2015年11月2日(月)

都営大江戸線、県内延伸の動き佳境 新座が誘致に熱…所沢など連携

都営大江戸線の延伸構想 赤の駅名は仮称

 都市高速鉄道12号線(都営大江戸線)の県内延伸を求める動きが佳境を迎えている。新座市、所沢市と東京都練馬区、清瀬市の4市区が連携し、JR武蔵野線東所沢駅までの延伸を求める誘致活動。中でも熱心なのが新駅設置のまちづくり構想を打ち出した新座市だ。国土交通相の諮問機関・交通政策審議会は来年3月にも「結論」を出す見通しだが、新座市の須田健治市長は「雑木林を楽しむ体験型観光、防災拠点確保など、東京側にとっても延伸するメリットは多い。県内と都内から双方向利用が見込め、採算性にも寄与できるはず」と強調。11月から関係機関への働き掛けを活発化させる。

 東京圏の鉄道整備は、同審議会が示す答申(整備計画)に沿って進む。12号線は現在、練馬区の光が丘駅が終点。新座市南部に隣接する同区の(仮称)大泉学園町まで延伸が事実上決まっているが、前回2000年の答申で、さらに埼玉へ延びる武蔵野線方面が「今後、検討すべき路線」と位置付けられたことで延伸へ期待が高まった。

15年に1度の好機

 答申が出るのは15年間に1回程度。特に5年後の東京五輪を控え、インフラ整備が加速する今回を新座市は「千載一遇の好機」と捉える。11年に結成した市の延伸促進期成同盟会は昨年7月、市民約千人の促進大会を開催。「市を挙げて取り組む」決意を示し、国などへ再三働き掛けてきた。

 新宿の都庁前を中心に、六本木、月島、上野御徒町など都内を網羅する環状部と中野、練馬方面に延びる放射部を「6」字状に結ぶ12号線。「ただ『延ばして』では無理。延伸する魅力を精いっぱいアピールしないと」と須田市長は"人を呼び込む"ビジョンを打ち出している。

 市の42%を占める畑などの市街化調整区域をフル活用して市中心部に「仮称・新座中央駅」を開設。周辺90ヘクタールを巻き込んで商業施設や公園、学校、防災設備などを整備し、雑木林など豊富な自然を満喫できる空間と直結させる。

 誘致の切り札は電車の車両基地。4ヘクタールの土地を用意している。須田市長は「(利用が制限される地下の車両基地が多い)東京都にとって、広大な地上スペースの確保は魅力的なはず。延伸実現なら無償提供する」と、相当の覚悟を示している。

膨らむ期待と課題

 同審議会は9月までに埼玉県や東京都などからの「ヒアリング」を終了。来年3月をめどに示す答申作成に向け、今後議論を進めていく。国土交通省都市鉄道政策課は「答申は、都市鉄道を含む30年度までの整備の在り方を示す。12号線など個別の鉄道に言及するかどうかも含め、審議会で議論していく」と話している。

 昨年4月、市は専門の地下鉄12号線延伸促進室を設置。整備に向けた積立基金も約9億2千万円に達した。市が実施したアンケートによると、仮称・新座中央駅の設置構想に対し、二つのショッピングセンター、五つの大学が進出に興味を示している。「みんなの力で大江戸線を新座市へ」と描かれた横断幕は市内21カ所にお目見えした。地下鉄延伸と新駅整備へ、地元の期待も加速している。

 ただ、構想沿線自治体の3市区で12号線延伸について温度差があり、計画が決まれば、厳しい財政状況下で相当の出資が見込まれる。計画決定までのハードルは低くなく、4市区の連携強化が不可欠となりそうだ。

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