最新記事

ニュースデータ

日本の睡眠不足がイノベーション社会への変革を阻害する

さらに育児と介護の「ダブルケア」で、中年女性の睡眠時間は世界一短い

2015年11月2日(月)16時30分
舞田敏彦(武蔵野大学講師)

日本の睡眠時間は欧米の先進国と比較すると依然としてかなり短い YinYang-iStockphoto

 かつて日本では働き過ぎによる「過労死」が社会問題となった。その後、長時間労働については改善されつつあるようだが、これとは別に日本では、年齢、性別を問わず、誰もが睡眠不足に苛まれる「過労社会」のように見える。実際に、日本の睡眠時間は他国と比較してどのくらい短いのか、統計データで見てみよう。

 OECDの『Balancing paid work, unpaid work and leisure』(2014年3月)という資料に、主な生活行動の平均時間(1日あたり)が国別に掲載されている。15~64歳の成人男女のデータだ。横軸に男性、縦軸に女性の平均睡眠時間を取った座標上に、28の社会を配置したのが<図1>だ。

maita151102-chart01.jpg

 日本の男性の睡眠時間は下から3番目、女性は最下位となっている。日本の女性は世界で一番寝ていない。対極に位置する南アフリカの睡眠時間が長いのは、失業率が高く就業者が少ないためかもしれない。南アフリカは極端過ぎる例だが、欧米の先進国と比べても日本人の睡眠時間はかなり短いことが分かる。

 男女別に見ると、男性より女性の睡眠時間が長い国が多いが(斜線より上の国々)、日本はその逆で女性のほうが短い。これは後で述べるように、家事や家族ケアの負担が女性に偏っているためだと思われる。

ニュース速報

ビジネス

米ビザが元子会社ビザ・ヨーロッパを買収へ、最大21

ビジネス

タカタ製エアバッグ異常破裂で女性がけが、リコール対

ビジネス

日産自、今期業績予想を上方修正 為替影響と北米好調

ビジネス

ユーロ圏製造業PMI、10月改定値は52.3 前月

MAGAZINE

特集:国連の限界

2015-11・ 3号(10/27発売)

相次ぐ失態と腐敗に世界の失望は高まるばかり──。発足70年を迎えた国連の本当の意味とあるべき姿とは

※次号11/10号は11/4(水)発売となります。

人気ランキング (ジャンル別)

  • 最新記事
  • コラム
  • ニュース速報
  1. 1

    時速1200キロの超高速列車、走行実験へコース建設

    真空のチューブに吸い込まれるように走る「未来の…

  2. 2

    【マニラ発】中国主導のAIIBと日本主導のADBを比べてわかること

    アジア開発銀行(ADB)の歴史から考える、アジ…

  3. 3

    「働きやすい制度」が生産性を下げてしまう理由

    いまも多くの会社で導入されているフレックスタイ…

  4. 4

    年内にも発売されるセックスロボット、英研究者が禁止を呼びかけ

    1体84万円に「数千件の予約注文」。AI研究者…

  5. 5

    中国人留学生8000人が米大学を退学に?

    大学経営のためリッチな外国人を積極的に勧誘した…

  6. 6

    メディアへの信頼度が高いだけに世論誘導されやすい日本

    新聞・雑誌やテレビといった主要メディアへの信頼…

  7. 7

    ドイツが「国境開放」「難民歓迎」を1週間でやめた理由

    多くの難民の希望だったオーストリアからの国際列…

  8. 8

    ドローンの次は、殺人ロボット

    人間に代わって機械に戦争させるアイデアのアナー…

  9. 9

    「増えすぎ」アジア人を排除するハーバード

    アジア人学生を排除する米一流大学にアジア系団体…

  10. 10

    米第七艦隊の駆逐艦、南シナ海の中国人工島「領海」内へ、王外相は自制求める

    向こう数週間以内にさらなるパトロールが行われる…

  1. 1

    マイナンバー歴44年の僕から一言

    あなたのマイナンバーは届いたかな? 実は僕…

  2. 2

    嫌韓デモの現場で見た日本の底力

    今週のコラムニスト:レジス・アルノー 〔7月…

  3. 3

    ラグビー嫌いのイギリス人さえ目覚めさせた日本代表

    スポーツというのは不思議なものだ。子どもの頃…

  4. 4

    証人喚問で共和党を蹴散らしたヒラリーの、残された「死角」とは

    先週22日、ヒラリー・クリントン氏は「ベンガ…

  5. 5

    レイプ写真を綿々とシェアするデジタル・ネイティブ世代の闇

    ここ最近、読んでいるだけで、腹の底から怒りと…

  6. 6

    中国の「反日暴動」がアメリカでほとんど報道されない理由とは?

    先週末から今週はじめにかけて、中国の各地では…

  7. 7

    「名前はまだない」パレスチナの蜂起

    「イスラーム国」やシリア難民のヨーロッパ流入、…

  8. 8

    間違い電話でわかった借金大国の悲しい現実

    ニューヨークに住み始めた僕は、まず携帯電話を手…

  9. 9

    ロシアの潜水艦が米国の海底ケーブルの遮断を計画?

    10月25日付の米ニューヨーク・タイムズ紙は、ロ…

  10. 10

    「現代のパトロン」クラウド・ファンディングの落とし穴

    アメリカではすっかり定着した感のあるクラウド…

  1. 1

    加工肉に大腸がんリスク、WHO専門機関が報告

    世界保健機関(WHO)の専門組織、国際がん研…

  2. 2

    南シナ海の警戒活動より頻繁に、挑発ではない=米当局者

    中国が「領海」と主張する海域内に米艦を派遣し…

  3. 3

    米大統領選、支持率で元医師カーソン氏首位 トランプ氏転落

    27日公表の世論調査結果によると、米大統領選…

  4. 4

    ブレア英元首相がイラク戦争で謝罪、イスラム国台頭の「一因」

    英国のブレア元首相は25日に放映された米CN…

  5. 5

    南シナ海航行は挑発でもサプライズでもない=米海軍作戦部長

    来日中の米海軍制服組トップ、ジョン・リチャー…

  6. 6

    ロシア、インターネットの海底ケーブル付近で活動=報道

    米軍と国防総省関係者は、世界のインターネット…

  7. 7

    米債務上限引き上げと予算案で与野党が合意、下院は28日採決へ 

    米ホワイトハウスと与野党の議会指導部は、連邦…

  8. 8

    焦点:自動車産業揺るがす無人の自動運転車、IT企業との競争激化

    自動車産業の将来を左右しかねない自動運転車を…

  9. 9

    米、シリアに特殊部隊投入を検討 対「イスラム国」で=政府高官

    米オバマ政権は、過激派組織「イスラム国」の掃…

  10. 10

    南シナ海の中国「領海」内に米艦派遣、王外相は自制求める

    米国防当局者は米国時間26日、米海軍のミサイ…

定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

コラム

STORIES ARCHIVE

  • 2015年11月
  • 2015年10月
  • 2015年9月
  • 2015年8月
  • 2015年7月
  • 2015年6月