法人税:30%台に引き下げ検討 16年度改正で
毎日新聞 2015年11月02日 21時10分(最終更新 11月02日 21時44分)
政府が2016年度税制改正で、法人税の実効税率を現行の32.11%から31%未満を目指して引き下げる方向で調整していることが2日分かった。引き下げに伴う税収減を穴埋めするため、設備投資減税の縮小などで財源を賄う方針だ。政府が掲げる20%台への引き下げは、財源を確保したうえで17年度の達成を目指す。
法人実効税率は15年度与党税制改正大綱で、15年度に34.62%から32.11%に、16年度に31.33%に引き下げる方針が決定。数年以内の20%台達成に向け、16年度にさらに引き下げ幅の上乗せを図る方針が示されていた。政府は企業の国際競争力を高めるため、20%台の早期達成を目指す姿勢を引き続き示す必要があると判断した。
引き下げ幅の拡大に向けた財源は、最新の機械装置などの設備投資を行った企業への税制優遇措置の縮小が決まっており、それを充てることを検討する。
企業が設備投資について複数年に分けて費用計上する方法も見直す方向だ。設備投資にかかった費用を投資直後に多く計上し、徐々に減らす「定率法」について、適用対象からエレベーターなどの「建物付属物」やダムなどの「構築物」を外し、投資直後の費用計上を減らして当面の税収が増えるようにする。
政府は17年度に20%台を達成するための財源確保に向け、赤字企業にも課税する「外形標準課税」の拡大も目指すが、経済界は難色を示している。政府は16年度与党税制改正大綱に20%台の達成時期を明記したい考えだが、調整は難航が予想される。【朝日弘行】