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【スポーツ】

<首都スポ>全日本大学駅伝 東洋大が初優勝 “本命”青学大はエース不発

2015年11月2日 紙面から

初優勝し、胴上げされる東洋大の酒井俊幸監督(代表撮影)

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◇第47回全日本大学駅伝

 第47回全日本大学駅伝は1日、名古屋市の熱田神宮から三重県伊勢市の伊勢神宮までの8区間、106・8キロで行われ、東洋大が5時間13分4秒で初優勝した。10月の出雲大学駅伝覇者で、昨季の箱根駅伝から3大大会連続優勝を狙った青学大は1分4秒遅れの2位にとどまった。2014年箱根駅伝王者の東洋大は1区服部勇馬(4年・仙台育英)2区服部弾馬(はずま、3年・豊川)のエース兄弟と3区口町亮(3年・市立川口)の3連続区間賞で勢いづき、最終8区で逆転を狙った青学大にさらにリードを広げる完勝だった。MVP賞は東洋大の口町が選ばれた。

 今季の大学駅伝3冠を狙った青学大の緑のユニホーム姿が、みるみる小さくなっていく。最終8区、東洋大のアンカー上村(4年・美馬商)が、ことし正月の箱根駅伝5区区間新の青学大・神野大地主将(4年・中京大中京)との差をさらに37秒広げ、堂々とゴールテープを切った。1区からの3連続区間賞で強烈な先制パンチ、7区堀(2年・大牟田)の区間賞でダメ押し。青学大有利の下馬評を東洋大は底力で覆し、酒井俊幸監督(39)、上村が相次いで胴上げで宙を舞った。

 「いやぁ、長かったです。強い青学大には、100%以上の力を出さないと勝てないと言ってきた。1秒を大事にする走りをみんながしてくれた…」。箱根を4度制しながら、前回まで2位の壁を破れなかったこの駅伝。酒井監督はレース直後に感極まり、一瞬言葉を詰まらせた。

 東洋大の攻めのレースは選手起用から始まっていた。チームの生命線である勇馬、弾馬の服部兄弟を前回大会と順を入れ替えて1、2区に起用。3区には遅咲きの3年・口町を抜てきした。服部兄弟が期待通りに区間賞でたすきをつなぐまでは酒井監督も計算ずく。ところが、経験の少ない口町がわずか1秒差で青学大・田村との区間賞争いを制して追い風はさらに強まった。

 「区間賞を全く意識せずに走ったのがよかった。途中で『差が開いたぞ』と聞いて、逆に空回りしたくらい」と、MVP選出の走りを振り返った口町。前回大会は控えメンバーにも入れず、当時1区の服部弾の付き人を担当。その服部弾は「口町が力を付けてメンバー入りし、僕らに続いて区間賞を取れたのは大きかった。みんなが勇気をもらった」と遅咲きの同級生を褒めちぎった。

 小学1年のとき、校庭1周ごとに学校が配るシール欲しさに持久走で校内1位に上り詰め、駅伝選手への足掛かりをつくった口町だが、高校時代は全国大会にすら届かなかった“雑草”。だが、長い目で選手を育てるのが身上の酒井監督の眼力に狂いがないことをこのレースが証明した。

 次のターゲットはもちろん、5度目の箱根制覇。来季の主将候補の服部弾は「青学大の3冠を阻止するだけでは足りない。箱根も勝たないと本当の優勝じゃない」と早くも2カ月後の大一番を見据えた。 (武藤康弘)

     ◇

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