日本でもたくさんの人が利用している短文投稿サイト「ツイッター」の運営会社が、2006年の創業以来初めて流したテレビCMが「最悪だ」と、多くのネットユーザーにつぶやかれている。ツイッター社は、今年6月に最高経営責任者(CEO)が交代し、今月初めから提供を始めた新しい機能を大々的にPRして、新機軸を打ち出すもくろみだったが、CM放映は完全に裏目に出た形だ。
英BBC放送や複数の米IT(情報技術)系情報サイトによると、テレビCMは、ツイッター社が6日から提供を開始した新機能「モーメンツ」をPRするために制作した。「モーメンツ」は、注目のスポーツ・娯楽系イベントや突発ニュースなど大量のつぶやきが投稿される人気トピックを、ユーザーが1クリックで簡単にまとめ読みできる機能だ。
新たな“売り”をプッシュするため、CM制作は、1984年に放映され、いまなお“伝説的CM”といわれるアップル社の「1984」を手がけた制作陣に依頼。放映も、視聴率が高い米大リーグ(MLB)の優勝決定戦「ワールドシリーズ」開幕試合にするなど、かなりの力の入れようだった。
ところが、放映された30秒のCMは、素人の動画をつぎはぎしたような内容で、とても伝説を生み出した制作陣が関わったとは思えない代物だった。このため、当のツイッター上では、人気ブロガーのジョン・グルーバー氏が「理解できない。誰かをクビにすべきだ」と、あきれたようにつぶやきを発信。ほかにも「ツイッターのCMは最悪だ。これを見たら誰もツイッターを使おうとは思わないだろうな」など嘲笑や批判の声が噴出した。また、ドイツのデジタル起業家、ジョージ・ニメー氏はBBCに「ツイッター社の基本的な問題は、ツイッターに不慣れな人に、機能などを分かりやすく説明できていない点だ。そしてこのCMは、その問題解決に全く役立っていない」と辛辣に批判した。
ツイッター社は今年6月、約4年半CEOを務めたディック・コストロ氏(52)が、業績不振の責任を取る形で退任。ツイッター社の共同創業者のジャック・ドーシー氏(38)がCEOに返り咲き、巻き返しの真っ最中だ。コストロ氏のCEO退任を伝える6月11日付米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は、米調査会社「イーマーケッター」が推計した世界のツイッターユーザー月間増加率を引用。2年前の伸び率30%が、今年は14.1%に鈍化し、2019年には6%に落ち込むと報じ、これまでのような伸びが期待できないと示唆した。
2015/11/3 11:45 更新
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