丸いあごの線、細長い目が2つ、やや厚めの唇。
韓国中部・忠清北道丹陽郡にある約3万5000年前の後期旧石器時代の遺跡から、人の顔を彫り込んだとみられる成人の親指の爪ほどの石のかけらが見つかった。
韓国先史文化研究院(ウ・ジョンユン院長)が1日に伝えたところによると、丹陽郡の南漢江沿いにある後期旧石器時代の遺跡、垂楊介遺跡の第6地区で昨年出土した遺物から、人の顔を彫り込んだような石のかけら(縦1.57センチ、横2.29センチ、重さ1.66グラム)が今年8月に見つかったという。同院は「同じ地層から昨年見つかった『目盛りを彫り込んだ石』と同様、これまでに発掘例のない珍しい遺物」だと説明している。学界の公認を得られれば、人類が人の顔を石に彫り込んだ最も古い事例となり、後期旧石器時代の研究に役立つと期待される。
同院のイ・ギョンウ研究員は、石器を製作中に生じた破片の自然な丸みを輪郭に利用していることなどについて、「作成者が自身の主題を表現するのに適した条件を備えた素材を取捨選択したことが分かる」と説明。特に、唇部分に人中(唇上部の溝)が彫り込まれていることなどを挙げ、「これまでに見つかった旧石器の芸術品には見られない写実的な表現方法を用いている」と指摘した。