「ああ! ボミちゃんが私のこと見て笑った」。女子プロゴルファーのイ・ボミと目が合った日本のファンたちがハイタッチをして喜んだ。サインをもらって一緒に写真を撮るなど、早くも寒さが訪れた韓国で笑いが絶えない。先週末、江原道平昌郡で開催された「イ・ボミ招待ゴルフ大会」には、日本のファン110人が海を渡ってやって来た。平昌五輪のPRのため、江原道と韓国観光公社が開いた大会だ。江原道麟蹄郡出身のイ・ボミは日本の大会よりもこちらを優先した。観光公社は「イ・ボミさんは韓国の笑顔で日本のハートをさらった」として、「Kスマイル・クイーン」というニックネームを付けた。
2011年に日本女子プロゴルフツアーに進出したイ・ボミは、今年優勝5回、準優勝7回を果たし、賞金最高額を更新した。今年はあと4大会残っており、女子プロ初の2億円突破と同時に、男女通じての賞金王が有力視されている。今年、日本のゴルフダイジェスト・オンラインが調査したファン大賞も受賞した。イ・ボミの魅力に挙げられたのは「優しい」「謙虚だ」「実力がある」などだったが、圧倒的に多かったのが「ボミちゃんの笑顔」だった。ボールが当たらなくても、ミスをしても笑顔。愛称は「スマイルキャンディ」だ。
日本で活躍する韓国人選手は多いが、イ・ボミ人気はシンドロームに近い。ゴルフ雑誌の表紙モデルの常連で、テレビ各局が芸能番組で先を争うように取り上げ、ファンの集いには1000人以上が参加する。イ・ボミのようになりたいと手紙を送るプロゴルファー志望者も多い。ウエアやゴルフバッグには日本のスポンサー名のロゴがびっしり付いている。イ・ボミは「日本で得た最も大きな財産は人」と言った。がんと闘っていた父親を昨年亡くしたが、日本のファンたちは韓国にまで弔問に来てくれた。
イ・ボミは「父に似てよく笑う」と言う。父と娘は朴セリ(パク・セリ)が全米女子オープンで劇的な優勝を果たすシーンを見て、ゴルフに夢中になった。大会参加費を払うのもやっとという暮らしぶりだったが、父はいつも明るかった。成績がよく出ない時は「よく笑ってこそ、笑顔になれるようなことが起こる」と、娘の肩をたたいた。父は娘の人生に笑顔を残してくれた。
イ・ボミは父に「日本の賞金王になる」と約束した。だから、今年2つの点を直した。球がハザードに入ってしまうのではないかと恐れることなく目標だけ見つめて打つことと、パットの時もためらわずに最初に思った通り打つことだ。イ・ボミが優勝するたびに感激して涙をこぼす日本のファンもいる。笑顔の裏に隠れた闘魂を知っているからだ。イ・ボミはこのほど朝日新聞が調査した「韓国人と言えば思い浮かぶ人物」にも名を連ねた。韓国人と日本人の関係が冷ややかな今日このごろだけに、なおのこと「ボミちゃんシンドローム」は喜ばしい。