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 遺品整理のプロ「遺品整理士」の資格を取る人が増えている。業者だけでなく、脱サラした人や主婦もいるという。なぜなのか。

 秋が近づいた平日の朝。千葉市内にある2DKの賃貸アパートの台所には、焼酎の紙パックが積み上がり、居間の壁紙は茶色く焦げてめくれていた。部屋の主の70代男性は7月に他界。「引き渡せる状態にしてほしい」と息子から依頼を受け、遺品整理業者「こころ家」(東京都葛飾区)の山本健社長(32)ら職員3人がやってきた。

 まずは仏壇に手を合わせて作業スタート。棚の引き出しを一つ一つ開け、本やアルバムは丁寧にめくる。亡き妻や子どもたちとの写真、旅先で買ったペナント、卒業証書の筒。思い出の品々は一つの箱にまとめて、後で遺族に確認してもらう。「ごみ」に見えても、貴重な思い出かもしれない。そんな緊張感が求められる作業だ。

 約3時間後、回収した荷物は段ボール25箱分と70リットルのポリ袋15個分。作業代と廃棄物処理費、家電リサイクル費を含む料金は計約24万円だった。リサイクルできる物は業者に売り、廃棄物は処理業者に搬入する。

 山本社長は元々、不動産会社の営業マンだった。3年前、ニュース番組で遺品整理業者を見て「人の役に立てる仕事だ」と直感した。2年前の秋に「遺品整理士」の資格を取り、2014年3月に開業した。