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社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

「ハイスペック女子」はなぜすぐに会社を辞めてしまうのか?

竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]
【第144回】 2015年11月3日
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前回は、高学歴・高キャリアのハイスペック女子に対する誤解や偏見を、恋愛・結婚の面から正してみた。そして今回は、仕事の面から、誤解や偏見を正してみようと思う。

多くの人事担当者が口にする
「男子より女子のほうがはるかに優秀」

 最近、どのような業界のどのような企業の人間も、若者に対して口を揃えて言うことがある。それは「男子より女子のほうがはるかに優秀」ということだ。実際、「フラットに採用したら新卒社員は女子ばかりになってしまう。なので、男子学生には下駄を履かせなければ採用できない」と証言する人事担当者は多いし、現場のマネジャークラスからも「女子のほうが優秀」という声が高い。

 このような声だけを聞いていると、まさに企業現場は女子絶賛の大合唱。さぞや女性活躍推進も加速していくだろうと感じられるが、実際には、それは“錯覚”だ。とくに、男性に多いのだが、女子の優秀さを絶賛した後で必ず、「でも、女子はすぐに会社を辞めちゃうからね」とひと言をつけ加える。つまり、「いくら優秀でも、女はすぐに会社をやめるからダメ。男は辞めないから、会社としてはやっぱり男を優先して取りたいし、育てたい」というわけだ。

 実際、僕の周辺でもアラサーの年頃で、商社や電通や一流メーカーなどを平気で辞めて、欧米の大学や大学院に留学したり、転職したりする女性が多い。企業は若手社員には金も手間もかけて育てているし、一般的に大企業においては、ホントに金が稼げるようになるのは30代からなので、これからようやく稼げるようになったと思うアラサー女子に会社を辞められると、上司も人事もホントに腹が立つだろう。その気持ちは僕もよく分かる。

 しかし重要なのは、女子が平気で会社を辞めることではなく、「なぜ辞めるのか?」ということだ。事象を語っているだけで多くの人は納得しがちだが、大事なのは「事象」ではなく、「理由」であり、「原因」だ。

「事象を、原因や理由と勘違い」
している典型例とは?

 たとえば、最近の若者がクルマを買わない理由としてよく語られるのが、「いまの若者は携帯とかスマホに金を使うから、クルマに使う金がない。だからクルマを買えないし、興味も持たなくなった」というものだ。これも典型的な「事象を、原因や理由と勘違い」している例である。

 たしかに昔はスマホも携帯電話もなかったから、通信費もあまりかからなかったと思うかもしれない。しかし、携帯電話がなかった頃でも電話はあったわけだし、当時の若者も恋人や友達としょっちゅう長電話をしていたし、電話代も高かったから、いまと比べて通信費に金をかけなかったわけでもない。

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竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]

マーケティング・コンサルタントとしてクルマ、家電、パソコン、飲料、食品などあらゆる業種のトップ企業にて商品開発、業態開発を行なう。近年は領域を社会貢献に特化し、CSRコンサルタント、社会貢献ビジネスの開発プランナーとして活動。多くの企業にてCSR戦略、NGOのコミュニケーション戦略の構築を行なう。「日本を社会貢献でメシが食える社会にする」ことがミッションに、全国各地で講演活動を行なう。ソーシャル系ビジネスコンテストや各種財団の助成金などの審査員多数。また、「日本の女子力が世界を変える」をテーマに、世界の女性、少女をエンパワーメントするための団体「ガール・パワー(一般社団法人日本女子力推進事業団)」を、夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美氏、日本キッズコーチング協会理事長の竹内エリカ氏らと共に設立。著書に『社会貢献でメシを食う。』『ジャパニーズスピリッツの開国力』(いずれもダイヤモンド社)がある。

株式会社ソーシャルプランニング
☆竹井氏ブログ 社会貢献でメシを食う〝REAL(リアル)〟
☆Twitterアカウント:takeiyoshiaki


社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

CSRやコーズマーケティングをはじめ、「社会貢献」というテーマがポピュラーとなったいま、「社会貢献のセカンドウェーブ」が来ている。新たなサービスやプロジェクトのみならず、新たな主役たちも登場し始めた。当連載では話題の事例を取り上げながら、社会貢献的視点で世の中のトレンドを紹介していく。
*当連載は、人気連載『社会貢献を買う人たち』のリニューアル版として、2014年1月より連載名を変更しました。

「社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭」

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