北朝鮮の核問題において、中国の姿勢にこれまでとは違った微妙な変化が見られた点にも注目すべきだろう。まず李克強首相は会見で、北朝鮮の核問題について一言も語らなかった。中国外交部(省に相当)は韓中首脳会談直後も「北朝鮮の非核化」を「韓半島の平和と安定」という言葉の後ろに置いた。2013年に北朝鮮が核実験を強行してから最近まで、中国は韓半島政策において北朝鮮の非核化を最優先の課題としてきたが、今回は明らかに微妙な変化が見られた。先月、中国共産党序列第5位の劉雲山・政治局常務委員が北朝鮮を訪問したが、その後中国も北朝鮮との関係改善を模索しているのは確かだ。その一環として中国が核問題の解決を最優先の課題から外したのであれば、今後核問題の解決は一層難しくなるだろう。そのため核問題に対する中国の真意をはっきりと確認しておく必要が出てきた。
領土問題も引き続き困難な課題として残りそうだ。3カ国首脳会議と同じ日に行われた中国と日本の首脳会談では、南シナ海における中国の人工島問題で激しいやりとりが行われた。一方で中国は韓国との首脳会談では、海上における両国の境界線を確定する会議の再開を求めてきた。南シナ海と東シナ海で始まった領土問題が、今後は西海(黄海)における韓中両国の排他的経済水域(EEZ)問題に飛び火しそうな状況だ。西海のEEZに対する韓中両国の主張の隔たりは大きい。米国と中国は南シナ海と東シナ海における対立を隠そうとはしないが、正面からの衝突は避けている。日本は今年に入って自衛隊の海外派遣などを可能にする新しい安全保障関連法を成立させ、米国との同盟関係を一層強化した。経済成長に陰りが見え始めた中国は、歴史問題よりも経済面での実利を重視しているようにも見える。東北アジアをめぐる米国、中国、日本の戦略の変化がこれまで以上にはっきりしている中、韓国もこれまでの外交・安全保障政策を見直さざるを得ない状況に直面しているのだ。