。
■合従連衡の機運高まる可能性
常陽銀と足利HDの経営統合交渉が表面化した翌日の先月27日、北関東のある地銀で取締役会が開かれた。「選択肢として排除はしないが、いまは考えていない」。社外役員から他行との再編の可能性を問われた頭取は、言葉を選びながら語った。内心、焦りもある。「常陽と足利の圧倒的な資金力は脅威だ」
来年4月には、横浜銀行(横浜市)と東日本銀行(東京都)も統合してコンコルディア・フィナンシャルグループ(FG)を発足させる。相次ぐ統合は、再編から距離を置く関東の地銀には逆風。今後、一段と合従連衡の機運が高まる可能性がある。
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