【社説】韓日首脳、「新・朝鮮通信使」の願いに顔を背けるな

 韓日融和の夢を共有しながら走ってきた両国のサイクリスト50人からなる「両輪で走る新・朝鮮通信使」の一行が1日、目的地の東京に到着した。韓日国交正常化50周年を記念し、先月11日にソウルの景福宮を出発してから22日後のことだ。「真心を尽くし、信頼をもって交流する」という「誠信交隣」の精神で、約400年前から朝鮮通信使がたどった1900キロの道のりを、両国の民間人たちが汗を流しながら完走した。今回の結果もまた、真心と信頼が成し遂げたものだ。

 本紙が主催した今回の自転車ツアーは、南北統一の夢を共有しユーラシア大陸を走った昨年の「ワンコリア・ユーラシア自転車平和大長征」と、独立運動の足跡をたどって中国を走った今年8-9月の「韓中青年自転車大長征」に続き3回目だ。「新・朝鮮通信使」は、ユーラシア大陸や中国に比べ物理的な距離は短いものの、韓日関係が冷え込んでいるため、心理的な距離がより長い旅路だった。だが、実際に走り始めると、当初の懸念とは異なり、一行を応援、歓迎するムードに包まれた。

 出発の直前、韓国の子どもたちが、「日本の子どもたちに渡してほしい」として手紙50通を一行に託し、そして日本本土に初めて上陸した下関市では、市長をはじめとする多くの市民が一行を歓迎した。太極旗(韓国国旗)を振って一行を迎えた日本人女性、テンジャンクク(韓国風味噌汁)とキムチを作った日本人と在日韓国人もいた。1日、東京都庁前広場で行われた完走記念式典には1000人ほどの市民が詰めかけ、一行に対し盛大な拍手を送った。そこには、逆戻りしつつある韓日関係の回復を願う両国の国民の切なる願いが込められている。

 両国の首脳は、新・朝鮮通信使の出発と到着に合わせてメッセージを送った。朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は「自転車が二つの車輪を転がして走るように、両国が過去を直視し、未来を志向する両輪を調和させながら転がしていくべきだ」と述べた。安倍晋三首相は「日韓間の長い交流の歴史を振り返りつつ、共に手を携えて新たな時代を構築していくことを願う」と述べた。このような希望と期待を、言葉だけで終わらせてはならない。

 両首脳は2日、3年半ぶりとなる2カ国間の首脳会談に臨む。200年余りの間に12回も海を渡った朝鮮通信使のように「誠信交隣」の姿勢で向き合っていけば、解決できない課題はないはずだ。両首脳は新・朝鮮通信使の1900キロの旅路で示された両国民の声援や願いに、これ以上顔を背けてはならない。

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