【1分間プレゼン01】「プレゼン」をしているつもりが「説明」になっている残念な人
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◆「プレゼン」と「説明」の違いはどこにあるのか?
たとえば上司から、「この商品の“説明”をあの人にしておいてくれる?」と言われるのと、「この商品の“プレゼン”をあの人にしておいてくれる?」と言われるのとでは、どんな違いがあるでしょうか。両方とも、誰かに向かってその商品について伝えるわけですから、共通点ももちろんあります。しかし、「説明」と「プレゼン」では、その目的がまったく違うわけです。
「説明」の目的は、「意味がわかる」こと。一方、「プレゼン」の目的は、「相手の心を動かす」ことです。
商品の取扱“説明”書で大事なことは、読んだ人がその商品の操作方法がわかればいいわけで、読み手の心を動かす必要はありません。しかし“プレゼン”においては、「言われてみれば、確かにその商品を買った方がよさそうだ」とか、「よし、少し高いけど検討してみるか」と思ってもらうことが重要です。これはすなわち、相手の心を動かすためにやっている行為なのです。
◆「全部言えたか」ではなく、「相手の心に響いたか」
ところが、プレゼンをしているつもりが説明になっている残念な人が非常に多いのです(私も昔はそうでしたが…)。そういう人たちが、プレゼンを終えて言うセリフはこうです。「全部間違えずに言えました」。つまり、自分が大事だと思うポイントをすべて言えば、責任は果たしたと思っているんですね。一方、説明ではなくきちんとプレゼンをしている人は、こんなふうに言います。「おそらく、賛同を得られたと思います」「たぶん、具体的な検討に移ってくれると思います」。要は、準備した内容をすべて話すのが目的ではなく、相手の心をどのくらい動かせたかに焦点が合っているということです。
プレゼンのつもりが説明になっている残念な人は、こうも言います。「ちゃんと伝えたのに、まったく動いてくれないんですよ」。この言葉が出るのは、相手の心を動かす責任は自分にはないと思っている証拠です。自分はわかりやすく伝えれば、心が動くかどうかは相手次第と考えています。この時点でアウトです。本当にプレゼンをしている人は、相手の心を動かすことまで含めて自分の責任だと思っています。なので、もし相手が動いてくれなかったらこう言うはずです。「今回、私は相手の心を動かすような話ができませんでした。申し訳ありません」と。
プレゼンで相手の心を動かすためのテクニックを、今後も伝えていきますが、そもそも相手の心を動かす責任は自分にあると思っていないと、プレゼンはほとんど成功しないのです。